Serial ATAにもデメリットはある。光学ドライブの場合、ATAPIと比べて速度がほとんど変わらないという点だ。光学ドライブはHDDと違ってネイティブでSerial ATAに対応しているわけではなく、Parallel ATAコマンドに対応した回路にブリッジチップを経由してSerial ATAに対応させている。そのためSerial ATAへ接続できるものの、数値的に表れるようなメリットがない。
実際に書き込み速度をテストしたところ以下の結果となった。参考にATAPI内蔵モデルのPX-755Aの結果も載せているが、ほとんど誤差ともいえるような違いしかない。ちなみにテスト環境には、ICH5RをサポートしたIntel 865PE搭載のマザーボードを利用した。検証済みマザーボードのリストにはなかったものの、問題なく動作している。
PX-755SAのテスト結果 | ||
メディア | 時間 | 平均書き込み速度 |
DVD-R | 6分22秒 | 11.24倍速 |
DVD+R | 6分10秒 | 11.32倍速 |
DVD+R DL | 15分24秒 | 7.88倍速 |
DVD-R DL | 18分54秒 | 5.89倍速 |
DVD+RW | 7分33秒 | 7.88倍速 |
DVD-RW | 10分22秒 | 6.03倍速 |
PX-755Aのテスト結果 | ||
メディア | 時間 | 平均書き込み速度 |
DVD-R | 6分22秒 | 11.24倍速 |
DVD+R | 6分17秒 | 11.25倍速 |
DVD+R DL | 14分44秒 | 8.33倍速 |
DVD-R DL | 18分40秒 | 5.91倍速 |
DVD+RW | 7分46秒 | 7.88倍速 |
DVD-RW | 10分3秒 | 6.03倍速 |
※使用ソフト:Nero CD-DVD Speed V4.10、環境:Pentium 4/3GHz、Intel 865PE、PC3200 DDR SDRAM 1.5Gバイト、マックストア「7Y250P0」、Windows XP Home Edition SP2、使用メディア:すべて三菱化学メディア製 |
書き込み品質について、PX-755SAで作成したメディアをPlexTools ProfessionalのQ-Check PI/POテストで確認したところ、PX-755SAとPX-755Aとでは後者のATAPI内蔵モデルがわずかにエラー発生頻度は低いという結果になった。またPX-755Aで作成したメディアもそれぞれでテストしたところ、やはりPX-755Aのほうが優れている。製品の個体差もあるため、すべての製品で同じ結果にはならないかもしれないが、今回利用した限りでは全般的に同様の傾向が出た。
ベンチマークテストの結果だけを見ると、PX-755SAを選ぶ理由は見あたらない。ATAPI内蔵タイプに比べて価格差があるのも懸念材料だ。現状ではPX-755Aが1万円を切る価格で購入できるのに対し、PX-755SAは3000〜4000円程度割高になっている。HDDではSerial ATAへの移行が着実に進んでおり、IDEとSerial ATAディスクで価格差がほとんどなくなっているのに比べると、光学ドライブはまだまだATAPI仕様のものが主流といえる。
IDE内蔵モデルと基本仕様が同じことや性能面で違いを見い出せないため、あえてSerial ATA版を購入する「必要性」はないというのが正直なところだ。もちろん、取り回しのよさといったメリットを重視するならば、先に説明したように、十分な動機にはなるのかもしれないが。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.