VAIO type R masterの中核を担うビデオ編集ソフトは、従来通りの「Adobe Premiere」シリーズだ。VGC-RM52DL9に付属しているのは、廉価版の「Adobe Premiere Elements 3.0」で、これにソニーが独自開発したプラグイン「VAIO Edit Components Ver.6.2」が組み合わされる。Premiere Elements 3.0自体がHDVの編集に対応しているが、ソニー独自のプラグインであるVAIO Edit ComponentsによってAVCHDへの対応も実現している点は見逃せない。
加えて、テープメディアのビデオカメラ用ユーティリティである「DVgate Plus Ver.2.3」とDVDオーサリングソフト「Click to DVD Ver.2.6」が、Premiereの入力と出力の機能を補完する形だ。
こうした基本的な構成は以前から変わらないが、ほかにも、音声データの調整を行なう「DigiOnSound5 L.E. for VAIO(HDV対応版」や、ビデオフォーマットの変換ユーティリティ「VAIO Content Importer/Exporter」、MPEGカット編集用の「TMPGEnc MPEG Editor 2.0 for VAIO」などのソフトも組み込まれている。
DigiOnSound5 L.E. for VAIO(HDV対応版)は、映像データを見ながら、コンプレッサーやノイズ低減といったエフェクトを簡単にかけることができるため、本格的な音楽編集を行わないビデオ編集ユーザーにも有効だ。しかも、単にバンドルしたというだけでなく、後述の中継ファイルが有効な状態でHDVデータを読み込めるといったカスタマイズも施されている。ただし、AVCHD形式のデータには対応していない。
「VAIO Content Importer」は、DVDメディアやHDDビデオカメラ、HDV/DVカメラなどの映像、さらにはアナログ映像やDLNAサーバ上の映像をファイルとしてVAIO上に取り込むことが可能だ。しかし、HDVカメラの場合は、ソニー製ビデオカメラしか認識できないほか、シーン検出やバッチキャプチャといった機能を持たないため、DVgate Plusを使ったほうが作業効率がよい。
VAIO Content Importerと対をなすのが「VAIO Content Exporter」だ。HDV1080iやAVCHDを含むMPEG、AVI、WMV、DVR-MSといった各種ファイルの形式を変換するためのユーティリティで、DVD-VideoやDVD-VRへの出力、Click to DVDのプロジェクトファイル出力もできる。AVCHD形式のファイルとして出力できるのもポイントだ。このソフト自体で簡易編集も可能だが、後述の中継ファイルは利用できない。
なお、Premiereが上位版の「Adobe Premiere Pro 2.0」でないことを気にするユーザーがいるかもしれない。確かに、Premiere Elements 3.0では、複数のシーケンスを用いた編集やマルチカム編集といった高度な機能が省かれているものの、プロが業務で利用するというのでなければ、工夫次第で解決できるものが多い。基本的な操作性はPremiere Pro 2.0と同様で、キーフレームを用いた高度な編集が可能だ。
それでも「Premiere Pro 2.0でなければ困る」というユーザーは、店頭モデルをあきらめてVAIOオーナーメードモデルを選ぶことになる。VAIOオーナーメードモデルでPremiere Pro 2.0を選択した場合の差額は、OSの違い(Premiere ProはWindows Vista Ultimateとの組み合わせが必須)を含めて2万円で、パッケージ版の価格を考えると、かなり割安でPremiere Proを入手できる。
7月中旬にはPremiere Proの最新版である「Adobe Premiere Pro CS3」の発売が控えているが、CS3へのアップグレードパッケージはPremiere Pro 2.0なら2万6000円で済む。VAIO Edit Componentsがバージョンアップされる時期にもよるが、Premiere Pro CS3へのアップグレードを考えるのであれば、VAIOオーナーメードモデルを検討したい。
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