タダの“タフ”は卒業しました――松下の次世代Let's note「CF-Y5」ダイレクトPC最前線(2/2 ページ)

» 2006年04月26日 08時00分 公開
[兼子忍&ダイレクトPC取材班,ITmedia]
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性能アップと引き替えに冷却ファンを新たに内蔵

 4モデル全てに、Intel CoreのCPUとIntel 945GMS ExpressチップセットというNapaプラットフォーム採用と大幅なシステム変更を行った新Let's note LIGHTだが、その中で本機には唯一、デュアルコアCPUの低電圧版Intel Core Duo L2300(1.50GHz)が実装されている。A4ファイルサイズの本体に、十分な広さと解像度を持つ液晶ディスプレイと、配列に余裕のある19ミリピッチのキーボードを搭載するだけに、通常のA4ノートPCと同じくデスクトップPCを置き換えるメインマシンとして導入したいというユーザーも多いと思うが、本機は性能と操作性の両面で、その期待を満たしてくれる製品といえる。本機から、キーボードのキーストロークが2ミリから2.6ミリに増加しているのもうれしい。

CF-Y5のマザーボードで、低電圧版CPUのIntel Core Duo L2300(1.50GHz)は左上にある。右上の空洞にはHDDが入る

 ただ一方で、従来のLet's note LIGHTと大きく異なるのが、CPU冷却用のファンを搭載した点だ。試作機で試したところ、アイドル時は従来とそれほど変わらないものの、下記ベンチマークテストを行った場合は、左側面の奥に設けられた排気口から、やや耳障りな風切り音が聞こえた。また、ファンの回転が多段階に切り替わるのも気になった。冷却ファンの採用は安定した動作を得るために仕方のない選択だったのだろうが、これまでのLet's note LIGHTシリーズを知るユーザーなら、どうしても違和感を覚えてしまう部分だろう。このあたりは製品版での仕上がりに期待したいところだ。

 CF-R1以来の伝統だった、ファンレス仕様による抜群の静音性は失われることになったが、通常のオフィス環境ではファンのノイズは気にならないはずだ。負荷がなくなるとすぐにファンの回転が落ちるのも好ましい。なお、発熱面は高負荷時にCPUが位置するキーボード左側の一部や底面左側で熱が感じられたが、常に肌が触れるパームレストは熱を持たず、不快に感じることはなかった。

ベンチマークテスト
PCMark05(Build 1.1.0)           
PCMarks 2365
CPU 3512
Memory 2474(2380)
Graphics 766(621)
HDD 2774
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3
High 1671
Low 2731
いずれも試作機のため製品版とは異なる場合があります。カッコ内はメモリ/ビデオクロックが400/133MHz(それ以外は533/166MHz)で計測

 端子類は構成こそ前モデルとそれほど変わらないが、配置は大きく変更された。2基のUSB 2.0や有線LANとFAXモデムが右側面に移動し、逆にPCカードスロットは左側面手前に移った。また、左側面中央にオプションのミニポートリプリケーター(2万1000円)の接続端子が加わった。

 このミニポートリプリケーターはサイズが150(幅)×52(奥行き)×22(高さ)ミリ、重量が約210グラムで、専用端子でPCと接続する。4基のUSB 2.0端子と有線LAN、アナログRGB出力とDC入力端子があり、ワンタッチでこれらのケーブルを着脱できるのが魅力だ。IEEE1394端子を持たない割り切った構成はこれまでと変わらないが、本機を省スペースデスクトップPCとして利用したいユーザーには、ミニポートリプリケーターの採用は朗報だろう。

 14.1インチの液晶ディスプレイは、主流の光沢液晶を避けて映り込みが邪魔にならない非光沢タイプを搭載する。画面解像度も1400×1050ドットのままだが、本機では透過率を高めて従来機以上に省電力となった(画面輝度は前モデルとほぼ変わらないとのこと)。

 メインメモリは512Mバイトをオンボードで備え、最大1024Mバイトまで搭載可能だ。ただ、増設用のメモリスロットがMicro DIMMのままなのは残念なところ。ボディサイズにゆとりがあるだけに、より汎用性が高く安価なSO-DIMMを採用してほしかったところだ。細かいところでは、DVDスーパーマルチドライブの記録速度がCF-Y4と変わらず、DVD±Rメディアの読み出しが高速化されただけで、2層メディアの書き込みに非対応なのが物足りなさを覚える。

14.1インチのパネルサイズや1400×1050ドットの画面解像度は従来と同じだが、透過率を高めている(左)。ホイールパッド周りのデザインが変更されたほか、キーボードのキーストロークが2ミリから2.6ミリに深くなったのも見逃せない(右)
無線LANの電源スイッチが前面に追加された(左)。インターフェイスは構成こそ同じだが配置は前モデルから大幅に変わっている(右)。左側面奥には排気口が、アナログRGB出力の右隣にはミニポートリプリケーターの接続端子が並ぶ。なお、有線LANとFAXモデムのゴムカバーは省略された

外装やスペックにこだわりたいならば直販のマイレッツ倶楽部モデルがおすすめ

 CPUに低電圧版Pentium M 778(1.60GHz)を搭載した前モデルのCF-Y4に比べ、ハードウェアスペックの変更はNapaプラットフォームの採用が最大のトピックで、512Mバイトのメモリや容量60GバイトのHDDに変わりはない。とはいえ、CPUは動作クロックこそ1.50GHzに下がったがデュアルコアになり、グラフィックスの性能も915GMSから向上している。ボディは最厚部で44.5ミリもあるので、カバンへの収納という点では今ひとつだが、これだけの大画面と性能を備えたPCが気軽に持ち運べるのは、何物にも代えがたいものがある。

 それでいて実売価格は26万円前後と、CF-Y4登場時より5000円ほど下がった。けっして安い買い物ではないが、バッテリーの駆動時間の延長や軽量化、ボディの堅牢性アップを考え合わせれば、A4ファイルサイズの軽量2スピンドルPCとして唯一無二の注目モデルであることは間違いない。

 なお、店頭モデル(CF-Y5KW8AXR)はメモリが512Mバイト、HDD容量が60Gバイト(2.5インチ)の1モデルのみで展開されるが、同社の直販サイト「マイレッツ倶楽部」から本機を購入する際は、一部のスペックと天板のカラーリングをカスタマイズできる。

 変更可能なのはメモリとHDD容量のほか、天板のカラーやオフィススイート(Microsoft Office Personal Edition 2003/同Professional)、ネームプレートの有無、キーボード刻印の選択、3年間特別保証の有無と限定的で、BTOと呼べるほどの柔軟性はないが、店頭販売モデルのスペックに不満を感じたり、個性的なカラーリングを求めるなら、直販限定のカスタマイズモデルを選択するといいだろう。また、マイレッツ倶楽部ではさまざまなキャンペーンが随時開催されているので、それらを上手に活用してほしい。ちなみに、天板のカラーはメタリックライトブルー/シルバーフェザー/ガンメタリック/レッド/ギャラクシーブラックの5色から選択できる。


直販でお気に入りの1台を手に入れる――兼子忍のオススメBTO

BTO内容と項目
CPU Intel Core Duo L2300(1.50GHz)
メモリ 1024MB(PC2-4200)
グラフィックス チップセット内蔵(Intel 945GMS)
HDD 100GB(2.5インチ)
光学ドライブ DVDスーパーマルチ
無線LAN IEEE 802.11a/g/b
キーボード 標準日本語キーボード
オフィススイート Office Personal Edition 2003
OS Windows XP Professional(SP2)
天板カラー シルバーフェザー(変更なし)
価格 31万8450円(キャンペーン適用ずみ)
価格は2006年4月26日現在

 マイレッツ倶楽部で変更できるパーツは限定的だが、その中で最大限の強化を施すことにした。HDDを100Gバイト、メモリを1Gバイトに強化したことで、メインノートとしての使い勝手は格段に向上している。また、ビジネスユーザー必携のオフィススイートも追加した。天板カラーは、シャーシとのマッチングを考えて、店頭モデルと同じシルバーフェザーを選んだ。なお、マイレッツ倶楽部で購入すると標準保証期間が3年間と長いほか、底面に取り付けるネームプレート(ヘアライン/ミラーのどちらかを選択)が無償で付いてくる。


店頭モデルでは手にできないスペックにこだわる――ダイレクトPC取材班のオススメBTO

BTO内容と項目
CPU Intel Core Duo L2300(1.50GHz)
メモリ 512MB(PC2-4200)
グラフィックス チップセット内蔵(Intel 945GMS)
HDD 100GB(2.5インチ)
光学ドライブ DVDスーパーマルチ
無線LAN IEEE 802.11a/g/b
キーボード ローマ字すっきりキーボード
オフィススイート
OS Windows XP Professional(SP2)
天板カラー ギャラクシーブラック
そのほか 3年間特別保証
価格 29万5770円(キャンペーン適用ずみ)
価格は2006年4月26日現在

 ここでは、店頭では購入できない仕様にこだわったLet's note LIGHT CF-Y5を仕立てた。まずHDDは100Gバイトに増量して、メインPCでも過不足のない容量を確保した。5月31日まで100Gバイトを選ぶと純正の512Mバイト増設メモリがプラス1万5000円で追加できるので、予算にゆとりがあればぜひ選択しておきたい。また、万が一のことを考えて、標準の3年間保証ではカバーできない外的な偶然の事故によるレッツノートの損害に対して、無償で引き取り修理を行なってくれる3年間特別保証も加えた。こちらも5月31日まで半額キャンペーン(6300円)を実施中だ。外観では、天板をギャラクシーブラックにし、キーボードから日本語刻印を省いた「ローマ字すっきりキーボード」にしたおかげで、店頭モデルとは印象が大きく異なるPCに仕上がった。


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