今回登場したVAIO type Tでは「インスタントモード」が新たに実装された。これは他社のAV機能重視タイプのノートPCでは以前から採用されている「OSを起動せずとも、すぐに立ち上がってコンテンツの再生を可能にする」ための機能で、PCをAVプレーヤーとして使うユーザーには必須となっている。
ソニーはこれまで「VAIOはあくまでもPC」という企画コンセプトを大事にしており、まずはWindowsを起動して使ってもらう、ことを重視していたが、インスタントモードの実装は、今までのコンセプトに変化が出たことを意味しているのだろうか(そういう意味では、大変重要な変化の兆し、とも思える)。
筐体には新しく「AV MODE」が設けられ、電源オフ、もしくは休止状態でこのボタンを押すとAVプレーヤーとして数秒で起動する。インスタントモードの画面デザインはDo VAIO的な雰囲気を持っているが、その機能はDVD-Video、音楽CD、メモリースティック内の画像ファイルの再生に限られる。
「AV MODE」ボタンやそのほかのプレーヤーコントロールボタンは、液晶パネルを閉じでも使えるデザインになっているが、電源オフ(もしくは休止状態)からインスタントモードで起動したいときは、液晶パネルを開いておく必要がある。
ちょっと不満に思うかもしれないが、カバンに入れているときの誤動作を防ぐためには至極妥当な仕様である。また、いったんインスタントモードで起動すれば、液晶パネルを閉じてもプレーヤーコントロールボタンは機能するので、カバンに入れたまま音楽CDを再生する、という使い方もできなくはない。
この「カバンに入れたまま音楽CDの再生」もそうだが、インスタントモードの採用で「ポータブルAVプレーヤー」という性格が濃くなったVAIO type Tだが、これもバッテリー駆動時間が伴わないとコンセプトだけが先走って、その実、まったく使い物にならないことになる。カタログスペックやソニーが出しているデータによると、超低電圧版Pentium M 753搭載モデルはDVD-Videoの連続再生で4.5時間程度バッテリー駆動できるとしている。
今回の評価作業中に、省電力モードを「VAIOスーパースタミナ」(ただし液晶輝度は9段階中3レベル)に設定した状態で、HDDにあるMPEG-2ファイルの再生を2時間、音楽CDの再生を1時間行った後に表示されたバッテリーの残量は「1.52時間:28%」であった。
1日丸々、となると心もとないが、普通に休日を過ごすように「半日程度の待ち歩き」ならば、バッテリー残量を気にすることなく、DVD-Videoや音楽CDを再生し、ホットスポットに立ち寄って無線LANでWebブラウジングをこなせると思っていい。
軽量長時間駆動の2スピンドルノートPC、というとどうしてもLet's note W4という強敵が君臨していているイメージが個人的に強かった。しかし、今回登場したVAIO type Tのバッテリー駆動時間と軽量薄型筐体がもたらす携帯性能はLet's note W4に十分対抗でき、筐体のデザイン(最近では携帯重視型ノートPCの重要な選択要素となっているようだ)では十分に圧倒できるだけの力を持っている。
なお、長時間のバッテリー駆動性能を重視するならば、店頭モデルのCeleron Mではなくオーナーメードモデルの超低電圧版Pentium M 753搭載モデルを強く強くお奨めしておきたい。
PCMark04 Results | |
PCMark | 2078 |
CPU | 2329.0 |
Memory | 2258.0 |
Graphics | 619.0 |
HDD | 2389.0 |
WMV Video Compression | 29.0 |
DivX Video Compression | 34.2 |
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