見た目は変わった、中身はどうだ!?――新型MOVIE COWBOY「DC-MC35UL3」を最速で試すFTP対応でおじいちゃんも幸せ(2/3 ページ)

» 2007年06月29日 13時00分 公開
[瓜生聖,ITmedia]

操作メニューは大きく変わらずも……

 基本的な操作メニューに大きな変更はない。起動すると左端にHDD、USB、LANの3つのアイコンが並び、そこから対象とするストレージを選択する。右側のペインにそれぞれに含まれるフォルダやファイルが表示される、という流れだ。USBは2ポートに増えたが、USBを選択した場合は、両方のポートに接続されているディスクが連番でパーティションごとに列挙される。そのためメニュー上は大きな違いはない。

 違いがあるのはLANだ。UL2では対応プロトコルはWindowsファイル共有のみだったが、UL3ではそれに加え、FTP、UPnP、NFSが追加されている(UPnP、NFSは実装はされているもののサポート外扱い)。ただし、これらのプロトコルを同時に利用することはできず、設定画面で使用するプロトコルを選択しなくてはならない。プロトコルによって複数のサーバが利用できるか、それとも1つしか利用できないか、といった点が変わってくる。

メインメニューのユーザーインタフェースは従来モデルを踏襲している(画面=左)。起動画面はテイストは同じだが、おとなしめなものに変更された(画面=中央)。スクリーンセーバも変わらず(画面=右)

 それでは、新モデルで強化されたネットワーク機能を見ていこう。

 FTP(File Transfer Protocol)はインターネットでも広く利用されているファイル転送用プロトコルだ。レンタルサーバなどでもファイルをアップロードするためにFTPを使用するところも多く、比較的なじみのあるプロトコルと言える。

 UL3でFTPを利用する場合には、FTPサーバのアドレス、ID、パスワード、ポート番号、PASVモードかどうかをあらかじめ設定しておく。そのため、FTPで利用できるサーバは1台のみ、ということになる。

FTPクライアント、つまりUL3をクライアントとして、FTPサーバに接続する際の接続情報も設定画面から行う。リモコンでIDやパスワードを入力するのは結構つらい

 FTPはもともとがファイルの転送用、つまり1つのファイルをまるごと受け渡すためのプロトコルであるため、転送を途中から再開するレジューム機能はあっても、ファイルの任意の箇所から読み出したりするためのシーク機能はない。動画でのトリックプレイにははなはだ不利なプロトコルだが、MP3やMPEG、WMV、DivXなどを順次再生するには特に問題はなかった。ただし、DVDを丸ごとリッピングしたDVD-ISOは、今回の試作機ではまともに動作しなかった。

 FTPはほかのプロトコルが利用可能な環境ではあまりメリットがないかもしれない。ただし、インターネットで比較的広く利用されているという点において、意外に利用価値は高い。たとえば「実家にいる両親に随時撮りためている家族のビデオを見せる」という方法が考えられる。撮影したビデオを無料のWWWサービスなどにアップロードしておけば、実家からはインターネットに接続したUL3をつないで見ることができるし、PCを導入するよりもはるかに簡単なはずだ。もちろん、見せる相手は実家の両親でなくてもいいし、家族のビデオでなくてもかまわない。

UPnPの例。DiXim 2 for Vistaも、Windows Media Player 11も日本語は文字化けしてしまった

 UPnP(Universal Plug and Play)は、Windows Media Player 11のライブラリ共有(Windows Media Connect)のほか、DLNAサーバ「DiXiM 2 for Vista」が認識されることを確認した。ただし、サポート外ということもあり、動作は不安定かつ、バグと思われる挙動も見られる。たとえば日本語は完全に化けるし、閲覧権限のないフォルダをたどっていくと、実際にはルートフォルダから移動していないにも関わらず、カレントフォルダのパスだけはどんどん深くなってしまった。DLNAクライアント機能を待ち望んでいたユーザーもいると思うが試作機の段階ではちょっと時期尚早のようだ。製品の発売までにファームウェアのアップグレードによる対応に期待しよう。

 NFS(Network File System)は、UNIXで利用されているファイル共有システムだ。これはあまり利用することはないだろう。

 さて、いままでサポートされていたWindowsファイル共有はUL3では「SAMBA」と表記されている。おそらくほかのプロトコルが追加されたためにあえて付けた名称なのだろうが、これにはちょっと首をかしげてしまう。SAMBAとはWindowsファイル共有に利用されるSMBプロトコルなどの実装のことであり、Windowsファイル共有のことではない。加えて、WindowsユーザーにとってもSAMBAで通じるかはかなり疑問だ。メニュー画面のレイアウト上、字数制限があることも理解できるが、同じく正確でないのであれば「Windows」と書いてしまったほうがよさそうな気がした。

ストレージ機能をチェック

 MOVIE COWBOY自身をストレージとして利用する場合、UL2ではNDASを使用していた。NDASはドライバを導入することでWindows側からはローカルドライブとして利用できるというもの。UL3ではそれに加えて、FTPサーバ機能も追加された。FTPクライアントはさまざまなプラットフォームで用意されているので、NDASのドライバが提供されていないプラットフォームでもネットワーク越しの利用が可能になったことは歓迎したい。

 そのほか、本体の設置場所によっては、直接USB 2.0/1.1で接続してしまうこともできる。当然ながら速度的にはそちらのほうが有利だが、その間はメディアプレーヤーとしての利用はできない。

FTPサーバ機能。サーバ/クライアントの言葉がややこしいが、ここでの「クライアントの初期フォルダ」は「FTPクライアントがUL3にFTP接続してきた場合にサーバが設定する初期フォルダ」のこと(画面=左)。FTPクライアント機能も追加されている。FTPのストリーミング再生ができないフォーマットに関しては、あらかじめダウンロードしておけばよいだろう(画面=中央)。インターネットラジオも再生可能。実はUL2でもファームウェアのアップグレードで実現している(画面=右)

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