10月26日の16時から、麻生総理大臣が首相就任以来初の街頭演説を秋葉原駅前で行い、広場は聴衆によって埋め尽くされた。首相が登場すると「麻生」コールがわき起こり、曇天のためにすでに暗くなりかけた駅前は一気にヒートアップする。
しかし、PCパーツショップ密集エリアでも、同様に熱気に満ちたスポットができていた。カフェソラーレ リナックスカフェ秋葉原店で、「NVIDIA GeForce Graphics+」が開かれたのだ。同イベントは、NVIDIAのGPGPU技術「CUDA」を使ったGPUの活用法を示すのがメインテーマとなっており、最初のセッションが始まる13時ごろには会場はすしづめ状態となっていた。
CUDAとは、GPUを描画処理以外にも活用できるようにする「GPGPU」の1つで、NVIDIAが提供しているアーキテクチャだ。従来は3DCGやWindows Vistaの描画処理などの限られた範囲でしか使われなかったGPUが、CPUを補佐したり得意な処理を肩代わりするといった多様な機能を持つようになる。GPGPUに関してはライバルのAMDも積極的に行っており、10月18日のイベントでも対応ソフトウェアを強くプッシュしていた。なお、GeForce 7000シリーズ以前のGPUはCUDAに対応しない。
対するNVIDIAは、今回のイベントでCUDAの多彩な使い道を存分に示した。会場には、物理演算処理技術「PhysX」をCUDAで動作させたデモ機や、CUDAを活用する“スーパーコンピューター”などが並んでおり、それらのデモを見守る観衆が途絶えることはなかった。
最初のセッションでは、NVIDIAの福田登氏がCUDAの特徴を解説。福田氏は「CUDAによって物理演算や立体映像処理、動画のエンコードやアップスケーリングなど、さまざまな作業をGPUで行えるようになります」と語り、CUDAを使ったデモを行った。
同じ動画のエンコード時間を、CPUの「Core 2 Quad 9650」のみで行うマシンと「GeForce GTX 280」でCUDAを利用するマシンで比較するデモでは、CUDAマシンが2〜3倍のスピードで処理を完了し、観衆を驚かせた。
福田氏は「このCUDAマシンでは、約8倍速でエンコーディングができます。2時間ドラマなら15分程度で済む。iPodに入れて通勤電車で見るために、寝る前にエンコード処理をかけておかなくても、朝のちょっとした時間にできるわけです。しかも、CPUが空いているので、そのあいだに同じマシンでメールチェックをするのも快適です」と語った。
なお、AMDのGPGPUとの違いについて聞いたところ、「あちらのGPGPUは、AMDさんが使い道を用意しているのが違いですね。ソフトウェアメーカーは決められたツールを利用することになります。しかし、CUDAは汎用的なC言語で開発されたアーキテクチャで、何に使うかはソフトウェアメーカーに委ねています。つまりは工夫次第で、いろいろな処理が実現するんですよ。例えばセキュリティソフトを走らせるといったことも不可能ではないでしょう。ただ、自由度が高いことで、製品化に至るまでの時間がかかってしまったという部分もあります」と話してくれた。
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