さらに踏み込んで実施したメイン回線の通信品質に対する満足度調査では、KDDIとソフトバンクは9割前後が満足しているのに対し、ドコモは44.4%、楽天モバイルは38.6%と、半数以上が不満を感じていることが分かる。また、楽天モバイルは建物の中や地下での不満が特に強く出ており、プラチナバンドの基地局が依然として少なく、エリア整備がユーザーの期待に追い付いていない様子がうかがえた。
電車やバスなどの公共交通機関での不満をたずねた調査では、ドコモが29.8%、楽天モバイルが31.0%と高い数値を出しており、ともに1桁のKDDIやソフトバンクとは大きな差がついている。「KDDIやA社(ソフトバンク)はいいよね、B社(ドコモ)、C社(楽天モバイル)は不満足というより超不満足」(同)といった結果が出ている。
本連載でもたびたび触れているように、ドコモの通信品質は改善の途上で、現時点でも他社に追い付けていない。また、楽天モバイルもユーザー数の増加に伴い、4Gの周波数が不足し始めており、都市部の駅など、人が多く集まる場所ではパケ詰まりが発生する頻度が高まっている。言い換えるなら、これら2社のユーザーには、サブ回線のニーズが高い。だからこそ、povoの新トッピングは2社を狙い撃ちにしているというわけだ。
もっとも、通信品質に差があるのは今に始まったことではない。あえてこのタイミングで獲得を強化した背景には、楽天モバイルのauローミングが終了し始めていることがありそうだ。ローミング自体の提供期限は2026年9月30日までだが、6月にKDDIが公開したエリアマップを見ると、5月末時点からかなりの範囲でエリアが縮小していることがみて取れる。SNSでも、「つながらない」という声が多く聞かれるようになった。
濱田氏も、「SNSで上がっている通信品質に関するご利用者の声の通りで、そのトレンドはわれわれに向かっている」と話す。通常、キャリアの獲得は春商戦が終わると落ち着き、「一般論だと6月は比較的静かな月」(同)になるが、povoについては、「変化なく成長を続けている」という。
KDDIの代表取締役社長CEOを務める松田浩路氏は、5月に開催された決算説明会で、「ローミング協定はちょうど7年が経過し、この9月に期限を迎える。当初の役割は終えたのではないか」としながら、「本来は人口カバーの補填(ほてん)でお貸ししているので、ローミングエリアは順次終了させていただく」と語っていた。その上で、「楽天の方がお困りになることがあれば、例えば副回線や、povoのような形で支援していく」と話す。
povoが新たに打ち出したキャンペーンやトッピングは、その“支援”(という体のユーザー獲得)の具体化と捉えることもできる。先に掲載したボードのコピーが「スマホのつながらないに、“備えよう”」となっていたのも、近いうちに、今よりもつながらなくなるキャリアが出てくる含みを持たせた表現といえる。ローミング終了の“Xデー”に向け、povoへの追い風はさらに強まることになりそうだ。
povo2.0、新規契約で「データ使い放題(24時間)10回分」をプレゼント 「つながらない」他社ユーザーを救済
楽天モバイルの通信品質を意識? KDDIのpovoは「通信不安の声を拾う」戦略 “意味深”なメッセージの意味
現在povoに未対応の5G SA、早期導入を検討――新社長が語る通信品質への覚悟
KDDIのpovo、「つながらない」に悩む楽天ユーザーを本気で救済開始か Xで意味深投稿
KDDI松田社長「povoを楽天モバイルの副回線に」――自らアイデア例示 ローミングは26年9月で一区切りCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.