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白いテラバイト級NASの性能とやらを試す(4/4 ページ)

» 2007年05月10日 17時00分 公開
[瓜生聖,ITmedia]
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操作感やパフォーマンスを検証

 LANDISK Teraが電源を内蔵していたのに対し、LANDISK Homeは72ワットのACアダプタを使用している。実際の消費電力を調べてみると、通常42〜43ワットで、内蔵HDDが停止すると16ワット程度まで低下した。待機からの復帰の際はピークを抑えるためか、4基のHDDが順次起動する。そのため、いったん待機状態になってしまうとアクセスが可能になるまでかなり時間がかかる。

 また、LANDISK Homeでは毎日/平日/曜日毎に起動時刻、終了時刻をスケジューリングすることができるので、明らかに自宅に誰もいない時間帯、誰も使用しない時間帯がある場合は電源をオフにしておくことができる。ただし、Wake on LANには対応していないようだった。

 LANDISK Teraのときにも苦言を呈したが、メニューの動作は緩慢で、画面遷移に10秒程度かかる。メニューを選択し、画面が表示される前に別のメニューを選択した場合などに、操作ができないというメッセージがたびたび表示される。正直言ってこの設定画面を使用して操作するのはストレスを感じることが多い。また、ところどころ記述に不備があるのも気になるところだ。例えば共有ユーザーをまったく作成していないときに「LANDISKユーザ・NTドメインユーザが登録されていません」というメッセージが表示されるが、そもそもLANDISK HomeはNTドメインに対応していない。

 そのほか、デジカメコピー中に操作を行おうとすると「現在バックアップ動作中です」と表示されるのも違和感がある。メッセージの内容だけでなく、一切の操作を受け付けないため、中断する方法が分からないのも問題だ。そこでFUNCボタンを押してみたところ、ステータスLEDがエラーを示す赤点滅になり、再度FUNCボタンを押すと緑点灯に変わる。コピー中は緑点滅であり、緑点灯はコピー終了を示すのだが、実際には終了しておらず、処理続行中だった。デジカメコピーはLANDISK Homeで強化された機能であり、よく利用されることが想定されるので改善をお願いしたい。

アクセスが一定時間なかった場合にスピンダウンする時間を10分後/20分後/30分後/1時間後/なし、から指定できる(画面=左)。スケジュールを設定し、起動時刻・終了時刻を指定可能(画面=中央)。デジカメコピー中の画面。コピーの中断方法は結局不明のまま(画面=右)

 基本的なパフォーマンスとしては、9676バイト(ヘッダ含まず)までのジャンボフレームに対応しており、フレームサイズを直接指定できるためチューニングはしやすい。以下にFDBENCH 1.1でのベンチマーク結果を掲載する。Readはほぼ安定して16Mバイト/秒、Random Readで10Mバイト/秒程度という結果だが、Writeはかなりばらつきが激しく、3.5Mバイト/秒〜7Mバイト/秒と2倍の開き、Random Writeに至っては1.7Mバイト/秒〜9Mバイト/秒と5倍の開きがあった(ちなみにFDBENCHを実行した環境はCore 2 Duo E6600、2Gバイトメモリ、WindowsXP SP2)。

FDBENCH 1.1の実行結果。データの書き込み速度はかなりばらつきがある

リビングに進出したテラバイトNAS

 前回、LANDISK Teraのレビューを行ったときには次のように書いた。

 一通り使ってみて感じたのは、想定されている利用環境がいまひとつはっきりとしないということ。DLNAサーバ機能などを考えると家庭内での利用を想定しているようにも思えるが、RAID構成での信頼性や保守性の高さは企業ユースとしても十分だ。

 今回のLANDISK Homeでは、この部分が非常に明確になった。データの安全性はRAID 5で割り切り、ドライブの交換はRelational HDを採用せず、その代わりメンテナンスにドライバー不要(コインで回せる、という意味だが)のネジを使う、といい意味でコストダウンを図りながら、製品の利用シーンをかなり具体的にイメージできるようになっている。

 それは例えば、家族の共有スペースにLANDISK Homeを設置して、デジカメを接続して撮りためた画像をコピーしたり、各個人のPCから音楽ファイルや動画を集めておき、そうして蓄積されたメディアファイルをDLNAあるいはWindowsファイル共有に対応したプレーヤーでリビングルームで鑑賞したり、PCからアクセスしたりするというものだ。そういった利用シーンでは、白くてシンプルな外観も大きな意味を持つだろう(企業向けNASの金庫のような外観はリビングには不釣り合いだ)。

 ただ、アイ・オー・データ機器のサイトで大きく紹介されている「TVにつなげて動画を楽しむ」という言葉にはやや首を傾げてしまう。LANDISK HomeにはTVへの出力機能はない。この言葉は「DLNAサーバ機能を利用すればDLNA対応TVから視聴できる」もしくは「DLNA対応プレーヤーを使ってTVに出力できる」という意味なのだが(実際に詳しく読むとサイトにもそう書いてあるが)、ちょっと早合点してしまうユーザーがいないか不安に感じる。

 もしLANDISK Homeの進化版が登場するとしたら、それは本当に一般のTVに直接接続できるようなものになるのかもしれない。RAID 5のNASにメディアプレーヤーが内蔵されるなど、いままでであれば荒唐無稽だった妄想が、コンパクトでエレガントな筺体を見ているとあり得なくもないのではないかという気になってくる。LANDISK Homeはリビングに進出した本格的なNASの、はじめの一歩なのだ。

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