テラバイトだから、できること――富豪的HDD活用術(3/3 ページ)

» 2007年11月14日 16時50分 公開
[爪生聖,ITmedia]
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大容量HDDが真価を発揮するのは、やはり動画だ

 一般的なPCの用途で、1ファイルあたりの容量が最も大きくなるのはやはり動画だろう。アナログビデオキャプチャのほか、最近ではハイビジョン映像をキャプチャできる製品も出回っている。ハイビジョン映像の場合、1分あたり1Gバイト程度になることもめずらしくないが、それでも1Tバイトあれば15時間以上の録画が可能だ。もちろん、16.8Mbpsで再エンコードしても120時間以上が収まる。

 PCでキャプチャを行わない場合でも、DVDレコーダーで録画したアナログ放送をPCのHDDに放り込んでおくという用途もある。DVDレコーダー内蔵のHDDからDVD-RAMなどの書き換え可能なメディアにいったんダビングし、それをPCでリッピングすれば、特にPCとの連携機能を持たない製品であっても問題なく取り込むことができる。4.7GバイトのDVD-RAMに2時間収録できるとして、これを1TバイトのHDDに移せば約400時間分の番組を保存できる計算だ。

 一方、DVD-Videoはメインとなる動画のほかにもメニューや特典映像など、さまざまな機能が付加されていることがある。そういった付加機能をカットして再エンコードしたり、もともと2層分の容量を1層にシュリンクしたりするためのソフトもある。だが、1Tバイトの容量があれば、そのあたりは特に気にすることなく、そのままのフォーマットでまるごとリッピングするほうが手間がない。isoファイルを仮想ドライブソフトでマウントして視聴するわけだ。

メディアファイル以外の用途も

仮想ディスクファイルは巨大になりがち。大容量HDDが求められる用途だ

 動画や音声、画像といったメディアファイル以外にも、大容量HDDが生かされる用途は多い。エミュレータもその1つだ。現在、仮想化技術はホットなテクノロジーの1つであり、PC上で仮想的なハードウェアを実現するエミュレータは、マイクロソフトの「Virtual PC 2007」をはじめ、InnoTekの「VirtualBox」や、VMWareの「VMWare」など、いくつもリリースされている。

 これらのエミュレータはHDDもエミュレーションするため、1つ、あるいは複数の巨大な仮想HDDファイルを使用する。さまざまなOS環境を必要とするソフトウェア開発者やテスター、サポートなどにたずさわる人は、そのメリットを十分に知っているだろう。

 ただし、近年の肥大化したOSを利用する場合は、当然ながら仮想HDDの容量が大きくなる。通常、仮想HDDファイルは使用している分だけ自動的に拡大していくが、Windows XPやWindows Vistaでは、インストール直後から4Gバイト以上の巨大なファイルになってしまう。このファイルをコピーすることでクリーンなOS環境をいくつも作り、それぞれに異なるセキュリティソフトをインストールしたり、IEのバージョンを変えたりして少しずつ異なるテスト環境を構築することはよくあるが、そうした使い方は大容量HDDの存在が前提になる。

 このほか、高速化のために大量のディスク資源を必要とするアルゴリズムを採用したプログラムというのも存在する。例えば、一方向暗号を解析するためにあらかじめ平文を暗号化した膨大なテーブルを作っておく、という手法。このテーブルはRainbow Tableと呼ばれるが、平文に含まれる文字種が増えれば増えるほど組み合わせも爆発的に増えていくため、Rainbow Tableの容量も巨大になる(英数字と記号で50Gバイトにも及ぶ)。大容量のディスク領域がなければ成り立たない手法だ。


 以上、HDDの大容量化によってもたらされるメリットを見てきたが、3万円前後で購入できる1TバイトのHDDを導入することで、PCの活用範囲が大きく広がることを実感できただろうか。ただし、あらゆるものをデータとして保存していくと、それを失ったときの絶望感は非常に大きい。くれぐれもバックアップは忘れずに……。

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