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» 2020年12月07日 10時00分 公開

オンラインでも「手書きの体験」を発信 ワコムが株主総会・事業説明会のオンライン化で得たものとは?

[PR/ITmedia]
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 新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中、大勢の人を一堂に集めて開催していたイベントの実施が厳しい。イベントを主催する企業も例外ではなく、各社がセミナーや事業説明会などの開催に向け、オンラインを活用した取り組みを模索している。

 上場企業にとって重要な株主総会も同様だ。ホテルや自社の会場などへ株主に来てもらい、経営陣から業績の説明を行い、株主からの質問を受け付け、議案の決議を行う――以前はリアルの場で、当たり前に行ってきた株主総会の開催が難しくなっているのだ。

 このような状況の中、株主総会のオンライン配信に踏み切った企業がある。液晶ペンタブレットやデジタルペンなどを手掛けるワコムだ。オンライン株主総会を行った経緯や当日の様子について、同社の西村宜彦さん(コーポレートアドミニストレーション・バイスプレジデント)と陳慕慈さん(テクノロジー・ソリューション・ビジネス・ユニット・テクニカルマーケティングシニアマネージャー)に話を聞いた。

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「手書き体験」をオンラインでも伝えたい

 イラストレーターや漫画家、映像作家などが、液晶ペンタブレットやペンタブレットを使う姿を目にしたことはないだろうか。初心者からプロフェッショナルまで、多くのクリエイターたちが愛用するのがワコム製品だ。同社が扱う製品のユーザーはクリエイターに限らない。ワコムのペン入力技術を採用するデジタルペン内蔵スマートフォンやタブレット端末、クレジットカード決済などで署名する際に使われるサインタブレットなど、知らず知らずのうちに同社の技術の恩恵に預かっていることもある。

 そんなワコムが重視してきたのが、ユーザーとのコミュニケーションを積極的に取ることだ。ペンタブレットの滑らかな書き心地や繊細なタッチは、実際に体験してもらわなければ、その良さがなかなか伝わらない――こうした思いから、ワコムはユーザーが製品を手に取って体験してもらう体験会などを定期的に行ってきた。また、製品に親しんでもらうと同時に、プロのクリエイターなどからテクニックを学んで上達し、より楽しくより良い作品づくりができるように交流をサポートするなど、コミュニティーの育成にも注力している。

 コミュニケーションを積極的に取るという姿勢は、株主に対しても同じだった。「コンピューターで絵を描く」ことが用途のペンタブレットは、同じ周辺機器であるディスプレイやキーボード、マウスなどのように誰もが使う機器ではない。株主の中にも同社の製品を使ったことがない人もいるため、ワコムではここ数年、株主総会の後に事業説明会を開き、そうした株主に製品の特長や楽しさを直接感じてもらう場を提供してきた。

 過去には400人近い株主が株主総会や説明会に参加していたが、遠隔地に住む株主が毎回参加することは難しい。また、株主総会は複数の企業の開催時期が重なりがちで、株主の方が参加したいと思っても全てには足を運べないという問題もある。「来場できなかった株主の方と、より便利な方法でコミュニケーションを取る機会を持ちたいという思いが、次第に強くなっていきました」と西村さんは振り返る。

photo ワコムの西村宜彦さん(コーポレートアドミニストレーションバイスプレジデント)

 そんな中、コロナ禍の影響で2020年6月に予定していた株主総会と事業説明会は、例年通りの開催が危ぶまれる事態となった。特に事業説明会は、株主に実際に製品を手に取ってもらったり、対面の近い距離で説明を行ったりと接触の機会が多いため、例年通りの開催には課題が多かった。

 緊急事態宣言が発令された4月、ワコムは株主総会と事業説明会の模様をオンラインで配信することを決めた。会場に足を運べない株主ともコミュニケーションを深めたい――そんな思いを抱いていたところに、コロナ禍が契機となってオンライン配信に踏み切ったのだ。

 「弊社が扱うペンタブレットや電子ペンは『描く体験』を提供するものです。株主総会だけでなく事業説明会も一緒にオンラインで配信することで、株主の方とのコミュニケーションがより活性化するのでは、という期待がありました」(西村さん)

法律面や技術面の課題も回避

 株主総会の最中に音声や映像が途切れることは会社の信頼を損ない、実効性の面で問題となるため許されない。ワコム初となるオンライン配信の本番まで1カ月と少しの中で、そうした問題を避けるべく開催方法や配信方法を選び、株主総会や事業説明会のコンテンツも用意しなければならなかった。

 オンライン配信事業者の選定はWeb検索の他、他社の株主総会担当者が集まる勉強会での情報も参考にした。オンライン配信事業者に求めた条件は、開催中にネットワーク環境が途切れないこと、多数の同時アクセスに耐えられること、株主以外の第三者が視聴できないセキュリティ環境を構築することだった。株主総会や事業説明会の様子を撮影した動画を直ちに編集し、自社のホームページに掲載できるようにする点もポイントだった。

 西村さんによると、検討段階では社内で内製できないかとも考えたが、問題があったという。「社内で使っていたツールを社外の人でもアクセスできるようにした場合、本当に株主本人かどうかの認証をどうするのかセキュリティ面で課題がありました」と話す。

 いくつかの事業者から、ブイキューブの「バーチャル株主総会用配信プラットフォーム」を採用し、リアル会場とオンライン配信のハイブリッドによる参加型の株主総会を実施することに決定。ワコムが重視していた条件をクリアした他、事業説明会でのプレゼンテーションや製品紹介を柔軟に行える点が決め手になった。

 ハイブリッド参加型バーチャル株主総会は、企業が物理的な場所で株主総会を開催する一方、オンラインで株主が遠隔地からも参加できる。会社法上の質問や動議をオンラインで行うことはできないが、事前に参加者から受け付けた質問などを取り上げることは可能だ。

photo 企業が物理的な場所で株主総会を開催し、オンラインで株主が遠隔地から参加する

 「法的な部分に照らし合わせつつ、どういった対応ができるかきちんと説明してもらえた点が大きかったです。他社の株主総会担当者の勉強会でもブイキューブの評判が良く、ワコムからの質問に対するレスポンスも早かったので信頼できそうだと感じました」(西村さん)

オンラインなら、より幅広い人へ説明できる

 ワコムが行ったオンライン株主総会と事業説明会は、つつがなく当日を終えた。西村さんは、オンライン配信に踏み切って良かったと実感している。「オンラインで行えば、離れた場所からでも見ていただくことができ、録画を当社のホームページにアップすれば後でゆっくり見ていただくこともできます。海外の関係者に配信できるという点も大きなメリットだと感じました」と話す。株主へのリアルタイム配信は国内のみだったが、将来は海外の投資家へのリアルタイムでの配信も視野に入れる。

 ワコムが注力してきた事業説明会でも、オンライン化することでメリットがあった。これまでのリアル開催の会場では、説明会を行う会場の外で製品を展示していた。そのため、株主はプレゼンテーションを聞きながら製品を触れるわけではなく、説明を受ける時間と製品を体験できる時間にタイムラグがあったのだ。

 「以前は『説明会で聞いた、アレ』と、株主の方が断片的に覚えているキーワードを頼りに、担当者が製品のあたりをつけて『これですね』と説明しなければなりませんでした」と陳さん。今回、オンラインで配信したことで「手元で製品を操作する様子や描いたものをズームして写すことができ、株主の方は説明を受けながら製品を確認できます。対面の1対1で行う説明と同じくらい分かりやすい説明ができたと思います」と話す。

photo オンライン化によってリアルタイムで製品説明が可能に

 多くの人に情報を伝えることができる点も、オンライン配信のメリットだという。「リアルでは熱心な株主の方に深い話をすることができますが、オンラインはより幅広く、より多くのオーディエンスに対して発信できます。大勢の方に製品をしっかり見ていただく、という意味ではオンラインに分があると感じました」(陳さん)

双方向のコミュニケーションができる株主総会へ

 ワコムでは、次回の株主総会や事業説明会もオンラインで配信したいと考えている。西村さんは「次回は質疑応答など、双方向のコミュニケーションを取り入れたいですね」と抱負を語る。

 「株主総会そのものと質疑応答の時間を区切る、事前にWebで質問を入力してもらうなど、方法はあると思います。次回はもっと株主と双方向のコミュニケーションを取れるようにしたいです」(西村さん)

 事業説明会はどうだろうか。陳さんは「リアルの会場では話しているうちに相手の表情や反応から興味・関心や理解度が分かりますが、オンラインではそれができません。その部分をどのように解決できるかが課題です」と話す。

 「オンラインの事業説明会は、われわれや株主の方にとっても初めてのことでした。今回はプレゼンテーションや製品をどう見せるかを工夫しましたが、まだまだ改善の余地はあります。対面でないからこそ、いろいろなパターンを用意しておきたいと感じました」(陳さん)

photo ワコムの陳慕慈さん(テクノロジー・ソリューション・ビジネス・ユニットテクニカルマーケティングシニアマネージャー)

 さらにワコムでは、四半期ごとに開催する投資家説明会や、取引先向けのビジネスプレゼンテーションでもオンライン化の推進を検討している。西村さんは「株主総会に限らず、海外も含めたマーケティングや取引先とのディスカッションにも活用していきたいです」と期待を寄せる。

 同社のように、株主総会を活用して事業説明会を行っていた企業は、どちらもオンラインで配信することによって、より大勢の株主に自社の業績や経営戦略を伝えられ、製品への理解も深めてもらえる機会になるようだ。

 テクノロジーの発達により、以前と比べてオンラインでできることがはるかに増えた現在。従来のやり方に固執せず、新しいものを取り入れる企業が増えている。オンライン株主総会も、新しい選択肢の一つになるだろう。

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