エプソンが“環境配慮型”液晶パネル工場を公開:HTPSは北海道で作るといい!?(1/2 ページ)

» 2008年07月08日 08時45分 公開
[前橋豪,ITmedia]

HTPSパネルの生産拠点となるエプソン千歳事業所

 セイコーエプソンとエプソン販売は7月4日、3LCD方式の液晶プロジェクターに搭載される高温ポリシリコンTFT液晶パネル(HTPSパネル)の生産拠点である、北海道の千歳事業所を報道関係者に公開した。なお、同日にはエプソングループの環境活動に関する説明会も開催されている。

 千歳事業所は北海道千歳市の工業団地「千歳美々ワールド」内にあり、約16万平方メートル(4万8468坪)の敷地に、地上7階・塔屋1階の建屋が設けられている。建築面積は2万149.84平方メートル、延床面積は8万2971.65平方メートルだ。

経営管理本部 総務部 部長の溝口健二氏

 エプソンはHTPSパネルの生産拠点として、諏訪南事業所(長野県諏訪郡富士見町)を1985年7月に操業していたが、市場での需要増大に対応するため、新しい拠点として千歳事業所を2004年10月に操業、2005年4月に本格稼働している。千歳市に事業所を構えることに決めた背景には、優れた技術系や技能系の人材を確保できることや、広大な用地が得られること、環境への配慮がしやすいこと、新千歳空港の間近で輸送が便利なことなどがあるという。

 セイコーエプソン 経営管理本部 総務部 部長の溝口健二氏は、HTPSパネル事業の優位性として「組み立て工程を独自技術で内製した装置で行っており、現状で海外メーカーがHTPSパネル製造に参入していない点」や「薄型テレビやディスプレイに使われる液晶パネル・PDPと比較して、パネルサイズが非常に小さいことから、材料や設備を小型化でき、4分の1から10分の1の投資金額でパネル製造が可能な点」を挙げ、「優れた技術と生産性により、高いコスト競争力を実現している」とHTPSパネルをアピールした。

 エプソンの独自調査によると、プロジェクターの市場規模は毎年15%伸長しており(2008年度は600万台弱と予測)、現状でHTPSパネル搭載機のシェアは約40%を確保しているという。

液晶パネルの種類(写真=左)。HTPSパネルはアモルファスシリコンTFT液晶パネル(α-TFTパネル)や低温ポリシリコンTFT液晶パネル(LTPSパネル)と比べて、小型かつ高精細なのが特徴だ(写真=中央)。千歳事業所で生産するHTPSパネルの優位性(写真=右)

 HTPSパネルの製造工程は、原料の石英ガラスに対して成膜、レジストパターン印刷、エッジング、洗浄によってTFT液晶パネル基板を形成する「TFT基板工程」、形成された各TFT基板に対してシール描画、液晶滴下、対向基板との張り合わせを行う「組み立て工程」、FPCやフレーム、フック、防じんガラスといったパーツを取り付けてモジュール化する「実装工程」、そして「出荷検査」の4段階に分けられる。

 千歳事業所ではパネル製造の材料となる石英ガラス製ウェハのサイズを従来の200ミリ(8センチ)から300ミリ(12センチ)に大型化し、パネルのチップサイズをシュリンクすることで、生産効率を140%高めた。また、従来は各工程でウェハを数十枚単位で処理する「バッチ処理」を用いていたが、ウェハを1枚ごとに処理する「枚葉処理」を導入したことにより、待ち時間と処理時間を短縮しつつ、生産の効率化(製造リードタイムを3分の1に短縮)と使用エネルギーの削減ができたという。

 4段階の工程のうち、千歳事業所で行われるのは組み立て工程までで、実装工程は長野県内に輸送して実施される。実装工程により完成したHTPSパネルのモジュールは、中国に輸出されてプロジェクターの完成品に組み上げられるといった生産の流れだ。千歳事業所の送品実績は、2007年9月に累計300万パネル、2008年3月に累計500万パネルを達成した。HTPSパネルの生産能力(200ミリパネル換算)は、千歳事業所が月産5000〜6000ウェハ、諏訪南事業所が月産1万ウェハだ。

HTPSパネルの製造工程(写真=左)。液晶プロジェクターの生産体制(写真=中央)。千歳事業所の送品実績(写真=右)

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