ソニーグループは8月7日、2025年度第1四半期 業績説明会において、スマートフォン事業に対する姿勢を改めて明確にした。スマートフォン市場が成熟していく中で、ソニーにとってスマートフォン分野は依然として戦略的に重要なポジションにあるようだ。
特に注目すべきは、ソニーがスマートフォンを単なる端末ビジネスとしてではなく、長年にわたり蓄積してきた通信技術の活用先として捉えている点だ。ソニーグループで執行役 CFO(最高財務責任者)を務める陶 琳(たお・りん)氏は、通信分野で築いてきた技術資産がスマートフォンにとどまらず、さまざまな製品・サービスにも活用されていることを示し、今後も「大切に育てていく」方針を示した。
Xperiaブランドを中心としたスマートフォン事業は、単体での利益貢献だけでなく、ソニー全体の技術基盤や事業ポートフォリオの一部として、継続的に重視されている姿勢がうかがえる。
一方、Xperiaの販売数は日本国内でも海外でも落ち込んでいる。2025年2月、MM総研が発表した「2024年(暦年)国内携帯電話端末の出荷台数調査」にソニーは含まれなかった。2024年のメーカー別総出荷台数シェア1位はAppleで、2012年から13年連続で1位を獲得。2位にシャープ、3位にGoogle、4位にサムスン電子、5位にXiaomi、6位に京セラと続くが、ソニーの名はなかった。
最近では、不安要素となる出来事も起きている。2025年夏商戦に向けて投入されたハイエンドモデル「Xperia 1 VII」において、「再起動を繰り返す」「電源が入らない」といった不具合が7月4日に公表された。ソニーは販売を一時停止し、対象製品の回収および交換対応に追われている。
このことから、SNS上には「Xperiaは本当に大丈夫なのか」「今後も継続して販売されるのか」との声が上がっている。ユーザーやこれから購入を検討する人、さらにXperiaに興味を示す人にとって、今回の不具合が不安要素となっているようだが、ソニーの方針表明からは「Xperiaの継続」と読み取れる。
ミッドレンジモデルの存在も気になるところだ。ソニーはミッドレンジモデル「Xperia 10 VI」の後継モデルを2025年秋頃に投入する計画を表明している。ソニーは具体的な発売日や製品の詳細を開示していないが、「市場動向や社内開発状況を総合的に判断した」とし、2025年秋頃に投入する予定とのことだ。
【更新:8月7日19時15分】発言者を明確にしました。
【更新:8月7日19時15分】MM総研の資料を追加しました。
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