Pumaに衣替えした10万円を切る激安タブレットPC「HP Pavilion Notebook PC tx2505/CT」の実力は!?ペンでもタッチでもOK(2/2 ページ)

» 2008年08月26日 12時10分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]
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指でも専用ペンでも操作できるタブレット機能

 入力環境、タブレット関連の機能に関しても前モデルを継承している。液晶ディスプレイの解像度は1280×800ドットで、中央の2軸ヒンジで180度反転させることができ、ピュアタブレットスタイルでも使うことが可能だ。

 タブレット機能は、ワコムの「ペナブル・デュアルタッチ」技術を採用しており、指などで気軽に操作できるタッチスクリーン(抵抗膜方式)と専用ペンを利用する電磁誘導式の両方に対応する。専用ペンを近づけるとタッチスクリーン機能が自動的にオフになる仕組みで、ちょっとした操作をするだけの場合にわざわざペンを取り出す必要がない一方で、ペン操作時は手のひらを画面に乗せてじっくり描画できる点がメリットだ。ただ、現状ではこのような機能を備える液晶の宿命でもあるが、一般的なノートPCに比べると視野角が上下/左右方向とも狭いのが気になった。また、40ミリ前後の厚みがあって約2キロというボディは持ちやすいとはいえず、片手で持って長い時間使うのはつらい。

 キーボードは、最上段にあるファンクションキーや半角/全角キー、カーソルキーなどはかなり小さいが、主要キーは縦/横ともに19ミリの正方ピッチを確保し、レイアウトにも変なクセは見られない。ポインティングデバイスは、パームレストと一体化しつつ、表面にディンプル加工を施したデザインのタッチパッドを装備する。シナプティクスの多機能ドライバが導入済みで、縦スクロール用の領域も物理的に区別されており、なかなか使いやすい。タッチパッド奥にはタッチパッド機能のオン/オフを切り替えるボタンも用意される。

2.5ミリのストロークを確保したキーボードは、主要キーこそ19ミリの正方ピッチを備えるが、上段のファンクションキーや最下段にあるファンクションキーなどで詰め込みが見られる(写真=左)。また、タッチパッドもホームポジション直下ではなく左右中央部分にあるため、慣れるまで違和感を覚えるだろう。ディンプル加工が施されたタッチパッドには、ワンタッチで機能のオン/オフが行えるボタンが用意される(写真=中央)。液晶部分を180度回転して折りたためば、ピュアタブレットとして利用できる(写真=右)

 液晶ディスプレイのフレーム右側には、映像や音楽を再生できる「QuickPlay」の起動やDVD-Video/音楽CDといったマルチメディアコンテンツの再生操作に対応したボタンを装備する。下部右側部分には押すたびに画面表示を90度切り替えるボタンも用意され、タブレットスタイルで使う時に便利だ。また、電源オン/オフやカーソルキー、DVD/CD再生の操作が可能な赤外線リモコン(ExpressCardスロットに収納可)も付属する。また、画面上部にはWebカメラを標準で装備し、BTOで指紋認証ユニットも追加できるなど、低価格モデルながら、このあたりの操作性/機能は非常に充実している。

Windows Vistaには「Windows Journal」(写真=左)や「Snipping Tool」(写真=中央)など、タブレットPC向けの便利なツールが標準で付属している。手書きの文字や図をそのまま保存でき、汎用の画像フォーマットに出力も可能だ。また、ペンを高速に移動させることでブラウザの「戻る」「進む」などの操作を行う「ペンフリック」機能も利用できる(写真=右)

タッチパッドにはシナプティクス製の多機能ドライバが導入されている。コーナータップにさまざまな動作を割り当てたり、細かい設定が可能だ。パッドの端に指が届いた後もスクロールを続けるエッジモーション機能もサポートする。

新プラットフォームの採用で3Dの描画性能は大幅にアップ

評価機のWindowsエクスペリエンスインデックス画面

 Pumaプラットフォームの実力はどの程度のものか、ベンチマークテストを実施してみた。評価機の構成は、CPUがTurion X2 ZM-80(2.1GHz)、メモリが4Gバイト(PC2-6400対応)、HDDが容量250Gバイト(5400rpm)、OSはWindows Vista Home Premium(SP1)である。PC USERでは2世代前のtx2005(NVIDIA C51Mチップセット搭載)をレビューしているが、それとの比較が興味深いところだ。

 まずWindowsエクスペリエンスインデックスのスコアだが、グラフィックスで4.3(tx2005は3.4)、ゲーム用グラフィックスで4.0(tx2005は3.0)と、グラフィックス関連のスコアがかなりアップしているのが分かる。

 PCMark05 1.2.0のスコアでも、Graphicsで2208と、チップセット内蔵型としてはかなり高いスコアをマークしている。CPUも若干ではあるがスコアがアップしており、トータルスコアも3722と12型クラスのノートPCとしてはかなりよいスコアだ。グラフィックス機能の強化は、3DMark06 1.1.0やFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3でもはっきり見られ、特にDirectX 8.1世代のゲームをベースにしているFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3ではHIGH(高解像度)で「3487」と公式サイトのガイドラインでは「とてつよPC」と表現されるスコアをマークした。このレベルのゲームなら十分快適にプレイできることが分かる。

 CPUやチップセットの省電力機能が強化されたことで、騒音や発熱が低減されることも期待されたが、季節のせいもあって全体的にホットでノイジーな印象はあまり変わっていない。ベンチマークテスト実施中はかなり大きな騒音(冷却ファンの風切り音)があり、ボディ全体にかなりの熱を帯びていた。具体的には、室温28度の環境で、もっとも熱い右側面の排気口付近が60度前後、左側面が50度前後、手が触れる面では右パームレストがもっとも熱く45度前後、そのほかの部分も40度以上だった。

左からPCMark05、3DMark06(1280×800ドット)、FFベンチのスコア

より多くのユーザーにアピールできる製品に進化

 本機は、従来機の設計を流用しつつ内部をPumaプラットフォームにリニューアルしたものなので、Pumaプラットフォームの機能をフルに生かしているとは言い難い。例えば、優れたHD動画再生機能があるのにBlu-ray Discドライブが選べないし、チップセットレベルでは対応しているHDMIやDisplayPort出力も用意されていない。その点は不満といえば不満だ。

 しかし、性能面、特に3D描画性能は大幅にアップしているし、HD動画もBlu-ray Discだけではない。ハイビジョンビデオカメラの標準フォーマットであるAVCHDのムービーをストレスなく再生できる(UVD対応ソフトウェアを利用した場合)ことに大きな魅力を感じるユーザーも少なくないだろう。「Pumaプラットフォーム」ということを抜きにした一般的なマイナーチェンジモデルとして考えれば、十分すぎるほど進化しているといえる。コストパフォーマンスも相変わらず高く、同社の直販チャンネル「HP Directplus」での最小構成は9万9750円と10万を切る価格から用意されている。もともと低価格で買えるタブレット/ノートPCというだけでも大きな魅力があった製品だが、今回のバージョンアップでは、より多くの人にアピールできる存在になったといえるだろう。

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