ソニーは公式Webサイトにて、スマートフォン「Xperia 10 VIII」の新機能「Point & Pay メニュー」の開発者インタビューを公開。この記事では、開発者たちの思いや新機能に込めた工夫、開発の裏側にある苦労が詳細に語られている。
Xperiaといえば、カメラやオーディオといったエンターテインメント機能のイメージが強いかもしれない。しかしXperia 10 VIIIは、毎日使うスマートフォンだからこそ「日常の使いやすさ」に徹底的にこだわった。利用者の生活に寄り添い、日々のちょっとした不便を解消するための特別な機能だ。
企画を担当した前野氏によれば、この機能の出発点は彼自身の体験だった。レジ前で自分の番が来る前に、ポイントカードや決済アプリを探して慌ててしまった経験から、よく使うアプリをボタンですぐに呼び出せる機能を考案したという。「買い物の途中で支払い画面を探す手間は、積み重なると大きなストレスになる」と、身近な不便の解消を狙った。
ソフトウェア全般を担当した野村氏は、通常のアプリ起動とは異なる体験を目指した。当初は「ホーム画面にフォルダを作ってまとめれば十分では?」という意見もあったそうだ。しかし、大ざっぱな操作でも目的のアプリにたどり着き、画面を見た瞬間に使い方が分かることを重視し、余計な要素を徹底的に削ぎ落とした。
ソフトウェア設計の田中氏も、利用者が直感的に迷わず使えるよう、すでになじみのある操作感を参考に構築を進めた。アイコンの大きさや配置、各ページに名前を付けられる機能など、細部まで丁寧に調整を重ねたという。
機能の起動方法には、「物理的な電源ボタンを2回押す」という操作が採用された。野村氏によると、ポケットやかばんからスマートフォンを取り出した際、自然に指が触れやすいのが電源ボタンだからだ。レジ前のような少し急いでいる場面でも、細かい画面操作をせずに、手探りに近い感覚で画面を表示できることを目指した。さらに、事前に最大4つまで機能を切り替えて使えるように設定できるため、店員や後ろで待つ客を待たせずに、複雑な支払いも円滑に完了できるとアピールしている。
開発の裏側には、チームの密な連携があった。田中氏によれば、企画から設計まで、ターゲットとなる人物像や解決すべき課題を常に共有しながら進めたという。どのような場面で誰が使うのかを全員ですり合わせることで、最終段階まで当初の目的からぶれることなく開発を進められた。
もっとも、「日常の小さな不便」という言語化しにくい課題だったため、その利便性を言葉で明確に伝えるのには苦労したそうだ。前野氏は「レジ前で焦る」といった共感しやすい具体例で粘り強く説明し、周囲の理解を得て実装にこぎつけた。田中氏も、機能の存在をアピールしつつも、実際の決済の邪魔にならない「絶妙な距離感」の調整に心血を注いだ。
画面(初回起動時に表示されるPoint & Pay メニューに関するチュートリアル)。言語化しにくい日常の小さな不便という価値を社内に伝えて共感を得る苦労や、決済操作を妨げないシンプルで絶妙な画面表示の距離感を追求し調整したことが開発時の苦労として語られている(出典:速報記事)インタビューの終盤で、前野氏は「日常の小さな不満を発見し、解決していくことの重要性を再認識した」と振り返り、野村氏も「自然に便利だと感じてもらえる体験を作っていきたい」と今後の製品開発に向けた決意を口にしている。日常の小さな不便を見逃さず、真摯(しんし)に向き合う開発者たちの姿勢こそが、スマートフォンの使いやすさの向上に直結しているのだ。
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