“質実剛健”なミニタワーPC「Endeavor MT7900」を検証クアッドコアもRAIDも選べる(1/2 ページ)

» 2008年07月17日 17時43分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

もっと幅広く、もっと使いやすく進化したミニタワーPC

Endeavor MT7900

 エプソンダイレクトの「Endeavor MT7900」は、ベーシックデザインのマイクロタワー筐体を採用したデスクトップPCだ。前モデルの「Endeavor MT7800」と同様に、トータルでの取り回しのよさとコストパフォーマンスを重視した製品で、非常に幅広い用途に対応できる。

 MT7800に比べて、本体サイズは179(幅)×396(奥行き)×368(高さ)ミリと、奥行きが10ミリほど縮小されたのみだが、前面パネルはよりシンプルなデザインに変更された。使い勝手の点では、前面のUSBポートが3つに増えたほか、ヘッドフォンとマイク端子が前面にも配置され、ソフトフォンなどの利用時にヘッドフォンマイクの利用が容易になっている。大きめのUSBコネクタを複数つないでもコネクタどうしが干渉しないように、USBポートを縦に間隔をあけて並べたレイアウトは従来どおりだ。

本体背面/左側面/前面

 内部に目を向けると、3台の3.5インチHDDを収容できる内部ベイが90度まで回るスイング式となり、HDDの着脱作業が極めて簡単になった。またHDDの着脱時にCPUクーラーとの干渉を気にしなくてすむし、スイングさせることでメモリスロットへのアクセスも容易に行える。地味だがかなり重要な改良点だ。

 一方、下部の2つのPCIスロットがフルサイズPCIカードに対応する点は、MT7800から引き継いでいる。カードスロットの延長線上には障害物やコネクタはなく、長尺のPCIカードの着脱も無理なく行える。コンシューマー向けではフルサイズPCIカードはほとんど見かけなくなっているが、業務用途のリアルタイムハードウェアエンコーダなどは長尺で2つのPCIスロットを占有する、なんて拡張カードもあるのだ。

3.5インチシャドウベイがユニットごと90度回転する構造だ。格納時にベイユニットを固定するストッパーが、回転したときのストッパーも兼ねている。HDDの交換が簡単に行える

シングルコアからクアッドコア、HDDはRAID5にも対応する幅広いBTO

Intel G31 Expressチップセットを搭載したマザー。PCI Express x16と3基のPCIスロットを備える

 チップセットはグラフィックコアを内蔵するIntel G31 Expressを採用。オンボードのギガビット対応LANコントローラはMT7800に引き続いてIntel製を採用している。Intelチップ=安心と即断するつもりはないが、Intel CPUとの組み合わせは純正とも言えるので、オフィスユースでは安心感の高い仕様になるはずだ。

 メモリスロットはDDR2対応が2本と必要最低限だが、1Gバイトや2Gバイトの大容量メモリモジュールが特に割高ではなくなっている現状では問題ではないだろう。もちろん、2Gバイトモジュール×2の4Gバイト構成で購入することもできる。

 BTOメニューに目を移すと、チップセットの変更に合わせて、CPUの選択肢はMT7800よりもさらに広くなった。シングルコアのCeleron 430からクアッドコアのCore 2 Quad Q6600まで選択可能であり、デュアルコアもリーズナブルなPentium Dual-Core E2200から3.16GHz動作のCore 2 Duo E8500まで用意されている。

今回評価したのはCore 2 Duo E4600(2.4GHz)を搭載したモデル。CPUクーラーはクーラーマスター製だった

 グラフィックスカードは、チップセットのオンボードを基本に、ゲームやマルチディスプレイ用途向けにAMD RADEON HD3450/3650、CAD/CG用途向けにATI FireGL V3350、NVIDIA Quadro FX1700が選択可能。また、価格重視でマルチディスプレイを利用したりDVI接続を利用したい場合には、オンボードグラフィックス機能にDVIコネクタを追加する選択も可能になっている。グラフィックスに関しては、後期のMT7800と選択肢は同じものの、Core 2 Quadが選択可能になったことにより、CAD/CAM用途などではより高いパフォーマンスを発揮できる。

 HDDの選択肢も拡充された。単体では80Gバイト〜1Tバイトの選択が可能となり、RAID構成では最大3台のHDDを搭載してRAID 5を選べるようになった。RAID 5はチップセットのRAID機能を利用するのでパフォーマンス指向ではないが、その分BTOでの価格も低く抑えられており、オフィスでの小規模ファイルサーバの導入などでは魅力的な選択肢になるはずだ。

冷却性能と静音性のバランスは抜群

室温を28度に設定した状態で、ファンの回転数とCPUの温度をモニターしてみた。高負荷時でもCPUの最大温度(CPUTIN)は56度、コアの温度は48/45度止まりだった。CPUファンと背面ファンの回転速度は1500回転前後でほぼ一定。当然だが動作音に変化はなかった(ただし、本機の専用ソフトではないので、一部の項目が明らかに正常な温度を示していない点に注意してほしい)

 本機はいわゆる「静音PC」という位置付けではないが、従来モデル同様に動作音は低く抑えられている。CPUファンには、クーラーマスター製の9センチファンを採用し、背面の排気ファンは9センチ角ながら、あまり見かけない35ミリ厚のファンとなっている。実はこれらの点はMT7800から引き継いだ部分だが、PC用に販売されているファンはほとんどが25ミリ厚以下で、35ミリ厚の製品は少ない(ファンの径が大きいほど、そして厚みがあるほど同じ回転数で大きな風量になる)。MT7900の本体幅を考えると9センチファンが最大になるが、その制限の中で動作音への配慮を行っているのは好感が持てる。

 実際にファンの回転速度をソフトウェアで監視してみたところ、CPUへの負荷がかなり大きいとされる3DMARK06のCPUテスト実行時でも、CPUファン、背面ファンともに回転速度はアイドル時と同じ1500rpm前後で一定しており、動作音に変化は感じられなかった。今回評価したモデルは、CPUがCore 2 Duo E4600(2.4GHz)だったが、CPUの温度も最大で56度と冷却性能もまったく問題ないレベルだ。

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