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» 2008年07月17日 12時30分 公開

元麻布春男のWatchTower:Nehalemに向けてCentrino 2で足場を固めるインテル (1/2)

日本で7月16日に発表された「Centrino 2」では何が変わり、何が変わらなかったのか。ポイントを改めて整理しよう。

[ITmedia]

新味に欠けるCentrino 2

Centrino 2の構成要素

 インテルは7月16日に、5世代目となるモバイルプラットフォームの発表を行った。これまでMontevinaという開発コード名で知られてきたこのプラットフォームは、45ナノメートル製造プロセスによるCPU(開発コード名:Penryn)と、Intel GM45/PM45 Expressチップセット、WiFi Link 5000番台シリーズの無線LANモジュールを組み合わせたもの。このタイミングでブランドも「Centrino 2 プロセッサー・テクノロジー」に改められた。

 まずCPUだが、新しく発表されたのはCore 2 Duoプロセッサ5製品とCore 2 Extremeが1製品の計6種。すべてFSBが1066MHzに引き上げられている。従来通りプロセッサナンバーが9000番台のCPUは6Mバイト、8000番台のCPUは3Mバイトの2次キャッシュ(共有)を備える。動作クロックも最高で3.06GHzまで引き上げられた(これまではT9500の2.6GHz)。とはいえ、すでにアップルのiMacが1066MHzのFSBや3.06GHz動作を実現しており、新味に欠ける印象は否めない。

ノースブリッジは45ナノメートルプロセスで製造

新しいCore 2 Duoの概要

 一方、新しく提供されるのは、プロセッサナンバーの先頭アルファベットがPとなるシリーズだ。今回はP9500(2.53GHz)、P8600(2.4GHz)、P8400(2.26GHz)の3種が発表されたが、いずれもTDPが25ワットと、これまでのTシリーズに比べ10ワット低下している。実利用環境に近い平均消費電力に大きな差があると思われないため、バッテリー駆動時間の延長という観点から大きな向上は期待できない(ノートPCの消費電力全体に占めるCPU単体の割合がそれほど大きくないということもある)が、TDPの引き下げはヒートシンクやファンの小型化には確実に貢献する。高価な上、動作クロックも低くなるLV版(低電圧版)やULV版(超低電圧版)のCPUを使わなくても、従来より薄型のノートPCを作ることが可能になるだろう。

 チップセットのIntel GM45/PM45 Expressは、Cantigaという開発コード名で知られてきたもの。これまでのモバイルプラットフォームであるSanta Rosaで使われてきたIntel GM965チップセットが90ナノメートルの製造プロセスであったのに対し、65ナノメートルプロセスで製造される(ノースブリッジのみ。サウスブリッジについては後述)。デスクトップPC向けチップセットでは、965シリーズから40番台への移行の途中に30番台のチップセット(製造プロセスは90ナノメートル)をはさんだが、モバイルプラットフォームは30番台をスキップした形だ。30番台をスキップできるということは、40番台のチップセットで機能的な冒険はしていないということになるわけだが、65ナノメートルプロセスの利用によるノースブリッジの消費電力低下が期待される。

 サポートするFSBは今回提供されるCPUに合わせた1066MHzと667MHz。これまでモバイルPC向けCPUのハイエンドがサポートしていた800MHzを正式にはサポートしていない点に注意が必要だ。対応メモリはDDR2-800/667およびDDR3-1066/800で、合計8Gバイトを搭載することができる。また、2008年後半にDDR3-667のサポートが加わる予定になっている。

 このFSBのサポート状況とDDR3-667サポートの追加を考え合わせると、おそらく年内に低電圧版(と超低電圧版)のPenrynが投入されるものと考えられる。これらのCPUでは低消費電力が優先され、FSBが667MHzに抑えられるほか、メモリもDDR3-667が推奨されるものと思われる。そう考えなければ、わざわざDDR3-667を後から追加する意味がない。

 Intel PM45/GM45 Expressで強化されたポイントの1つは、vProで利用される管理技術であるAMT(Active Manegement Technology)だ。従来のIntel GM965チップセットベースのプラットフォームにおいて、サウスブリッジのICH8Mとの組み合わせてAMT 2.5が提供されてきた。このMontevinaではサウスブリッジにICH9Mを採用、AMT 4.0へとアップグレードされる。ワイヤレスネットワークを経由しての管理機能が強化されるほか、インターネット経由でのアクセス時(社内ネットワーク外からのアクセス時)にもAMTの機能を利用可能になる。

モバイル向けIntel 4シリーズチップセットの主な機能(写真=左)。Centrino 2を構成するチップとモジュール(写真=中央)。AMT 4.0の強化点(写真=右)

 デスクトップPC向けのプラットフォームでは、40番台のノースブリッジには基本的にICH10が組み合わせられるが、モバイルPC向けのMontevinaでICH9Mが使われるのは、提供するAMTのバージョン(あるいは機能)の整合性が理由だと思われる。現時点でデスクトップPC向けには、管理機能を強化したビジネス向けのIntel Q45チップセットはまだ提供されていないが、Q45チップセットとICH10の組み合せではAMT5.0が提供される見込みだ。

 このAMT機能の強化に合わせて、ICH9MではギガビットイーサネットのMACが内蔵される。Santa Rosa(GM965/ICH8)では、PCI Expressの外付けコントローラ(PHY/MAC)を用いることが一般的だったが、MontevinaではPHYチップだけを外付けする例が増えるだろう。

 ちなみにICH9MもICH10も、製造プロセスは130ナノメートルである。チップセットの写真を見ると、ICHチップのダイが巨大であることに気づくと思うが、それはこれが理由だ。ICHがノースブリッジより2世代前の製造プロセスを用いなければならない理由は、ICHがサポートするI/Oデバイスの多くが5ボルト動作を要求するからで、微細化が難しい(ちなみに、Centrino AtomもCPUに比べてチップセットが大きいのも同じ理由であろう)。逆に言えば、だからこそチップセットをわざわざ2チップに分けているとも言える。

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