デジカメRAWモード撮影術〜風景写真編〜(3/3 ページ)

» 2005年01月13日 09時30分 公開
[萩原俊哉,ITmedia]
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RAWを活用して季節感を演出する

 次に、南伊豆で撮影した桜の写真を見てほしい。この時は全天が薄い雲に覆われていたため、通常の設定で撮影すると、「PHOTO 4」のように背景の山が暗く、また、桜の花びらもやや青っぽく写ってしまう。

PHOTO 4:デフォルト設定での現像。このままでももちろん悪くはないのだが、川津桜が持つ鮮やかな色合いが今ひとつ引き出せていない(オリジナルはこちら

 これでは桜の鮮やかさが物足りないので、やや暗めの部分を明るめに調整し、全体の青みを抑えて桜と背景の菜の花の彩度を強めたものが「PHOTO 5」の写真だ。ピンクと黄色の彩度を上げたことで、色鮮やかで濃厚な川津桜の色合いが再現できた。

PHOTO 5:彩度を上げて鮮やかにした写真。木の幹や背景の山などの暗部を明るくするため、Nikon Capture 4の「Digital DEE」を使用した。また、「LCHエディタ」を使って、桜のピンク色と菜の花の黄色の彩度を上げている(オリジナルはこちら
「Digital DEE」の調整パラメータ
「LCHエディタ」の調整パラメータ

 しかし、ここでもう一つ加味したい要素がある。それは「季節感」だ。春といえば、暖かくてのどかなイメージがあるのではないだろうか。そこで、写真全体のコントラストをやや低くし、中間調が明るくなるように現像したのが「PHOTO 6」である。これによって明るくてほのかな、春らしいイメージに仕上げることができた。

PHOTO 6:コントラストを下げてやわらかい描写にした写真。ほのぼのとした春のイメージに近づけるために、トーンカーブで中間調の明度を上げている。さらに、コントラストをやや下げて、やわらかい印象の写真へと仕上げた。暖かい春のイメージが伝わるだろうか(オリジナルはこちら
トーンカーブの設定パラメータ
コントラストの設定パラメータ

 写真とは表現である。そこに撮影者の観念や意図を吹き込むことによって、初めて作品としての質が向上する。自分が思い描く表現を手にするために、筆者はRAWモードによる撮影をお勧めしたい。

Photo:萩原俊哉



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