実際に使ってみると、やはり車内でいつもPCで見ている動画が再生できるのは楽しいし、音楽再生もジュークボックス的に楽しめる。
ただし、エンジンをかけるたびに電源を入れ、再生したいファイルを選んで……という操作は車で使用する場合は結構手間で、車載における機能については進化の余地がかなりあると思われる。たとえば音楽再生であれば、カーステレオは当然としていまどきは珍しくないMP3対応HDDカーナビなどでもエンジンをかける(ACC電源を入れる)と再生を自動的に行うようになっていることが多い。また、DVD-Videoを再生できる車内環境もいまどきはそう珍しくはないだろう。
それに対するメリットとしては、本機なら音楽CDを持ち込んでリッピング作業をしたり、見たい動画をいちいちDVD-Videoに焼くという作業が必要ない。PCにUSB接続してファイルをコピーするだけである。
そもそも筆者のようにTV録画した動画ファイルの大半はDivXにエンコードし直して保存しているような“PC録画派”だと、車で動画を見るためにでもDVD-Videoに焼くといった作業もさほど気にせず行ってしまえるのかもしれないが、DVD-Videoを作成する手間と比べれば、コピーするだけのほうが格段に楽だ。とにかく手間が掛からないのは大きな魅力と改めて思える。
なお音楽再生に関しては、車載を考慮したと感じられる機能もある。起動直後のメディア選択画面で「PLAY」ボタンを押すと、「MUSIC」フォルダに保存された音楽ファイルを連続再生モードで再生開始してくれるものだ。
再生を開始するのは、常に「MUSIC」フォルダの階層を辿って一番最初に見つかった音楽ファイルに固定されているという制限があるが、たとえば「MUSIC/@お気に入り」といったように「MUSIC」以下で最初に並ぶようフォルダ名を工夫したフォルダに、何度聴いても飽きない定番の音楽ファイルを保存しておくといった使い方ができそうだ。
本製品と同種の製品はすでに数種が販売されており、2.5インチHDD内蔵のメディアプレーヤーもそれほど珍しい存在ではない。やはり魅力を挙げるとすれば「車載キット」の存在であり、日々車に乗るわけではないといったユーザーでも、「あ、それなら使ってみようかな」と思わせる魅力がある。
もちろん車内での使い勝手という意味では最新のHDDカーナビなどには劣る部分も多いし、音楽再生だけならiPodなどの携帯音楽プレーヤーをFMトランスミッターやカセットアダプターで接続して利用する方が楽かもしれない。ただしビデオ再生は別である。普段からPCで動画、音楽を楽しんでいるユーザーにとってはその手軽さにぐっと魅力に感じる面も多いと思うし、1万円台から導入できる価格面でのメリットはとくに大きい。
またファームウェアアップデートなどに期待できるところもメリットの1つとして挙げておこう。DC-MC25Uは9月初旬に販売が開始されたが、すでに9月3日付けで1度めのファームウェアアップデータ(Ver 1.4.0)が提供されており、音楽ファイルのワンタッチ再生機能もこのアップデータで実現されている。同種の製品の多くは海外メーカーのものを日本語ローカライズ化しただけものといった感じで、実のところ結構「売りっぱなし」の製品も多いが、今後の不具合解消や機能改善といった面でも期待してよさそうだ。
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