今回取り上げた6種のベンチマークテストは、各セキュリティソフトの得手不得手を浮き彫りにする結果となった。ファイルI/Oテストでは好成績だったG DATAが大容量ファイルのコピーでは最も速度低下が激しかったり、コンスタントにそこそこの成績だったトータルプロテクションがファイルI/Oのテストでは飛び抜けて悪い結果だったりと、単純に甲乙つけられるものではない。
しかし、その中でも6種中4種で1位、残る2種でも2位につけたESETはやはりバランスのとれた製品と言える。次点は微妙なところだが、ファイルI/O以外ではESETにほぼ並ぶトータルプロテクションをおしたい。ファイルI/Oテストは実行される処理に偏りがあり、実環境での体感速度とは開きがある。「いちじるしく苦手な項目がある」というとらえ方をすべきだろう。一方、G DATAは誤検出が解決していない以上、結論は先送りとならざるをえない。考えてみればダブルエンジンは検出率が高くなる一方で、誤検出率も上がる可能性がある。また、同じエンジンを使用しているはずのカスペルスキー7では誤検出されないことにもやや不安が残る。
結論としては、「軽さ」をアピールしているESETがうたい文句に違わず好成績を収めたものの、ほかのソフトウェアも猛追しており、その差はそこまで大きいものではなくなっている。とはいえ、制約の多いミニPCではその差が重要であるという側面も事実だ。また、1台目のマシンとして使うか、それとも2台目以降のサブマシンとして使うかでもファイルアクセスの頻度などを含めて利用状況は変わってくるだろう。
ベンチマークテストの結果は予想以上に拮抗していた。総合的に判断する材料としては、第3回で取り上げたHDDの必要容量、特にCドライブの占有容量、今回のパフォーマンス、それに価格ということになる。G DATAトータルケア以外の製品はそのまま正規版に移行できる試用版が用意されているので、固く心に決めた製品であってもインストールが可能かどうか、まずは試用版を利用すべきだろう。契約期間が15日〜1カ月以上無料延長されるのと同じ効果もある。
価格の面で言えば、1ユーザーライセンスの価格が最も安いのはESETだ。元々価格の安いミニPCのためだけにセキュリティソフトを新規購入するのであれば、すべてにバランスのとれているESETは最有力候補となる。
一方、NIS2008、トータルプロテクション、ウイルスバスター2008は3ユーザーライセンスからの製品なので、自宅のメインPCですでに使っているのなら、ライセンスが「あまっている」ケースも少なくないだろう。Cドライブの必要容量の大きさから、EeePC向けにNIS2008はおすすめしづらいが、それ以外の製品であればライセンスがあまっていれば流用してもよいのではないだろうか。
2011年版セキュリティ特集
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