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» 2009年07月01日 14時14分 公開

Twitterは政治や報道を変えるのか (2/2)

[岡田有花,ITmedia]
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画像 津田さん

 「PSE(電気用品安全法)問題もダウンロード違法化も、官僚が条文を書き、今にも国会を通過するという時点で騒ぎ始め、通過した時に『初めて知った。おかしい』と言う人もいる。政策ができる過程がオープンになり、見る人が増えればと考え、Twitter中継している」

 “Twitter議員”の橋本さんも同意する。「児童ポルノ法についてネットで騒がれ始めたのも、党としての意志決定が済んだ後だった。おかしいと思うことがあれば、早いうちに意見を寄せるなどして、議員をうまく使ってほしい」

 津田さんは実況する際、失言を書くべきか迷ったことがあるという。「あるシンポジウムでひどい失言があり、そのまま書くべきか迷ったが、記録しておかないとと考えて書いた。ただTwitterの場合は、1つの発言が前後の文脈を離れ、はてなブックマークで取り上げられて炎上することもある」

 著作権問題も気にしているという。「シンポジウムの発言などは、講演の著作物になるのではと考え、いろいろ調べている。報道目的で実況したり、要約をうまくやれば白に近いグレー、中継に許可をもらえば完全に白だろう」

「政治を身近に感じてもらうために」

 日本の国会議員でTwitterアカウントを持ち、精力的に更新しているのが橋本さんと逢坂さんだ(日本の政治家もTwitter活用 国会を“生中継”)。

画像 橋本さん。会合などに参加しても「政治の話はお断り」と言われることも多いという。「もっと一般の人に政治について議論してほしいし、そのための材料はいくらでも提供するが、政治家を呼ぶと、自分のアピールだけをして帰ると思われている。政治家も変わらなければ」

 橋本さんは慶応義塾大学環境情報学部出身。三菱総合研究所でIT関連の研究員を務め、05年の衆院選で当選した。逢坂さんはパソコン通信時代からのPCユーザーで、mixiにも参加するなどネットサービスを精力的に活用している。

 橋本さんは知り合いにすすめれられてTwitterを始めたという。「政治のために使っているとは思っていない」といい、Twitterのつぶやきを見てもらうことで、政治家を身近に感じてもらいたいと話す。

 「政治を“自分事”としてとらえてほしいと思っている。国民にとって国会議員は、『新聞に出てくる人』という印象で距離があるだろう。Twitterで、新幹線に乗ったり、『週刊プロレス』の三沢光晴さん追悼号を探したりする様子をつぶやくことで、身近に感じてほしい」

 橋本さんはブログも更新しているが、「Twitterはブログより書きやすく、ざっくばらんにやれる」と感じているという。「農水省なう」(今、農水省にいます)とTwitterで流行している言葉を取り入れたり、「永田町で出回ってる鳩山新党参加者リストなるものに自分の名前が出てるのだそうだ。(中略)。全く心外デス!!(怒)」と、デマへの反論をいち早く書き込むこともある。

 逢坂さんの投稿も「意識している」が、スタイルはかなり違う。橋本さんはその日のできごとを淡々とつづっていることが多いが、逢坂さんは党首討論の様子をリアルタイムで中継しながら意見や批判を織り交ぜるなど、政策の過程を伝えながら政治的な主張を発信するツールとして使っている。

 橋本さんは逢坂さんの使い方にはやや批判的だ。「あそこまであからさまなのは……。ヤジは現場でやれ、と個人的には思う」。米国ではBlackberryを使い、議会の様子を生中継している議員もいることについては、「議員がTwitterをやってみんなが幸せになるならやるが、その場の議論に集中するのが第一義だろう」と述べた。

 Twitterが伝える“リアルタイム感”に期待している。「テレビや新聞が伝えるのではなく、その場のリアルな感じをシェアしたい。党首討論はアピール合戦で、生の議論とは言えないが、議員同士の怒鳴り合いの大げんかを生で伝えたら面白いだろう」

 国会議員でTwitterを使っているのはこの2人だけで、ほかの議員はTwitterそのものを知らない人も多いという。「“指でしゃべる”ことに慣れているかどうかといったハードルはあるが、勧めれば、良さを分かってくれる人はいると思う。Twitterを使えばマスコミに取り上げられるとなれば使う人も増えるだろう」

「脅迫のように感じる」返信も

 橋本さんがフォローしているのは1000人以上。フォローしてくれた人に“フォロー返し”もしてきた。「フォローしている人をあまり認識はしていないが、選挙区で会う人とはだいぶ違う人だろう」。

 ほかのユーザーからの質問に答えることもある。「議員会館の食堂でカレーを食べたい」といった質問には気軽に答えるが、答えにくい質問はスルーしているという。その例が「児童ポルノ法に反対したら、応援団ができるのに」といった、選挙に絡むものという。

 「選挙には生活がかかっているので、脅迫されているように感じる。こういった質問は、一般の方は気軽に書いてしまうかもしれないが、すごく抵抗がある」

 公職選挙法の規定で選挙公示後のWebサイト更新が規制されているため、衆院選公示後はTwitterも更新しない予定だ。自民党は選挙でのネット利用を解禁する法案も議論してきたが、「ネットを開くと全国の候補者が『お願いします』と言っているという状況が幸せか。ネットは本来、慎みを持って使うもの」と話し、制限付きの解禁がいいだろうという考えを述べた。

「Twitter記者クラブ」「Twitter料亭」も

 米国やイランの状況と比べると、日本では、Twitterをはじめとしたネットツールの政治利用はまだまだ進んでいない。「例えば市議会の生中継など、ネットでできることはたくさんあるはずなのにやっていない」と橋本さんは話す。

 だた、イランのような事例については、「民主的に洗練されていない状態で、みんなの意見をわっと集約し、暴力を結集する」と批判的だ。「日本は民主的に洗練されており、選挙で意志を反映するという手段もあるので、暴動を起こさないと、という危機感もない。数の力で押し通すという状況ではない。必要がないことはしなくてもいいのでは」(橋本さん)

 米国のように、政府がマスコミを通さず、直接情報提供するには、記者クラブの存在や、情報を握っていることを権威のよりどころにしている人が邪魔になっているという見方も。「知っている、教えてやる、ということで権力を保っている人がいる。それを変えていきたい」(橋本さん)

 Twitterで記者同士が情報交換する「Twitter記者クラブ」や、政治家同士がオープンに話す「Twitter料亭」ができれば面白い――という意見も挙がった。

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