東京都とNTT東日本は12月23日、公衆電話ボックスにWi-Fiスポットの機能を付加した第1号を、新宿御苑駅前交差点付近に整備したことを発表した。利用者が見つけやすいよう、目印として「TOKYO FREE Wi-Fiステッカー」を貼り付ける。
新宿御苑駅前という人流の多い地点が第1号に選定された背景には、災害発生時の通信確保という明確な目的がある。設置場所周辺には避難所や避難場所が位置しており、大規模な災害が起きた際に既存のモバイル通信網が途絶したり、過度なアクセス集中による輻輳(ふくそう)で利用が制限されたりした場合、情報アクセス遮断による孤立を防ぐための重要な役割を担うことになる。既存の通信手段に加えてWi-Fiによる経路を確保することで、通信の多重化を図り、非常時における情報伝達の安定性を高める狙いだ。
設置された第1号は国際規格であるOpenRoaming(オープンローミング)に対応した公衆電話ボックスだ。OpenRoamingは、従来の公衆Wi-Fiで懸念されていた第三者による通信内容の盗聴や、悪意のあるなりすましアクセスポイントへ誘導される危険を防止する仕組みを持つ。
OpenRoamingとは、公衆無線LANの利便性と高度なセキュリティを両立させる世界標準の通信基盤である。PasspointやIEEE802.1x認証の技術を採用することで、従来のフリーWi-Fiの弱点だった無線区間の暗号化を実現。偽装SSID対策も備え、国際的な共通ルールに基づき運用されている。国を跨いでも安全かつ自動で接続できる、極めて信頼性の高い次世代のネットワークインフラとされている(出典:NTTブロードバンドプラットフォーム「OpenRoamingって何? はじめて使う方へ簡単に解説します」)都は「つながる東京」展開方針に基づき、2024年度末までに東京都現代美術館や島しょ保健所など859カ所にOpenRoaming対応Wi-Fiを整備済み。都とNTT東日本は、今後の展開として、主要な駅の周辺や公園といった多くの人が集まるエリアを中心に、3年間で約1500か所の整備を順次実施していく方針を示している。
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