新生活に向けた“超多機能”複合機のススメ――エプソン「PM-A970/PM-T990」Vista搭載PCもTVもつながる(2/4 ページ)

» 2007年01月31日 08時00分 公開
[ITmedia]

設定いらずでキレイな写真を印刷できる「Epson Color」

 複合機でもっともよく使われる機能は、デジカメ写真の印刷だろう。従来はPCから印刷していたが、今では大部分の複合機がメモリカードスロットやPictBridge(デジカメと複合機をUSBで直結)に対応しているため、PCを使わないダイレクト印刷を利用する人も多い。当然、PM-A970でもダイレクト印刷が可能で、PC用のプリンタドライバと変わらない品質が得られる「Epson Color」が大きなポイントとなっている。

 Epson Colorは、フォト印刷における一種のブランドだ。特別な設定をせずに、ほぼ全自動でどんな写真でも美しく印刷できるのが特徴となる。これを実現するのが、自動画像処理技術の「オートフォトファイン! EX」だ。オートフォトファイン! EXは、印刷する写真画像を解析し、写真に応じて最適な色補正を自動的に施す。逆光撮影で人物の顔が暗くなってしまった写真や、ホワイトバランスのミスで色被りした写真でも、自動色補正でキレイに仕上げてくれる。しかも、写真内の「人物の顔」を自動認識して、顔の面積に応じた補正強度や、人肌重視の色補正を自動的に判断する。具体的には、写真内に占める顔の面積が大きい場合は、顔色がもっともキレイになる補正を行う。顔の面積が小さい場合は、背景などの色バランスが大きく変わらないように、控え目に補正するわけだ。実際、逆光写真と色被り写真に関しては、ほとんどの場合で見違えるような写真が印刷できる。

 操作も簡単で、デジカメのメモリカードをPM-A970のメモリカードスロットに入れ、印刷したい写真を液晶モニタの表示から選んでスタートボタンを押すだけだ。用紙種類や用紙サイズ、印刷品質などは、必要に応じて設定する。オートフォトファイン! EXの補正モードも変更可能だ。通常はデフォルトの「標準」で問題ないが、写真によって「人物」「風景」「夜景」といった補正モードが用意されているため、これらも試してみるとよいだろう。

 そのほか、PictBridgeによるデジカメ直結のダイレクト印刷、IrSimple(高速赤外線通信)による携帯電話からのダイレクト印刷も可能だ。オプションでBluetooth通信ユニットも用意されている。

メモリカードスロットは4スロットあり、合計19種類のメモリカードに対応(写真=左)。miniSDカードなどの小型メディアにはアダプタが必要だが、SDHCメモリーカードを含め、ほとんどのメディアを直接セットできる。操作パネルは液晶モニタのチルト調整が可能(写真=中央)。操作は左側のモードボタンで動作モードを選択し、液晶モニタを見ながら右側の4方向ボタンとOKボタン、印刷枚数ボタンなどで設定を行う。最後にスタートボタンを押して動作の実行だ(機能によってはOKボタンで実行する場合もある)。印刷設定メニューでは、自動画像補正のオートフォトファイン! EXの補正モードを変更できる(写真=右)
室内でフラッシュを使わずに撮影した子供の写真データ(写真=左)。背景の窓の光によって少し逆光気味になっており、全体的にも暗い。この写真をPM-A970でメモリカードダイレクト印刷すると、特別な画質補正をユーザーがしなくてもEpson Colorにより良好な色合いで出力された(写真=右)。窓の外は白く飛んでいるが、写真としては関係ない部分なので問題ない。少し彩度が高いものの、明るさとコントラストのバランスがよく、明るさアップによるノイズも見られない

 作業効率を左右する印刷速度にも抜かりはない。印刷品質が「標準」の場合、L判1枚のダイレクト印刷が約25秒しかかからず、高速に出力できる(印刷時間はスタートボタンを押してから排紙されるまでを計測)。1つ上位の品質設定で「きれい」も選べるが、通常は「標準」で十分だろう。「標準」と「きれい」の違いは、並べてよく見比べなければ気にならないレベルだ。

 ダイレクト印刷の速度向上に貢献しているのは、新しい画像処理エンジンの「REALOID」(リアロイド)だ。これは画像処理を専門に行うチップで、メモリカードからのデータ読み込みや印刷データのレンダリングなどを、並列で処理する。このため、スタートボタンを押してから約5秒という速さで印刷が始まるほか、液晶モニタへの画像表示やメニュー操作がキビキビしている。目立たないところだが、操作のレスポンスのよさは、使い勝手に大きく影響するのだ。

 また、インク滴のサイズを5段階調整する「Advanced-MSDT」も印刷速度の高速化を後押ししている。従来は3サイズ(2ピコリットル/6ピコリットル/20ピコリットル)のインク滴を使い分けていた「MSDT」(Multi Sized Dot Technology)だったが、Advanced-MSDTでは5サイズ(1.5ピコリットル/13ピコリットル追加)を併用する仕様になった。これにより、階調表現力が高まり、粒状性も減少している。

 インクと用紙を含めたランニングコストは、L判1枚あたり約19.6円とリーズナブルだ。最近はショップDPEやインターネットDPEのデジカメ印刷が安くなり、利用する人も少なくないが、好きな写真を好きな枚数で、好きなときに自宅で印刷できるのは、複合機ならではのメリットと言える。1回の印刷枚数が少なかったり、割と高い頻度で印刷している場合は、複合機のほうが確実に快適だ。「印刷」という行為自体も、どんどん楽しくなるだろう。

CD-RW/DVD-ROMコンボドライブをはじめとする便利なスタンドアロン機能

 PM-A970は、スロットイン式のCD-RW/DVD-ROMコンボドライブを内蔵している。そのおかげで、スタンドアロンでできることが大幅に増えた。まず、デジカメ写真が記録されたメモリカードから、データをCD-R/RWメディアに直接バックアップできるようになったことが大きい。メモリカードの写真をすべてバックアップ、好きな写真を選んでバックアップ、日付指定でバックアップという3通りから選べる。CD-R/RWメディアに書き込む場合、家族や友人、旅行、スポーツ、ビジネスといったキーワードで分類したCDアルバムを作成できるのがユニーク。CD-R/RWメディアの空き容量があれば、追加も可能だ。

 こうして書き込んだCD-R/RWメディアの写真は、PM-A970からダイレクト印刷やスライドショーが行える。また、メーカーのサポート対象外になるが、PCで画像ファイルを書き込んだCD/DVDメディアからもダイレクト印刷が可能だ。

 CD-R/RWメディアへの書き込みが終わったあと、液晶モニタのメッセージに従って、バックアップした写真を並べたCDレーベル印刷をすれば、オリジナルアルバムCDの完成だ。CDレーベルに配置される写真は8コマで、バックアップした写真の先頭(ファイル名が若い順)から8コマが自動的に印刷される。CDレーベル印刷しておくと、そのCDに保存されている写真が一目で分かって便利だ。

 CDレーベルに配置する写真を自分で選びたいときは、CD-R/RW書き込み後のCDレーベル印刷をキャンセルし、「メモリカードモード」の「CD/DVD印刷」を使う。CDレーベルに配置する写真のレイアウトは、1枚、4枚、8枚、12枚が選べる。なお、CD/DVDレーベル印刷機能には、既存のCD/DVDメディアのレーベルを、ホワイトレーベルのCD/DVDメディアにコピー印刷する機能もある。

 このように、デジカメ写真のダイレクト印刷、CD-R/RWメディアへのデータバックアップとアルバム作成、CD-R/RWメディアからのダイレクト印刷、CD/DVDレーベルのダイレクト印刷など、従来はPCで行っていた作業をPM-A970だけで完結できるのは、使ってみて初めて実感できる快適さだ。デジカメ写真をPCのHDDにまとめて保存していると、整理が追いつかなくなりがちだが、PM-A970でそのつどCD-R/RWメディアに書き込んでおけば、見たい写真や印刷したい写真が探しやすくなるだろう。

CD-RW/DVD-ROMコンボドライブはスロットイン式なので、メディアを出し入れしやすい(写真=左)。CD-R/RWは読み書きとも24倍速、DVD-ROMとDVD-Rメディアは読み込み8倍速、DVD-RWメディアは読み込み5倍速となる。記録型DVDメディアの書き込みには対応しない。メモリカードのデータをCD-R/RWメディアに直接バックアップが可能(写真=中央)。CD/DVDレーベル印刷を行うには、本体前面のトレイガイドを開き、付属のCD/DVDトレイに印刷するメディアを乗せてガイドに差し込む(写真=右)

 スキャナ機能にも注目だ。35ミリネガ/ポジのフィルムを読み取れるうえ、フィルムスキャンからのダイレクト印刷まで行える。色あせたフィルムを自動補正する「退色復元」も適用可能だ(紙焼き写真は写真コピーモードのみ退色復元に対応)。また、反射原稿のスキャン画像をメモリカードにダイレクトに保存できる機能も役立つ。保存時のファイルフォーマットはJPEG形式とPDF形式が選択でき、原稿タイプで「文字」か「写真」を指定すると、それぞれに最適な露出設定でスキャンされる仕組みだ。

 そのほか、ポストカード作りにおすすめしたい機能として「手書き合成シート」がある。これは、メモリカードの写真と、ユーザーが手書きした文字やイラストを重ね合わせて、1枚の用紙に印刷できる機能だ。最初に手書き合成シートを印刷して、手書き文字やイラストを描き込む。次に、手書き合成シートをPM-A970でスキャンすると、メモリカードの写真と手書き文字、イラストが合成されたうえで印刷される。

4.0インチのPhoto Fine Ultara液晶は目を見張る高画質で、仕上がりView機能も便利

 こうしたスタンドアロン機能を使いやすくしている4.0インチの大画面液晶モニタ「Photo Fine Ultra」にも注目したい。これは、液晶の高開口率化と4色カラーフィルター(赤、黄緑、青、エメラルドグリーン)の採用により、色再現範囲を拡大したものだ。名前が示すように、高精細かつ高画質な表示は、複合機に搭載される液晶モニタとしては最高峰と言える。単なる操作メニュー表示用の液晶ではなく、デジカメ写真を「鑑賞」できるクオリティーだ。この液晶のおかげで、デジカメ写真をダイレクト印刷するとき、印刷後の色味をシミュレートして確認できる「仕上がりView」機能を実現している。

 大型の液晶モニタは操作性の向上にも貢献している。1画面に多くの情報を表示できるため、各種設定の見通しがよい。メニューの構成とボタン類の配置も工夫されており、操作パネルの左から右へと誘導するボタン操作によって、スムーズに使える。多機能ゆえ、メニューの項目が少々複雑になっている部分もあるが、それを感じさせない使い勝手のよいインタフェースだ。

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