パスポート型折りたたみスマホ「Galaxy Z Fold8」と「HUAWEI Pura X Max」の実機比較で見えてきた違い(5/5 ページ)

» 2026年09月07日 10時00分 公開
[佐藤颯,ITmedia]
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ソフトウェアの完成度はGalaxyがリードするが、フレックスモードやペン対応のHuaweiも捨てがたい

 折りたたみスマートフォンで重視されるマルチタスク性能に関しては、Galaxy Z Fold8が頭ひとつ抜けている。One UIの画面分割は成熟しており、今回は縦向きの3分割にも対応した。これまでタブレットや3つ折りの「Galaxy Z TriFold」でしか実現できなかった使い方が、ポケットに入るサイズで可能になったわけだ。

 SNSのタイムライン、メッセージ、ブラウザと、複数のアプリを縦に並べて同時に追える体験は、SNSを頻繁に使う人ほど刺さるはずだ。画面出力でデスクトップモードのように使えるSamsung DeXやおサイフケータイへの対応も含め、日本で不自由なく使えるという点でもGalaxyは強い。

 対するHuaweiのHarmonyOS 6.1はNEXT系であり、Androidアプリの実行そのものに対応しない。動かせるのは、HarmonyOS向けにネイティブ開発されたアプリに限られる。中国国内で使われる主要アプリは着実にそろってきているが、日本のユーザーが日常的に使うアプリとなると話は別だ。

 HarmonyOSには「出境易」というAndroidアプリやGoogleサービスを動かせる仕組みこそあるが、Googleのコアシステムに依存しているアプリの動作、画面の分割操作、バックグラウンド処理などには一部制約がある。これまで積み上げてきたAndroidアプリの資産をそのまま持ち込める点は、Galaxyの最大の強みだといえる。

photo One UI 9の完成度は高い。Galaxy Z Fold8は、アプリを縦向きに3分割できる機能に対応した

 ただし、Galaxy Z Fold8には弱点がある。今まで対応していたフレックスモードに非対応という点だ(上位モデルの「Galaxy Z Fold8 Ultra」は対応する)。

 ヒンジを途中で止めて自立させ、上半分に映像、下半分に操作系を表示するという、折りたたみスマートフォンならではの使い方ができない。三脚なしでの動画撮影やビデオ通話、卓上での動画視聴といった場面で、この差は思いのほか大きい。

photo Pura X Maxはフレックスモードにしっかり対応する

 その点、Pura X Maxはフレックスモードをサポートしているうえに、「M-Pen 3 Mini」(別売)にも対応する。折りたたみ端末ならではの遊び心と、ペンを求めるユーザーへの配慮が残されている。ソフトウェアの完成度で劣ってもなお、こちらを選ぶ理由はここにある。

コンテンツ消費特化の折りたたみスマホ どちらにも良さはあるが、Galaxyの方が使いやすい

 結論からいえば、日本で日常的に使う1台としてはGalaxy Z Fold8を推したい。物理的な軽さ、Androidアプリの互換性、おサイフケータイ、そして縦3分割まで踏み込んだマルチタスク性能と、全体的な完成度は現時点で最も高い。

 これに対し、カメラを妥協したくない人、大画面で映像コンテンツを楽しみたい人、フレックスモードやペン対応を求める人にとっては、Pura X Maxが依然として魅力的な選択肢であり続ける。3眼構成に加えてペリスコープ望遠と可変絞りのメインカメラというフルスペックのカメラを備え、対角配置のステレオスピーカー、5300mAhのバッテリーと高い充電性能、そしてペン対応にフレックスモードまでそろう。防水・防塵等級も、IP48のGalaxy Z Fold8に対し、IP58/IP59を取得しているPura X Maxが優位だ。

 どちらもコンテンツ消費に特化した次代の折りたたみスマートフォンではあるものの、その設計思想は大きく異なる。Galaxyはコンテンツ消費に特化した結果、閉じてコンパクト、開いて大画面という折りたたみスマートフォンとして、消費者にとってある意味で分かりやすい端末となった。それゆえに、フレックスモードを廃するなどの割り切りも見られる。

 一方のPura X Maxは、上記のコンセプトを持ちつつ、高性能なカメラやフレックスモード、ペン対応、さらに高い防水性能といった要素をしっかり備えたプレミアム路線の機種である。ゆえに上位互換とも思われるが、その分だけ本体重量が重くなる弊害もある。日本未発売であることに加え、Androidアプリが動作しないHarmonyOS環境という高いハードルを承知のうえで手に取るのなら、得られる体験は格別だ。

photo 2026年は「パスポート型」の折りたたみスマートフォンが注目されそうだ。

 さて、2026年秋に登場するとうわさされる折りたたみiPhoneは、閉じた状態で約5.5型、開いた状態で約7.8型とされている。現行iPhoneよりやや短くずんぐりしたパスポート型の形状であり、今回使い比べたGalaxy Z Fold8やPura X Maxに近いデバイスだと考えられる。

 ただし、ソフトウェアの方向性は未知数だ。AppleがGalaxyのような3分割の複雑なマルチウィンドウをiOSに持ち込むとは考えにくく、むしろiPadOSの「ステージマネージャ(作業中のアプリを中央に表示し、その他のアプリを端に表示する機能)」的な発想か、あるいは大画面を1つのアプリでぜいたくに使わせる方向に振ってくる可能性が高い。この点において、ソフトウェアの思想はHuaweiのPura X Maxに近い製品になるのではないかと考える。

 折りたたみスマートフォンで中国市場のトップシェアを持つHuaweiと、それ以外の地域でトップシェアを持つサムスン電子が、「新しい形」のスマートフォンを相次いで投入するのは極めてまれだ。ここにAppleがうわさ通り参入することで、折りたたみスマートフォンという存在にどのような変化が見られるのか。今後も注視していきたい。

著者プロフィール

佐藤颯

生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。

スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。

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