最近、アキバPCショップの店員氏から「アキバの来客者の傾向が変わった」という声が上がるのをよく聞く。
昨今の秋葉原ブームにより、来店する人の数は増え、週末の混雑ぶりも今まで通りかそれ以上となった。ただし、PCパーツにあまり興味のなさそうな人の来店も多く、じつのところ売り上げには直結していないような気がするといい、個人アキバユーザーによるブログにも「最近アキバは居心地が悪くなった気がする」という投稿を見ることもある。
某ショップのベテラン店長A氏は「Windows 95や98が出た頃は、私どもよりも知識を持っているようなマニアの人が多かったですね。お客さんの質問に答えられるよう、毎日猛勉強していたことを思い出します。最近はビギナー層の割合が増えています。毎日パーツを売っていれば、自作の本を一冊読む程度で9割の質問に答えられるくらいです」と話す。
各メーカーの努力などにより自作PC自体が組みやすくなったこと、雑誌やWebサイトなどである程度の情報が得られること、玄人ユーザーの絶対数が減った気がすることなどを理由に挙げるショップもあるが、共通して述べられたのは「最近のアキバのさらなる観光地化」によるところが大きいということだ。
注目され、ブームとなっている反面、従来のアキバユーザーにとってはマイナスな面もあるのだろうか。今回、改めて2005年の秋葉原ブームをPCパーツショップ店員やPC好きアキバユーザーの視点から改めて確認してみることにした。
2005年の秋葉原は、テレビドラマ/映画“電車男”のヒット、“萌え”や“メイド喫茶”など代表的な言葉が地上波TV番組や一般紙などでも普通に使われるほど浸透し、アキバに興味を持つ人が一般層まで広がった。さらにヨドバシカメラ マルチメディアAkibaの開店やつくばエクスプレス開通を中心とする秋葉原再開発地区が完成してきたことはやはり大きいトピックとなる。
このあたりはこちらも併読願いたいが、観光的に訪れた人がせっかく秋葉原にきたのだからと、電気街を見学しにくる傾向が確実に生じ、この層がPCパーツショップへの来客者数を増加させている要因にもなっている。このシナジー効果は、商業地区として一般的に考えると非常に喜ばしいことではあると思われる。
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