PC USER Pro

その大きさにはワケがある――「HP Officejet Pro L7580 All-in-One」ADF/FAX搭載の35ppm複合機(3/3 ページ)

» 2007年11月06日 16時00分 公開
[小川夏樹,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

PCと連携させてこそ効果的な各種ツール類

 L7580は単体で運用することも考慮されているが、プリンタドライバやスキャナドライバに添付ツールを含め、PCと連携して使うことでより便利に扱える。特にネットワークで運用すると、本体の各種設定項目をWebブラウザ経由で表示させてチェック/変更したり、Webブラウザ経由でのスキャンなどが可能だ。

 「HPソリューションセンター」と呼ばれる一括管理/操作ツールでは、画像管理ツール「HP Photosmart Essential」との連携や、スキャン時の各種アプリケーションとの連携などが行える。また、プリンタドライバからメンテナンスツールの呼び出しやプリンタ情報の表示を行ったり、スキャナドライバ(TWAIN/WIA)を利用した詳細なスキャンが可能になるなど、PCと連携して使ってこそL7580の機能を余すことなく引き出せる。

有線LANを使ってネットワークで運用すると本体に内蔵されるメニュー用ページをWebブラウザ経由で利用可能になる(写真=左)。各種ステータスやネットワーク運用で必要な設定もここで行える。Webスキャンと呼ばれるネットワークスキャン機能(写真=中央)。本来ならUSB接続時だけに利用可能なスキャナ機能がWebブラウザベースのアプリケーションとして利用できる。標準添付される「HPソリューションセンター」は、L7580の一括管理と運用が可能な総合ユーティリティ(写真=右)

画像管理ソフト「HP Photosmart Essential」は、フォルダごとの画像管理や印刷、アルバムの作成、画像の共有機能などを持っている便利ツールだ(写真=左)。ちょっとした画像編集機能も持っており、簡単な修正であればHP Photosmart Essentialだけで行える(写真=右)

 プリンタドライバは、コンシューマー向けインクジェットプリンタ/複合機と共通のインタフェースを採用しており、機能別にタブを分けた構成になっている。あらかじめプリセットされた印刷設定を好みの設定にカスタマイズしたり、カラー印刷時の明度や彩度、色相などを変更することが可能だ。TWAINのスキャナドライバは基本的な画像補正機能を用意。ソフトウェアによる退色復元やゴミ/傷低減の機能も持つ。ビジネス向け複合機のスキャナ機能としては十分だろう。

プリンタドライバの「機能」タブから、印刷品質や用紙の種類、両面印刷などの設定を行う(写真=左)。「カラー」タブに用意されている「カラーオプションの詳細」ボタンをクリックすると、明度、彩度、色調、C/M/Y/Bkの濃度が調整できるウィンドウが表示される(写真=中央)。TWAINのスキャナドライバは、シンプルな画面構成ながら一通りの機能を持つ(写真=右)。自動補正や色調整、スキャン解像度などの細かい指定が可能だ

モノクロ印刷とドラフト設定で高速性を発揮

 それでは、L7580のプリントとコピーの速度を見ていこう。メーカー公称のモノクロ35ppm、カラー34ppmという印刷速度は、プリンタドライバの設定で最速となる「ドラフト」を選択し、プリントヘッドが動き出してから排紙されるまでの時間を計測した数値となっている。ドライバの設定は「きれい」「ドラフト」「高画質」から選択できるが、標準設定は「きれい」だ。今回は印刷品質のバランスにも配慮し、「きれい」の設定をメインにテストを実施した。

 ちなみに、米HPのサイトでは「きれい」(normal quality mode)の設定でモノクロ16ppm、カラー15ppmとの表記が見られる。今回のテストでは、この性能が出ているかどうかを検証してみたい。

ベンチマークテストの結果(すべてA4印刷)
モノクロ出力(きれい/JEITA J1)
ファーストプリント 13.32秒
ファーストコピー(原稿台) 15.47秒
ファーストコピー(ADF) 17.37秒
16部プリント 78.57秒
両面8部プリント 142.68秒
16部プリント(ファーストプリント含めず) 67.24秒
16部コピー(原稿台) 84.39秒
16部コピー(ADF、ファーストコピー含めず) 69.52秒
カラー出力(きれい/JEITA J9)
ファーストプリント 17.58秒
ファーストコピー(原稿台) 25.89秒
ファーストコピー(ADF) 28.76秒
15部プリント 148.48秒
両面8部プリント 243.57秒
15部プリント(ファーストプリント含めず) 128.64秒
15部コピー(原稿台) 157.62秒
15部コピー(ADF、ファーストコピー含めず) 136.47秒
モノクロ出力(ドラフト/JEITA J1)
16部プリント(ファーストプリント含めず) 48.24秒
16部コピー(ADF、ファーストコピー含めず) 55.52秒
カラー出力(ドラフト/JEITA J9)
15部プリント(ファーストプリント含めず) 60.64秒
15部コピー(ADF、ファーストコピー含めず) 66.47秒
テストに使用したPCのスペック CPU:Athlon 64 3200+(2.0GHz)、メインメモリ:2Gバイト、HDD:Seagate Barracuda 7200.7(ST3160021A/160Gバイト)、OS:Windows Vista Ultimate

 プリントのテストは、Word 2007からJEITA JI(モノクロ)およびJ9(カラー)の電子協標準パターンを印刷し、その速度をストップウォッチで計測するというものだ。Word 2007の印刷画面で「OK」ボタンをクリックした瞬間から最後の用紙が排出されるまでの時間を5回計測し、その中間値を採用している。Word 2007の印刷処理にかかる時間を含めた出力となるため、PCの性能次第で差が出てくる点に注意してほしい。

 コピー速度は「高画質」「きれい」「はやい」の設定が用意されており、「はやい」を選ぶとモノクロ35ppm、カラー34ppmの印刷速度が得られる。こちらも標準的な「きれい」設定を選択した。両面コピー速度の計測は割愛したが、2パス駆動によるコピーのため、片面コピーの倍程度の時間がかかると考えてほしい。

 コピーのテストは、プリントのテストで出力したJEITA JI(モノクロ)およびJ9(カラー)の電子協標準パターンを原稿台もしくはADFにセットし、本体のコピーボタンを押した瞬間から最後の用紙が排出されるまでの時間を計測した。こちらも5回計測し、その中間値を採用している。

 結果についてだが、モノクロの印刷速度はファーストプリント/コピーを含めない状態で公称値に近い速度が出た。ただし、最初の1枚目はプリント/コピーともに本体の処理時間が加わるぶん、余計に時間がかかっている。また、カラー印刷は図版や表組が多かったこともあるのか、公称値にはおよばない結果となった。

 そこで、「ドラフト」設定での速度も計測してみたところ、公称値に近い非常に高速な出力性能が確認できた。「ドラフト」設定では、モノクロ/カラーともに色が薄くなってしまうのが難点だが、社内文書として利用するのであれば、実用に足るクオリティはある。社外に出す文書は「きれい」設定で出力し、通常業務では「ドラフト」設定で出力するという使い分けをするとよいだろう。

 実際、この印刷速度ならば安価なカラーレーザープリンタよりも確実に高速だ。モノクロ印刷は顔料系インクでにじみのないクリアさで出力できるので、低価格モノクロレーザー複合機の対抗馬としても十分だろう。

 なお、テスト中は用紙切れが頻発してしまったので250枚の標準給紙トレイだけでは心許ない。できるだけオプションの増設給紙トレイも併用することをおすすめしたい。

300万画素のデジタルカメラで撮影したデータを普通紙に「高画質」設定で印刷し、それを600dpiでスキャンした画像(写真=左)。わずかに粒状感は認められるが、普通紙での出力であれば十分なクオリティといえる。普通紙に「きれい」設定で印刷したテキストを1200dpiでスキャンした画像(写真=右)。顔料系インクだけあってにじみも少なく、小さなポイント数でもくっきりと印刷されている。それぞれの縮小画像をクリックすると、実際のスキャン画像の一部(1280×1024ドット)を表示する


 L7580は、本体サイズこそ確かに大きいが、それに見合った豊富な機能をそろえ、高速印刷と低ランニングコストも実現しつつ、3万円台半ばに実売価格を抑えているのは魅力的だ。ADFとFAXを備えたカラー複合機を低予算で手に入れたい、しかも印刷速度にこだわりたい、と考えるSOHOなどのビジネスユーザーにとって、L7580は強い味方になってくれるだろう。

関連キーワード

HP | インクジェット | スキャナ | FAX | PDF


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月19日 更新
  1. バッファロー製Wi-Fiルーターに脆弱性 対象機種は今すぐファームウェア更新を (2024年04月17日)
  2. ノートPCに外付けキーボードを“載せて”使える「タイプスティックス/打ち箸」に新色 (2024年04月18日)
  3. ついに8K対応した「Insta360 X4」の画質をX3と1インチ360度版で比較 今買うべき全天球カメラだと確信した (2024年04月16日)
  4. さらなる高速化を実現! PCI Express 5.0接続SSDの新モデル「Crucial T705」を試して分かったこと (2024年04月18日)
  5. SwitchBotのミニプラグに不具合 「断続的にオン/オフを繰り返す、異音」などで該当製品の交換を呼びかけ (2024年04月17日)
  6. アイロボットが4万円切りの「水拭き対応ロボット掃除機」を投入 “一家に1台”を目指す (2024年04月17日)
  7. 無線LANルーター「Aterm」シリーズの一部に複数の脆弱性 設定変更や買い替えをアナウンス (2024年04月11日)
  8. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  9. 「JBL GO 4」でBluetoothスピーカーデビュー! 累計出荷台数5700万台を突破した人気製品の最新モデルを試す (2024年04月17日)
  10. NVIDIA、Ampereアーキテクチャを採用したシングルスロット設計のデスクトップ向けGPU「NVIDIA RTX A400/A1000」を発表 (2024年04月17日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー