東京都交通局は2026年9月29日、都営地下鉄の駅構内に設置している公衆電話について、2028年11月までに全て撤去すると発表した。
利用者の減少や通信環境の変化に対応した措置であり、長年にわたり駅構内の連絡手段として用いられてきた公衆電話が順次姿を消すことになる。
撤去作業は段階的に進める方針だ。撤去対象となる公衆電話には、実際の撤去予定日から2週間前までに「公衆電話撤去のお知らせ」を現地に掲示して利用者に周知する。撤去後に近隣で公衆電話を利用する際の位置情報に関しては、NTT東日本の公式Webサイト内にある「NTT東日本 公衆電話設置場所」で検索するか、専用窓口を通じて確認するように呼びかけている。
今回の全撤去の背景には、携帯電話の普及による利用機会の減少が存在する。総務省が公開している電話のユニバーサルサービス制度に関する情報によると、2002年度末時点で全国に約58.4万台存在した一般公衆電話は、2020年度末には約14.6万台まで減少した。18年間で約43.9万台の公衆電話が削減された計算になる。
利用回数の減少幅は、設置台数の減少以上に顕著だ。2002年度には年間約11.8億回存在した通話回数が、2020年度には約0.3億回にまで激減した。公衆電話1台あたりの年間通話回数も、約2000回から約200回へと10分の1に落ち込んでいる。個人所有端末の普及が公衆電話離れを加速させた。
こうした急速な利用激減を受け、総務省は制度の抜本的な見直しを実施した。2021年7月の情報通信審議会答申を踏まえ、2022年4月1日から第一種公衆電話の設置基準を大幅に緩和した。設置を求める単位面積を変更し、最低限必要な設置台数を従来の約8万台から約3万台へ削減した。これにより、NTT東日本やNTT西日本による地域の実情に応じた複数年かけての順次撤去が可能となった。
一方で、近年の自然災害の頻発に伴い、避難所等における緊急通信手段の必要性が増している。総務省は第一種公衆電話の台数削減によって交付金を圧縮し、その財源を避難所や一時滞在施設へあらかじめ設置する災害時用公衆電話の維持費用へ補填する仕組みを導入した。
都営地下鉄での撤去も、こうした国全体の通信インフラ見直しに沿った動きだ。利用者に対して理解を求めている。
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