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Windows Phoneは思ったより使いやすい?――ITmedia 海外速報部 佐藤氏

» 2011年07月07日 13時46分 公開
[本宮学,ITmedia]

 米Googleや米Appleなど、多くの企業がしのぎを削るスマートフォン市場は今後どうなっていくのか? 日々繰り広げられる特許訴訟はスマートフォン市場にどう影響する?――ITmedia ニュース & エンタープライズ編集部主催で6月24日に開かれた読者イベント「海外速報部オフライン」にて、ITmedia 海外速報部として日々の海外ニュースを担当している佐藤由紀子氏と、ITmedia オルタナティブ・ブログ「破壊的イノベーションでキャズム越え」の著者、方波見豊氏が語った。

2015年、Windows Phoneは本当にiOSのシェアを抜くか

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 米調査会社のIDCが6月に発表した世界スマートフォン市場シェア推移予測によると、2011年時点での同市場シェアはAndroidが38.9%、Symbianが20.6%、iOSが18.2%、その後BlackBerry、Windows Phone 7/Windows Mobileと続く。しかし同社は、2015年にはSymbianの同市場シェアはわずか0.1%まで落ち込み、代わりにWindows PhoneがiOSを抜いて2位になると予測している。

 この予測の背景には、これまでスマートフォンの主要OSとしてSymbianを採用してきたフィンランドのNokiaが2011年2月に発表した、同社と米Microsoftとの提携が絡んでいるのではないか――と佐藤氏は話す。

 「NokiaはMicrosoftとの提携により、Nokia製スマートフォンへのSymbianの採用を中止し、以後Windows Phone端末だけを売っていくことを明らかにした。これによって2011年時点で20.6%のSymbianのシェアがそのままWindows Phoneに移れば、Windows Phoneが2位になる――という予測なのではないか」(佐藤氏)。

 これに対し方波見氏は「このような調査は毎年のように行われているものの、事実はかなり予測と異なることが多い」と指摘する。

 NokiaがSymbian端末の開発を終了するとはいえ、それまでSymbian端末を利用してきたNokiaユーザーがそのままWindows端末に移行するとは思えない。しかし、使いやすいOSには自然とユーザーが集まるのではないか――というのが佐藤氏の見解だ。何度か実際にWindows Phone端末を触ったことがあるという佐藤氏は、「Windows Phoneはするするととても速く動作するし、新着の情報を表示してくれる『タイル』機能など、ユーザーインタフェースの細かいところがよくできている」と話す。

 「MicrosoftはかつてWindows Mobileの普及に失敗した過去があるため、Windows Phoneにも期待していない人が多いのではないか」と佐藤氏。しかし、「Windows PhoneはiOSやAndroidよりも後出しなだけに、それらのOSの至らなかった部分を改善し、開発者のエコシステムを育てるようなやり方を持っている気がする」という。

 スマートフォン市場でユーザーを獲得する上ではOSの使い勝手に加えて、利用できるアプリの多さも重要だと方波見氏はみる。「iOS向けアプリ数は30万以上、Android向けのアプリ数は25万程度だと思うが、これらのアプリのうちどの程度を早期にWindows Phoneに移植できるかが懸案事項だ」(方波見氏)。

スマートフォン関係各社の訴訟合戦は市場をどう変えるのか

photo スマートフォン関係各社の訴訟相関図(出典:techdirt)

 「スマートフォン市場はとても変化が激しく、関係各社の訴訟状況もややこしいことになっている」と佐藤氏。米ブログ企業が作成したスマートフォン関係各社の訴訟相関図を見ても、「これは少し古いデータだが、この中で解決したのはAppleとNokiaぐらいで、ほとんどは今も係争中」(佐藤氏)という。

 また、今後訴訟問題に発展しそうな問題として佐藤氏は「Appleが2007年に申請した、タッチパネルモニターの操作方法に関する特許が今ごろになってようやく承認された」ことを挙げた。

 「この特許は、タッチパネルモニターを指1本でどう触ったらどうなる、指2本でどう触ったらどうなる――といった内容の、非常に基本的で幅広い特許。これが今になって承認されてしまったことで、これまで同様の技術を利用してきたAndroidなどは今後どうなってしまうのだろうか」(佐藤氏)。

 このことについて方波見氏は、「タッチパネル操作の特許に関してAppleが本気で争おうとしたら、スマートフォンメーカーほぼすべてと争うことになってしまう。それこそAppleを中心とした放射状の訴訟相関図になってしまい、Appleとしても対応しきれないのではないか」と話す。

 「例えばNTTは、ケータイでバーコードを読み込む技術やタッチインタフェースに関する技術など、さまざまな新技術を開発し、それらを特許を取らずに発表してきた」と方波見氏。こうした基本的な技術に関する特許は、登録こそできても「事実的には成り立たないのではないか」――というのが方波見氏の見解だ。

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