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激動の2021年にGoogleはどう動いたか、振り返ってみたGoogleさん(1/4 ページ)

» 2021年12月28日 08時38分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 2021年も新型コロナに覆われた1年でした。Googleでもすっかりリモートワークが定着。オフィス完全再開は数回延長になり、9月には「2022年の1月10日」だったのが、12月に入って「各オフィスで判断してね」に変わりました。それでも12月の時点で「米国のオフィスの90%を再開し、米国の従業員の40%近くが出勤した」そうです。

 そんな2021年にもGoogleさんは新しいハードウェアを発売し、サービスを改善してきました。今年最後の「Googleさん」では、Googleさんのこの1年を関連記事で振り返ってみます。いいことも、残念なことも、いろいろありました。

 googlesan

1月:Fitbit買収完了、Loon解散

 例年ラスベガスで1月初旬に開催されるCESはコロナで完全デジタルになり、毎年遊園地のようなブースを出していたGoogleもオンライン参加に。そんなCESも6日の議事堂襲撃で霞んでしまいました。

 この暴動を引き起こしたのはSNSでのトランプさん支持者の先鋭化で、直接のきっかけはトランプさんが同日行った「選挙は盗まれた!」演説とみられています。SNSプラットフォーム各社は次々にトランプさんのアカウントを停止し、Googleも(SNSは運営していませんが)YouTubeアカウントを停止しました。

 1月にはFitbitの買収が完了しました。今年中に「Pixel Watch」が出るかも、と期待しましたが、来年になるようです

 fitbit

 AlphabetのLoon解散という残念なニュースもありました。無線アンテナを吊るした気球を成層圏に配備し、無線ネット網を構築するという計画でしたが、「商業的実行可能性への道が予想よりはるかに長く、リスクが高いことが証明された」ので終了です。Loonで開発した技術は別のムーンショット部門「X」の「Taara Project」の無線レーザー光通信システムに生かされています。

 なお、2022年のCESはデジタルとリアルのハイブリッド開催で、Googleもリアルでの出展を予定していましたが、オミクロン株への懸念で系列のWaymoともどもリアル参加をキャンセルしました。

2月:Chromebookが好調、ゲームサービスStadiaに暗雲

 Canalysによる世界PC市場調査で、GoogleのChromebookの出荷台数が急増という景気のいい話がありました。アイティメディアでは紹介していませんが、2月にはIDCの2020年通年の世界PC市場調査でChrome OSがmacOSを初めて抜いたという報道もありました。2011年に発売されたときには、こんな時代が来るとは思いませんでした。IDCのアナリストは「新型コロナで学校が封鎖されたため、Chromebookの需要が急増した」と言っています。学校や教育機関による大口購入が後押ししたようです。

 一方、2019年発表のゲームストリーミングサービス「Stadia」は難航しています。2月にゲームスタジオの閉鎖を発表。このサービス、米国では既に提供されていますが、1年を通してあまり話題に上っていません。10月に、AT&Tがオリジナルゲームを配信するバックエンドとしてStadiaを採用したことがニュースになり、GoogleはStadiaを消費者向けサービスからバックエンドにシフトしていることが判明しました。

3月:「Nest Hub(第2世代)」発売、サードパーティCookie対策「FLoC」

 2021年最初のハードウェアはスマートディスプレイの第2世代「Nest Hub(第2世代)」。現在も1万1000円で販売しています。睡眠モニター機能とめざましディスプレイがウリで、私も愛用しています。

 nesthub 「Nest Hub(第2世代)」の睡眠トラッカー

 近年、IT企業が実は個人データで大儲けしていることに気づき始めた世界の当局が規制しようと動き始めています。収益のほとんどが広告収入であるGoogleさんも、もちろんその対象。その対策の1つとして発表したのが、プライバシーサンドボックスをベースとするFLoC(Federated Learning of Cohorts、群れの連合学習)と呼ぶAPI。これなら個人のプライバシーを侵害せずに、かつ個人にとっても広告主にとっても効果的な広告を出せると謳っていますが、競合他社当局も懐疑的で、年末の時点でまだ進展していません。

 Google Play Storeの開発者の手数料値下げというニュースもありました。これも、Googleはアプリストアで儲け過ぎ、という批判対策です。GoogleはAppleと違ってサイドローディング(公式アプリ以外でのアプリダウンロード)を認めていますが、それでも批判が高まっています

 3月にはAndroidでGmailが開けなくなるという障害もありました。そういえば2020年ほどGoogleさん関連の障害は頻発しませんでしたが、この障害はWebViewが原因だったため、結構話題になりました。

 世界中で検索サービスを提供するGoogleさんは、ネットワーク強化のために海底ケーブルも敷設しています。3月にはFacebookと共同で米国と東南アジアを結ぶケーブル「Echo」の計画を発表しました。2021年にはこの他、日本とシンガポールを結ぶ「Apricot」も発表しています。

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