高速電脳の閉店で各ショップが考えること古田雄介のアキバPickUP!(1/4 ページ)

» 2008年02月04日 11時58分 公開
[古田雄介&ITmedia アキバ取材班,ITmedia]

高速電脳は高くなりすぎたハードルを越えられなかった?

閉店した高速電脳

 1月31日に突然閉店した高速電脳のニュースは、1日経ってアキバ電気街全体に広がった。各ショップの店員さんが閉店の原因をそれぞれ想像する中で、高速電脳への恨み節は聞かれない。むしろ、「明日は我が身」と気を引きしめる教訓として受け止める声が多かった。

 「1月末と9月末はPCパーツショップにとって、ちょっとしたハードルなんです」。PCパーツショップ密集地で働くある店員さんは語る。「1月末は年末に、9月末はお盆に仕入れた商品の支払いが集中するので、予想を下回る売り上げだと資金繰りが厳しくなる。ただ、今回の年末商戦はGeForce 8800 GTなどがヒットしたこともあって全体的に好調だったはず。やはり、高速電脳は立地面での不利が響いたのだと思います」。

 高速電脳はPCパーツショップ密集地から少し離れた場所にあるため、ユーザーの回遊ルートから外れやすいという。実際、1月初旬に高速電脳を取材した際、年末商戦で好調な結果を残したという感想は聞かれなかった。

 しかし、それらは最終的な引き金に過ぎないとのコメントもいくつかあった。某ショップは「高速電脳が本当に“小さなショップ”だったら、きっといまも普通に営業しているでしょう」と意味深に語る。

 曰く、「高速電脳は店舗こそ小さいですが、クーラーマスターの一次代理店であったり、ファンメーカーと共同で製品を開発するなど、比較的大規模な事業も行っていました。小売業だけにとどまらない戦略が高速電脳の強みであり、業界の活性化にも一役買っていたのですが、その半面リスクも大きかった。よく自作PC業界は淘汰(とうた)の時代に入っていると言われますが、そういう時勢ゆえに事業が失敗する危険も高くなっています。守りに入らず、攻めを続けたことでショートしてしまったのでしょう」とのことだ。

 単に事業を縮小して営業すれば業界を停滞させて自身の首を絞めかねないが、大きな事業を展開していくとハードルがどんどん高くなる。このジレンマを抱えつつ、業界や街の発展を模索しているのが、現在の秋葉原電気街の姿といえるのかもしれない。

平日の日中でも、PCパーツ密集地には多くの人が訪れている(写真=左)。高速電脳へと続く神田明神通り。人通りは少なくないが、密集地にはかなわない(写真=右)

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年03月29日 更新
  1. ミリ波レーダーで高度な検知を実現する「スマート人感センサーFP2」を試す 室内の転倒検出や睡眠モニターも実現 (2024年03月28日)
  2. Synology「BeeStation」は、“NASに興味があるけど未導入”な人に勧めたい 買い切り型で自分だけの4TBクラウドストレージを簡単に構築できる (2024年03月27日)
  3. ダイソーで330円の「手になじむワイヤレスマウス」を試す 名前通りの持ちやすさは“お値段以上”だが難点も (2024年03月27日)
  4. 「ThinkPad」2024年モデルは何が変わった? 見どころをチェック! (2024年03月26日)
  5. ダイソーで550円で売っている「充電式ワイヤレスマウス」が意外と優秀 平たいボディーは携帯性抜群! (2024年03月25日)
  6. 日本HP、個人/法人向けノート「Envy」「HP EliteBook」「HP ZBook」にCore Ultra搭載の新モデルを一挙投入 (2024年03月28日)
  7. 次期永続ライセンス版の「Microsoft Office 2024」が2024年後半提供開始/macOS Sonoma 14.4のアップグレードでJavaがクラッシュ (2024年03月24日)
  8. そのあふれる自信はどこから? Intelが半導体「受託生産」の成功を確信する理由【中編】 (2024年03月29日)
  9. サンワ、Windows Helloに対応したUSB Type-C指紋認証センサー (2024年03月27日)
  10. 日本HP、“量子コンピューティングによる攻撃”も見据えたセキュリティ強化の法人向けPCをアピール (2024年03月28日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー