きょうは「Quad SLI」のパワーと消費電力を垣間見たグラフィックスカード(3/3 ページ)

» 2006年05月01日 23時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]
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超高解像度で知るQuad SLIの実力

 以上のように“低解像度”条件ではNVIDIAがいうように真の実力を発揮できていないQuad SLI構成であるが、それでは、“高解像度”条件ではどのようなパフォーマンスを見せてくれるのだろうか。そこでDOOM 3において「1920×1200ドット」「SLI AA=16Sample」「異方性フィルタリング=16」の設定でtimedemoベンチマークを測定した。

超高解像度設定におけるDOOM 3 (timedemo demo1)
Quad SLI構成のGeForce 7900 GX2を組み込んだシステムと2枚差しSLI構成のGeForce 7900 GTXを組み込んだシステムのワットチェッカーで測定した消費電力

 もともと、ほかのベンチマークと比べてDOOM 3はQuad SLIの有効性が確認できていたが、「1920×1200ドット」「SLI AA 16X」と設定することでその効果はより顕著になっているのがグラフから分かる。SLI AAを有効にしていない解像度1600×1200ドット設定におけるQuad SLIのtimedemoベンチマーク結果は2枚差しSLIの1.5倍程度であったのに対して、SLI AAを有効にした1920×1200ドット設定では2倍近いパフォーマンスを叩き出している。

 2枚差しSLIが市販のゲームベンチよりFuturemark系ベンチマークでその効果が確認されていたのと比べ、Quad SLIがFuturemarkよりも市販ゲームベンチでより性能を発揮しているのに違和感を感じるかもしれないが、これはFuturemark系がSLI AAを有効にできないことが主な理由であって、「ベンチマークにチューニング」ということは考えなくともいいだろう。

 Quad SLIの真価はNVIDIAがいうように、「高解像度で」「アンチエイリアスや異方性フィルタリングを十分にかけた高画質で」ゲームを動かしたときに初めて発揮されることが、DOOM 3におけるパフォーマンスの向上や低解像度におけるFuturemark系ベンチの結果が示している。

Pixel Shaderテストで500ワットを突破したQuad SLI

 4つのハイエンドGPUを駆使するQuad SLIの最大消費電力はカタログスペックにおいて300ワットとなっていることは先ほど紹介した。GeForce 7900 GX2がOEM出荷のみでリテール販売の見通しが明確でないことも、Quad SLIを満足させるだけの電源ユニットが市場にない(出力ワットも問題だが、4つのPCI Express用6ピンコネクタを賄う4ピン12ボルトコネクタを8つも用意しなければならないことのほうが難題かもしれない)ことが大きな理由の1つとなっている。今回評価機材として使ったMCJのF8500A-QSもQuad SLIのためにカスタマイズした750ワットの電源ユニットを搭載している。

 実際にシステムがどれだけの電力を必要としているのか、ワットチェッカーを使って計測した結果を先のグラフに示した。とくに消費電力が高いテスト項目を並べているがピーク時で500ワットを超えていることに注目しておきたい。MCJが750ワット級の電源ユニットをPCに載せてくるのもうなずける。このほか、熱やグラフィクスカードが載せている4つのファンが発する音のことも多くのユーザーが気にしていると思うが、これらについては別の機会に紹介したい。

 今回の評価作業はデルの30インチワイド液晶ディスプレイ「3007WFP」を使って行っているが、このサイズのディスプレイに2560×1600ドットでDOOM 3を表示したときの精緻なモンスターの描画はPCゲームが「別な世界」に到達したと思わせる美しさであった。主観的な意見なのでベンチマークの評価とは別に見ていただきたいが、もしこれを読んで「ベンチマークの絶対値」としてのQuad SLIが期待通りでなかったとしても、店頭で2560×1600ドットという高解像度のQuad SLI動作デモを行っていたらぜひその描画となめらかな動きに注目していただきたい。

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