これはCore 2 Duo搭載ノートPCではないのか!?――Atom搭載PCの枠を広げる「HP Mini 5101 Notebook PC」に肉薄した:次世代ミニPCのスタンダードか(2/2 ページ)
日本HPが新たに投入したミニノートPC「HP Mini 5101」は、CPUにAtomを搭載した低価格ノートPCとは思えない質感と堅牢性を備えている。その実力は!?
標準で2Gバイトのメモリとギガビット対応の有線LANを内蔵
詳細なスペックはこちらの記事(1366×768ドット液晶やギガビットLAN搭載の「HP Mini 5101 Notebook PC」が登場)に詳しいが、本機はAtom N280(1.66GHz)のCPUにIntel 945GSE Expresチップセットという、Netbookらしい仕様になっている。ただ、メモリは標準で2Gバイト搭載し、ストレージは容量160Gバイトの2.5インチHDD(7200rpm)か、128GバイトのSSDから選べる。グラフィックス機能はチップセット内蔵のIntel GMA 950だ。なお、HDDドライブの換装には本体の分解作業が必要となるが、メモリスロットには底面から簡単にアクセスでき、カバーもレバー操作で取り外すことが可能だ。
一方の通信機能は充実しており、Atom搭載PCでは珍しくギガビット対応の有線LAN(Marvell製のギガビットコントローラ)を搭載するほか、IEEE802.11a/b/g/n(nはドラフト2.0準拠/Intel WiFi Link 5100 AGN)の無線LANとBluetooth 2.1を標準で装備する。バッテリーを取り除けばSIMスロットが用意されており、日本通信との提携による3G通信機能内蔵モデルの登場にも期待が持てそうだ。
標準装備のバッテリーはリチウムポリマーの4セルタイプで、容量は14.8ボルト 29ワットアワーだ。バッテリー駆動時間は約4.5時間で、オプションの6セルバッテリー装着時は約9時間となっている。6セルバッテリーの駆動時間が長いのは、大容量セルのリチウムイオンバッテリーを採用しているためとのことで、実機が手配できれば改めてテストしてみたい。6セルバッテリーを装着しても本体の背面にバッテリーは出っ張らず、底面に張り出す形となる。なお、バッテリー自体の重量は約195グラム、本体のみで約955グラムとHDDモデルの実測値は公称の約1.2キロを下回っていた。
ボディサイズが262(幅)×180(奥行き)×23.2~31(高さ)ミリとスリムな本機だが、ACアダプタは48(幅)×107(奥行き)×30(高さ)ミリ、重量がケーブル込みで約400グラムとやや大柄な従来モデルと変わらないのは物足りない。電源ケーブルは長さが約180センチもあり、太いうえに重量が約166グラムもある。付属のL字型アダプタは約40グラムと軽くて小型なので、携帯時はこちらを有効に活用したい。
パフォーマンスはNetbookクラスで標準レベル
最後に、ベンチマークプログラムを使ってHDDモデルの性能を計測してみた。本機のプリインストールOSはWindows XP Professional(SP3)だが、Windows Vista Businessのダウングレードを利用しており、リカバリメディアはXPとVista(32ビット版)の両方が付属している。比較対象として、PCMark05では1024×576ドット表示で160GバイトHDD、1Gバイトメモリを搭載したHP Mini 2140 Homeモデル、3DMark06とFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3では、80GバイトSSDを搭載した高解像度のHP Mini 2140のスコアを選んだ。
PCの総合的なパフォーマンスを計測するPCMark05では、Atom N270(1.6GHz)を採用したHP Mini 2140 HomeモデルからCPUがクロックアップした分(1.66GHz)の上積みが見られるが、Netbookとして見ればいたって標準的だ。ただ、HDDの値は7200rpmのドライブを備えただけに6000近いスコアを記録している。グラフィックス関連のテストである3DMark06やFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3では、内蔵グラフィックスゆえスコアがふるわないが、こちらもNetbookクラスでは妥当な値だ。
バッテリー駆動時間のテストは、海人氏作の「BBench 1.01」を利用した。液晶ディスプレイの輝度を最高、無線LANを常時接続し、10秒おきにキーボード押下、60秒ごとにインターネット巡回(10サイト)を行う設定でテストしたところ、2時間33分でバッテリーの残量がゼロになった(電源設定をポータブル/ラップトップ)。公称値の約4.5時間には遠いが、液晶ディスプレイの輝度を下げれば3時間近い運用は可能だろう。
システムに高い負荷をかけ続けてもキーボードやパームレストは30度台前半と熱を帯びない(室温は約26度)のは好ましいが、そのぶん底面はメモリスロットを中心に40度を超える部分があるほか、左側面にある排気口から聞こえるファンの風切り音が耳につく。加えて、ファンが高速に回転しているとパームレストにファンの振動が伝わってくるのも気になった。
Netbookの新たなスタンダードとして要注目の1台
同社直販のHP Directplusでも法人向けのコーナーから購入する必要があるなど(店頭モデルも用意されない)、入手性という点では万全とはいえないが、HDDモデルで6万9930円、SSDモデルで7万9800円とスペックアップを実現しながら従来モデルの価格を維持しているのはうれしい。Netbookとしては高価な部類に入るが、上質な質感を持ったボディをはじめ、HDDを振動や落下から守る3Dドライブガードなどの優れた堅牢性はビジネス向けモデルならではのアドバンテージだ。
個人ユーザーとしてはWindows 7 優待アップグレードに対応しないのは残念なところだが(Windows 7プリインストールモデルの追加を検討中とのこと)、SOHO/企業ユーザーが対象なだけに、Windows XP Professionalの採用は妥当なところだろう。細かいところでは、本機からワープロ、表計算、プレゼンテーションを閲覧、作成できる「Corel Home Office」がプリインストールされている。マイクロソフトのOfficeシリーズと互換性があり、SOHO用途では意外と重宝するかもしれない。
高解像度の液晶ディスプレイに扱いやすいキーボード、ギガビットLANなど充実した通信機能、そして堅牢性に秀でたボディは、次世代Netbookのスタンダードいえるものだ。ACアダプタのサイズや発熱面など気になるところもあるが、今後のNetbook/ミニノートPCの動向を方向付ける1台として要注目なのは間違いない。今回はHDDモデルを試したが、SSDモデルと大容量バッテリーを入手でき次第、改めてテストを実施する予定だ。
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