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» 2011年06月23日 08時00分 UPDATE

わが座右の書:「経営にバイブルなんてない」 サイバーエージェント・藤田社長 (2/2)

[取材・文/伏見学,ITmedia]
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若いころを振り返るとぞっとする

 最近読んで感銘を受けたもう1冊は、棋士の羽生善治名人が書いた「大局観 自分と闘って負けない心」(角川書店)です。この本では、今の羽生さんが若くて勢いのあるころの自分に、経験豊富な今の自分が勝つにはどうしたらいいかという視点で書かれています。当時は、リスクを顧みず素早く決断していくうちに良い流れが生まれて、さらに幸運も重なると、すごいことを成し得てしまうことが多々あったと語っています。

 本書の中で特に心に響いたのが、歳を取り経験を積んでからのリスクのとり方についてです。経験を積むと、リスクの大きさや事の重大さに気づき、冒険を避けるようになりがちです。しかしインターネット業界ではどんどん若くて勢いのある人材が生まれており、それを見て、大胆にリスクをとるような若いころに戻ろうと奮起するわけですが、一方で、リスクがいかに重大かということも知っています。

 では、熟練すればリスクはとれなくなるのかというと、決してそういうことではありません。リスクとそれに対するリターンが分かっているわけだから、状況を正しく認識し、その上でリスクと正面から向き合い、恐怖に打ち勝っていけばいいのです。若いときと同じように振舞ったり、むやみに大胆な行動に出たりということではありません。

 昔とったリスクといいますが、僕自身、若くて経験もなかったので、実はそれがリスクかどうかすら理解していませんでした。僕はサイバーエージェントを24歳でつくり、26歳の時に225億円を資金調達して上場したわけですが、今考えるとぞっとします。それがどういうことなのか、どのようなリスクがあるのか、もし当時それが分かっていたら怖くてできなかったと思います。一方、今はそれを正しくリスクとして認識しているので、別の判断で勝負することも可能です。ただし、たとえリスクがあっても、やらねばならないときは、それを正面からとらえて逃げないという姿勢が経営者には必要です。

本を読んで自分の言葉でまとめる

 この本に関して、先日、心に残ったフレーズをTwitterでつぶやいたのですが、前後の文脈を正しく理解し、それを140字にまとめるということが、実に大変でした。ただ、そのとき分かったのが、こうした作業をすれば本を何度も読み返さなくてもいいということです。Twitterでつぶやいて、その直後にブログでも書いたので、この本はかなり自分の血となり肉となっています。

 本は、次々に読めばいいというものではありません。読んだ感想を自分の言葉でまとめたり、ブログなどに長い文章で書いたりしないと自分のものにはなりません。それは面倒で大変なことだし、アウトプットに対しても責任を持たねばなりません。けれど、それをやることで初めて本が自分の中で消化されるのです。例えば、本を読んでTwitterで「読了」とか、単に「面白かった」とだけ述べている人がいますが、そんなのは簡単ですよね。簡単なことをやっていても何も身には付きません。1冊の本を読み、きちんとしたアウトプットをすることで、得たものは何倍にもなります。

見城さんから学んだこと

幻冬舎・見城徹社長との共著「憂鬱でなければ、仕事じゃない」 幻冬舎・見城徹社長との共著「憂鬱でなければ、仕事じゃない」

 本から学んだことといえば、幻冬舎社長の見城徹さんとの共著「憂鬱でなければ、仕事じゃない」(講談社)を作る過程において、見城さんから多くのものを得ました。

 とりわけ2つに集約されます。1つは事業に関することです。インターネットでビジネスをする中で、コンテンツはどうあるべきか、メディアはどうあるべきかを常に手探りでやってきました。見城さんが幻冬舎を立ち上げて、今までやってきたことや、得たものというのは、基本的にビジネスにおいて普遍的なものであり、それはサイバーエージェントの事業にも通じるものだと思いました。

 もう1つは、日本社会でどう生きていくかということです。先ほど述べた日本的経営にも通じるのですが、日本社会というのはビジネスする上ですごく特徴的で、社会にはむかったり、そむいたりすることはできないという前提に立っています。その中で、どこまで過剰に人と付き合ったり、礼儀を重んじたりするのかという判断は難しいです。見城さんの話はそれに対する1つの指針になりました。

 本書には本質的なことばかりが書かれています。見城さんの言葉はそれぞれに響くところがありますが、タイトルにもある「憂鬱でなければ、仕事じゃない」という言葉は、多くの人たちの共感を得るはずです。仕事をしていて憂鬱な人は多いでしょうから、この言葉で救われた人もいるのではないでしょうか。また、部下に対して無理難題を投げて「憂鬱でなければ仕事じゃないのだ!」と言う上司が増えるかもしれませんね(笑)。 (談)

応募要項
応募期間 2011年6月23日(木) 〜 2011年7月13日(水)
応募条件 アイティメディアIDの登録ユーザー
賞品 「憂鬱でなければ、仕事じゃない」(講談社)
当選人数 抽選で3名様
当選発表 当選された方への賞品の発送をもって、発表にかえさせていただきます
応募上の諸注意 ・キャンペーン期間中にアイティメディアIDの登録を削除された方は対象に含まれません
・当選者の権利は譲渡・換金・変更することはできません
・厳正な抽選の上、当選者の方へ賞品を発送いたします。なお、賞品のお届け先は日本国内に限らせていただきます。抽選と発送は2011年7月下旬の予定です
・お預かりした個人情報は、アイティメディアIDの利用規約とアイティメディア株式会社の 「プライバシーポリシー」に基づいて厳重にお取り扱いいたします
・住所・電話番号などが不明確な場合や、転居による住所変更や電話番号変更など、なんらかの理由により賞品がお届けできない場合は当選を無効とさせていただきます
・ご応募はお一人様1回限りとさせて頂きます。2回以上ご応募された方は、抽選対象外とさせていただきますのでご了承下さい

※アイティメディアIDに登録済みの方でも、プレゼント賞品発送のために連絡先情報の追加登録をお願いする場合があります。

※7月10日(日)午前1時〜7時まで、システムメンテナンスのため、プレゼント応募のサービスを停止させていただきます。大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解の程よろしくお願いいたします。


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