バルデス氏は、iPadの登場によって不利になるのはAndroidの方だろうと指摘する。Android搭載のNetbookやタブレットは、Android Marketの数千のゲームを実行できるように作られているからだ。
だが、こう考えてみよう。Appleは消費者がChrome OS Netbookを目にする前に、数百万台のiPadを売ることができる。それでもGoogleは検索エンジンやWebアプリ、Chromeブラウザのおかげで、iPad上にも遍在するだろう。
Google検索は、オンライン有料レンタルを始めたYouTube、オンライン書籍ストアGoogle Editionsなどのデジタルサービスの入り口となる。
Googleブック検索は著作権をめぐる訴訟で裁判所の承認を待っている段階だ。この問題が解決すれば、Google Editionsは数百万冊を提供し、iPad向け書籍ストアiBookstoreのライバルとなり得る。
Appleは電子書籍サービスを一から始めているし、その厳しいDRM(デジタル権利管理)はAppleのリーチを狭めることになるだろうと、Gartnerのアナリスト、アレン・ウェイナー氏は言う。
「音楽とは違う。iTunes Storeに載せられる楽曲やMP3は数百万とあるわけではない」と同氏は語る。「書籍コンテンツの大半は、デジタル化してiPadで読めるようにしなければならない状態にある」
同氏は、AppleはiPad向けの電子書籍を用意するのにかなりの作業が必要になるが、Googleでは既にそのプロセスが動いている点を指摘している。GoogleはGoogle Editionsで電子書籍にすぐに参入できる。
AppleのDRMが影響しない分野の1つがブラウザだ。ChromeブラウザはiPadユーザーにとって、もう1つの(Googleサービスへの)入り口となる。GoogleがMac版Chromeを12月にリリースした後、同ブラウザのシェアは4.63%に上昇し、世界のブラウザ市場でSafariを追い抜いた。
「iPadにChromeブラウザが載れば、Googleにとっては『あらゆるデバイス』を目指す戦略を進めるいいルートになる」とウェイナー氏は言う。「Googleはできるだけ多くのデバイスに載りたいと思っている。AppleにGoogleを締め出すことはできないと思う。Appleは、コンテンツのレンダリング、アプリの開発、ユーザー体験とコンテンツの統合、価格設定でGoogleに勝てることを期待するほかない」
だが、結局は行き着くところはこうかもしれない――Appleファンは、よく知っていて好きなものにこだわるだろう。Googleファンは、Chrome OS NetbookやAndroid Netbookがどんなものが見極めるまでiPadは買わないかもしれない。
明らかなのは、クラウドコンピューティング戦争において、GoogleはMicrosoftに代わってAppleの敵になったということだ。もしもiPhone対Androidの戦いにワクワクしないとしても、これからやってくるiPad対Chrome OSの戦いには楽しませてもらえるだろう。
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