ハイビジョンモバイルを実現した新型「VAIO type T」に肉薄エレガントな進化(2/3 ページ)

» 2008年10月02日 11時02分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]

SSD RAID+Blu-ray Discドライブ構成も選べる柔軟なストレージ

光学ドライブは右側面、イジェクトボタンは前面右端に配置される

 HDD、SSD、光学ドライブの構成は従来機以上に柔軟な選択が可能だ。基本は店頭モデルと同じ1.8インチHDD+光学ドライブの構成で、1.8インチHDDのグループと光学ドライブのグループ、それぞれに複数の選択肢が用意されており、1基ずつを選んで搭載できる。1.8インチHDDのグループは、1.8インチHDD(80Gバイト/120Gバイト/160Gバイト)、SSD(64Gバイト/128Gバイト)、SSD RAID 0(128Gバイト/256Gバイト)の7種類だ。また、光学ドライブのグループは、DVDスーパーマルチドライブ、Blu-ray Discドライブ、2.5インチHDD(250Gバイト/320Gバイト)の4種類が用意される。

 注意したいのは2.5インチHDDは光学ドライブのグループに入ることである。そのため、2.5インチHDDは、DVDスーパーマルチドライブやBlu-ray Discドライブとは一緒に搭載することができない。また、Click to Discが作る一時ファイル作成時に必要とされる容量を確保できず、64GバイトのSSDとBlu-ray Discドライブを搭載する組み合わせが選べない(128Gバイト以上やSSD RAID 0は可能)。また、Blu-ray Discドライブはtype Zと同様、DVD±R DLへの書き込みができない点も注意したい。

 一方、HDDの回転速度は1.8インチ、2.5インチともに5400rpmだ。今回から1.8インチHDDも従来の4200rpmから5400rpmに強化されており、低価格な構成でもそこそこのパフォーマンスが得られるようになったことは歓迎したい。

 256GバイトのSSD RAIDと320GバイトのHDDを組み合わせれば、576Gバイトという大容量ストレージが手に入る。また、エンターテインメント重視でBlu-ray Discドライブを搭載する代わりに、1.8インチHDDと組み合わせてコストを抑えるといった選択もできるなど、用途に合わせて柔軟な構成が選べるのは大きなアドバンテージといえるだろう。ちなみに、今回の評価機に搭載されていた1.8インチHDDは東芝の「MK1216GSC(120Gバイト)」、DVDスーパーマルチドライブはパナソニックの「UJ862AS」だった。

ソニースタイルでのストレージの選択肢(写真=左)。加速度センサにより衝撃を検知し、衝撃検出時にHDDを停止させるHDD保護機能も備えている(写真=右)

さらに美しくなった11.1型ワイド液晶ディスプレイ

11.1型ワイドのクリアソリッド液晶を搭載する。液晶の明るさは9段階に調整可能で、輝度を最高にしてもまぶしさは感じない

 液晶ディスプレイも大幅に強化された。11.1型ワイドのサイズ、ハイビジョンコンテンツの標準である16:9のアスペクト比を採用した1366×768ドットの画面解像度は先代機を受け継いでいるが、パネルは完全に一新された。

 従来は光沢仕上げのクリアブラック液晶に低反射ARコートを加えていたが、今回はtype Zから導入されたクリアソリッド液晶を採用した。今回は反射光を適度に拡散させることで映り込みを防ぎつつ、高コントラストを両立しており、屋内外問わず十分な視認性を確保している。また、ひっかきキズなどから液晶表面を守るハードコーティングが施されているのも特徴だ。

 さらに、RGB各色6ビット(約26万色)のディザリングで約1619万色を表現するのではなく、RGB各色8ビットでリアルなフルカラー(約1677万色)を表現する8ビットパネルを採用した。バックライトの白色LED、カラーフィルタも新型に改めることでNTSC比も従来の72%から100%へと大幅に向上し、RGBの三原色をより濃く鮮明に表示でき、階調豊かな美しいグラデーションを表現できるようになった。Intel GS45 Express(GMA 4500MHD)によってHDコンテンツをスムーズに再生可能になっただけに、これは非常にうれしい。

 実際に試用した印象でも確かに美しい。突出した明るさやコントラストがあるというわけではないが、品がよいなめらかな表示で映り込みも確実に抑えられている。上下の視野角はさほど広くないが、左右はかなり広く、モバイルPCとしては間違いなく最高レベルの視認性といえる。もっとも、色域はNTSCの定めるRGBの座標からずれており(type ZよりRとBで濃い色が表現可能)、sRGB表示モードのような色域固定はできないため、厳密なフォトレタッチ作業を行うのには不向きだ。

 照度センサが周囲の明るさを検知して自動で調整する「自動輝度設定」、DVD/BD鑑賞時など用途に応じて自動的に色モードを替える「色モード設定」などといった機能も実装されている。これらの機能は前面の右端にある「S1ボタン」を押すと起動する「VAIOの設定」からアクセスできる。

 映像だけでなく、サウンドに気を配っている点も見逃せない。自社製チップ「Sound Reality」の搭載によりS/N比を106dBに向上、従来の一般的なPCサウンドに比べて1/10の低ノイズを実現したという。さらにBTOでは「ノイズキャンセリングヘッドフォン」の追加が可能だ(店頭モデルは標準装備)。周囲の雑音と逆位相の音を出力することで騒音を軽減する機能をもっており、クリアで臨場感のあるサウンドを表現できる。音楽などを流さなくてもノイズキャンセリング機能だけを使うことができ、設定の調整はプリインストールされているユーティリティで手軽に行える。

周囲の明るさを検知して自動で調整してくれる「自動輝度設定」(写真=左)。省電力ビューアでは、リアルタイムで輝度の消費電力が確認できる(写真=中央)。DVD/BD鑑賞時など用途に応じて自動的に色モードを替える「色モード設定」(写真=右)などの機能は「VAIOの設定」にまとめられている

HDMI出力時の解像度設定も「VAIOの設定」で行える(写真=左)。店頭モデルには、ウォークマンで採用されているノイズキャンセリングイヤフォンが標準で付属する(写真=中央)。VAIOオーナーメードモデルでの追加価格は3000円だ。もちろん、通常のイヤフォンも装着可能だ。タスクトレイに常駐するユーティリティでマイク感度を手軽に調整できる(写真=右)

おなじみのアイソレーションキーボードを継続採用

キーピッチ約17ミリ、キーストローク約1.7ミリのアイソレーションキーボードを採用する。VAIOオーナーメードモデルでは英語キーボードも選択可能だ

 キーボードはVAIOシリーズおなじみとなったアイソレーションキーボードを採用する。キーの配列は素直で、特別小さくなっているキーもないが、キーピッチは約17ミリ、ストロークも約1.7ミリと浅いため、最初は少々違和感がある。スムーズにタイプするにはある程度の慣れが必要だが、キーとキーの間隔が2.5ミリ空いているのでタイプミスはしにくい。キーボードユニットをベゼルと一体化しているのでたわみなどはなく、キー入力時にカチャカチャという不快な音も発生しない。BTOでは、日本語配列のほか、英語配列も用意される。後者だとキーが5個減ることでスペースバーが約82ミリと長めになる。

 ポインティングデバイスは2ボタン式のインテリジェントタッチパッドを装備する。アルプス製の多機能ドライバを導入しており、パッドの右辺と下辺を利用した上下/左右のスクロール機能のほか、上辺を使ったWebアシスト(進む、戻る)、左コーナーのタップに簡易ランチャーの起動などを割り当てることができる。

 カスタマイズメニューで指紋センサ/TPMチップを選択すると(+5000円)、タッチパッドのクリックボタンの間に指紋センサが搭載される。一度登録しておけば、Windowsログオン時やWebサイトのログイン時などに触れるだけでパスワード入力を省略可能だ。パームレスト左端にはFeliCaポートも標準で装備。Edyカードやおサイフケータイをかざすだけで電子マネーの決済や管理が行える。また、液晶フレーム上には有効31万画素のWebカメラ「MOTION EYE」を内蔵する。動画や静止画を撮影できる「Arcsoft WebCam Comparison」、ビデオチャット中の映像にエフェクトをかけて遊べる「Magic-i Visual Effects」などのソフトウェアも付属する。

 そのほかにBTOで選べるオプションとしては、「ワンセグチューナー」がある。本体右側面に接続できるアンテナ変換ケーブルが付属し、屋内でも安定した視聴ができるようになっている。

タッチパッドにはアルプス製の多機能ドライバが導入済みだ

店頭モデルでは標準装備のワンセグ機能だが、VAIOオーナーメードモデルでの追加は1万円だ。チューナーを内蔵すると液晶ディスプレイの右側面に内蔵アンテナが収納され、RF変換ケーブルは右側面にある光学ドライブの脇に接続する(写真=左)。ワンセグTV視聴録画ソフトの「VAIOモバイルTV」の完成度はかなりのもの。横長の液晶を生かせるサイドバー表示はTVを見ながらの「ながら作業」には最適だ(写真=中央)。液晶ディスプレイ上部にWebカメラの「MOTION EYE」が内蔵済みで、BTOでも省くことはできない

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