2.5インチSATA対応のセパレート型MOVIE COWBOY――「DC-MC25U2」を徹底検証クレードルで得たものは?(3/4 ページ)

» 2008年05月16日 22時00分 公開
[瓜生聖,ITmedia]

DC-MC35UL3ゆずりの多彩なサポートフォーマットだが……

 DC-MC25U2がサポートするフォーマットはDC-MC35UL3からほぼ変わりはない。唯一、DC-MC35UL3がファームウェアのアップデートで対応予定としていたHD DVDのevoファイルが削除されているのみだ。

 動画の最大解像度は1920×1080ドット、WMV9のみ1280×720ドットとなっているが、実際には1920×1080ドットまで再生できた。ちなみに同社のスペック表では「m2ts ファームウェア更新により対応予定」と書かれているが、これはBlu-rayのH.264/MPEG-4 AVCファイルであり、MPEG2-TSのことではない。拡張子tsのMPEG2-TSは正常に再生可能だ。

 それでは音声に関してはどうだろうか。音声といえば通常、デジタル出力でサラウンド対応、と一言で済まされることが多い。だが、実際はAVアンプなど、手持ちのサラウンドシステム側が対応できる方式で出力されているかどうかがカギになる。

 誤解されていることも多いようなので、初歩的ではあるがマルチチャンネル音声について簡単にまとめておく。デジタル出力によるマルチチャンネル音声はさまざまな方式があり、一本化されていない。さまざまな方式でプレーヤーから出力されたマルチチャンネル音声はAVアンプなどが受け取り、デコードして各スピーカーなどへ出力する。そのため、AVアンプが対応していない方式ではプレーヤー側から出力しても再生することはできない。プレーヤーが再生可能な方式だからといって、すべてのAVアンプでサラウンドが楽しめるわけではない。このマルチチャンネル音声方式は同一企業・団体によるものは比較的上位互換性を保って開発されることが多いものの、制定元が異なると互換性はない場合がほとんどだ。

 サラウンドシステムはDVDと同時に普及したため、基本的には最低限DVDの収録形式をサポートする。これが非圧縮のリニアPCMとAC3(DolbyDigital)だ。その後、dtsが登場しており、現在のサラウンドシステムではこの3方式はまずサポートされていると思って間違いない。そのほか、現在一般的に使用されている形式としては、BSデジタル放送、地上波デジタル放送で用いられるMPEG2-AAC(AAC)がある。パイオニアの一部のAVアンプなどではマルチチャンネルに拡張されたWindows Mediaオーディオ、WMA9 Proにも対応している。さらにBlu-rayやHD DVDで採用されたDolby TrueHD、DTS-HD Master Audioなどの新規格もある。

 さて、DC-MC25U2でマルチチャンネル音声を楽しめる環境は、実は限られている。DC-MC25U2では、映像と音声を1本のケーブルでデジタル伝送するHDMIで接続した場合は、常に2チャンネルにダウンミックスされる。マルチチャンネル音声を再生するには光または同軸のデジタル出力を利用しなくてはならないが、その場合でも対応フォーマットには制限がある。

 実際に試した限りでは、DVD-VideoのISOファイルではAC3、dtsとも問題なく再生可能だったが、MPEG2-TSの5.1チャンネルAACは2チャンネルにダウンミックスされた。WMA9 ProはDC-MC25U2上で情報表示すると「WMAPRO 6CH」と認識されていたのだが、評価に用いたサラウンドシステム側がWMA9 Proに対応しておらず、2チャンネル出力しか確認できなかった。WMA9 Proに対応したAVアンプは数が少なく、一般的とは言えない状況だ。DC-MC25U2で再生可能なマルチチャンネル音声付きの映像は、AVアンプがWMA9Proに対応していればWMV+WMA9Pro、そうでなければMPEG2(AC3/dts)ということになる。

 なお、ハンファ・ジャパンによると「PCMは対応している」ということだったが、テストに使用したWMV+PCMファイルは音声が出力されないうえ、途中で映像が停止してしまった。5.1チャンネルなどマルチチャンネル音声はDVDだけでなく、地デジ放送でもNHKのスポーツ番組などで放送が始まっているが、DC-MC25U2で5.1チャンネルそのままで楽しむためにはそれなりの知識や手間が必要となりそうだ。

WMA9Proは6チャンネルとして認識された(画面=左)。AAC 5.1チャンネルは2チャンネルにダウンミックス(画面=中央)。MP3 Surroundも2チャンネルに。これは仕方ないかも(画面=右)

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