その美しさが「特別な満足感」を生み出す──デル「XPS M2010」(3/3 ページ)

» 2006年06月05日 06時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]
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実は強力なハイパフォーマンス構成

 その斬新なスタイルやデル クライアント製品マーケティング本部XPS M2010ブランドマネージャー 石川里美氏の「M2010はゲームというよりはエンターテイメントノート」という発言もあってか、XPS M2010のパフォーマンスはそれほど注目されていないが、その構成をチェックするとCPUにはIntel Core Duo T2600、最大4GバイトのDDR2メモリ、RAIDを構成できる2台の内蔵HDD、そしてグラフィックスチップはMobility Radeon X1800と、パフォーマンスを重視するゲームユーザーも見逃すことができないハイパフォーマンスパーツがBTOで用意されている。そのパフォーマンスをベンチマークで測定した結果は以下のようになっている。

PCMark05
PCMark4828
CPU4974.0
Memory3256.0
Graphics4655.0
HDD4024.0
HDD - XP Startup8.9
Video Encoding312.9
Image Decompression25.9
WMV Video Playback42.6

PCMark04
PCMark6682
CPU6157.0
Memory4144.0
Graphics7386.0
HDD4179.0
WMV Video Compression80.7
DivX Video Compression77.3

1024×768ドット、nonAA、nonAniso1024×768ドット、4XAA、8XAniso1600×1200ドット、nonAA、nonAniso1600×1200ドット、4XAA、8XAniso
3DMark06 SM2.0 Score13111096953615
3DMark06 Pixel Shader139.072108.78967.59954.895
3DMark06 Perlin Noise (SM3.0)28.27728.06312.68612.605
3DMark03 3DMark Score11442716673684468
3DMark03 GT1309.0201.7184.1118.6
3DMark03 GT471.556.152.236.8

 Mobility Radeon X1800を搭載しているので3Dグラフィックス性能も期待できる。ただし、ビデオメモリをメインメモリと共有するHyperMemoryを採用しているため(デルの説明ではローカルで持っているビデオメモリは64Mバイト、共有メモリと含めて最大256Mバイトサポート)ため、先日紹介したGeForce Go 7900GTXを搭載したXPS M1710ほどではないが(こちらはビデオメモリを512Mバイト搭載した状態で測定してる)、それでもミドルレンジGPUやチップセット内蔵グラフィックコアを使っているノートPCと比べたら圧倒的に性能が高い。1680×1050ドットというゲームPCとしては高い解像度で十分に3Dゲームを動かすだけのパフォーマンスを発揮してくれる。


インタフェースは本体に集中しているので、キーボードをつけた状態ではかなり後ろ寄りに感じる。カードスロットは右側面に、USBは左側面と背面に用意されている

本当の「特別な満足感」をユーザーに提供できるか

 XPS M2010はそのサイズとスタイル、そしてセパレート型のキーボードなどから「これがノートPCである必然性はあるのか」「液晶一体型PCとなにが違うのか」という議論になりやすい。しかし、それよりも大事なのはPCのカテゴリーではなく「ユーザーにどのような使い方を提供してくれるのか」ということになる。デルがいうところの「特別な満足感」を“イメージ”だけでなく本当に使えるものとしてXPS M2010だけが提供できるものがどれだけ用意されているのだろうか。

 国内メーカーのハイエンドノートPCがAV機能を重視して「大画面」「高画質エンジン」「デジタル放送対応」「デジタルコンテンツのムーブ」「1920×1200ドット表示でフルHD対応」というスペックを最上位モデルで搭載している。最も新しいラインアップでは「次世代光学ドライブ内蔵」モデルも登場している。

 XPS M2010はデルの最上位ノートPCというだけでなく、いま述べたAV利用を重視したハイエンドノートPCと競合していくことになる。そのスタイルやギミックはもちろんユーザーを満足させてくれるだろう。これはXPS M2010でないと提供できない要素だ。

 「高画質」というキーワードにおいて、XPS M2010はMobility Radeon X1800のベンダーであるATIが提供する高画質化機能「Avivo」を利用するとデルは説明している。ただし、評価機ではAvivoの設定を行う「Catalyst Control Center」が正しく機能していなかったためその状況を確認できていない(.NET 2.0のインストールで中断してしまうためCatalyst Control Centerが導入できなかった)。そのため、高画質機能についてこのレビューでは言及しない。

 国産の最上位ノートとスペックを比較してユーザーが最も気になるのが「デジタル放送対応」「デジタルコンテンツのムーブ」「1920×1200ドット表示でフルHD対応」にXPS M2010が対応していないことだろう。「この機能がない」ということを日本のユーザーはとても重視して考えているが、一方でデジタル放送やフルHDコンテンツを利用したいと考えるユーザーは圧倒的多数ではなかったりする。だからといって40万円以上と予想されているXPS 2010の価格を考えるとき、「いま利用できるコンテンツの状況を考えればこのスペックでも十分で問題ない」というのは無責任かもしれない。

 20.1インチの液晶ディスプレイといま存在するすべてのノートPCとははっきりと次元が異なるそのスタイル、そして卓越したハイパフォーマンス。これらがXPS M2010がほかのノートPCでは得ることができない「特別な満足感」のすべてといっていい。この要素を重視するユーザーにとってXPS M2010が唯一の選択肢となるのは間違いないだろう。

XPS M2010(評価機構成)
CPUIntel Core Duo T2600(2.16GHz/uFCPGA)
チップセットIntel 945GM Express
ノース/サウスブリッジIntel NG82945GM/FW82801GBM
L2キャッシュ2048KB(CPU内蔵)
メインメモリ容量2048Mバイト
規格DDR2 SDRAM(PC2-5300)
メモリスロット(空き)200ピンSO-DIMM×2(0)
ハードディスク容量シリアルATA 120Gバイト×2(RAID 1で実質120Gバイト)
内蔵ドライブDVDスーパーマルチ
型名TEAC DVW28SLZ
ディスプレイサイズ20.1インチ
解像度1680×1050ドット
グラフィックスチップMobility Radeon X1800
グラフィックスメモリ64Mバイト(メインメモリ共有で最大256Mバイト)
サウンドチップチップセット内蔵(HDオーディオ)
光デジタル音声出力角形×1(外付け)
PCカードスロット-
ExpressカードスロットExpressカード54/34×1
メモリカードスロット13in2スロット
USBUSB 2.0×4
IEEE1394S400/4ピン×1
ビデオ出力Sビデオ
ポインティングデバイスタッチパッド
イーサネット1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T
無線LANIEEE802.11 a/b/g準拠
FAXモデム56kbps(V.90)/14.4kbps
外形寸法W470×D205.6×H75.3ミリ
重量約8.31キロ
搭載OSWindows XP MediaCenterEdition

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