マザーボードをしげしげと眺めてしまう自作PCユーザーにとって、「IDT」は必ず基板に実装されているチップのベンダーとして認識されているだろう。実際、マザーボードに詳しいPCユーザーには、IDTの主要な事業として同期用のクロック生成チップがよく知られている。そのIDTが最近積極的に取り組んでいるのが、DisplayPortに準拠した製品開発をはじめとするディスプレイパネル向けのコントローラ事業だ。
2008年の3月にもIDT副社長兼デジタル・ディスプレイ・オペレーション担当のジ・バーク氏が来日して、IDTが開発したDisplayPortレシーバとタイミングコントローラを統合した「VPP1600EMG」を紹介したが、2008年の10月27日には、IDTワールドワイド・マーケティング部門上級副社長を務めるチャド・タッガード氏が来日し、同日発表されたSilicon Optixの買収に伴なうIDTの事業方針を紹介した。

IDTが示す、PC関連技術の進化予測。高解像度への道を突き進むディスプレイ技術に対応するためにはDisplayPortへの移行が必須というのが2008年3月におけるIDTの主張だった(写真=左)。IDTが取り組んでいるディスプレイ関連事業は入力から出力にいたる画像処理フローにおいて、「ディスプレイの裏側」とタッガード氏が呼ぶ、パネルインタフェースコントローラの部分になるタッガード氏は、Silicon Optixの買収によって、IDTが取り組んでいるディスプレイ制御の分野において、出力されるビデオ映像の品質向上が実現できると述べ、Silicin Optixから吸収した技術を利用することで、最高品質のビデオ出力が可能になり、Youtubeなどの動画共有サイトを利用して再生する動画についてもクオリティを向上させることが可能になると説明する。
Silicon Optixの技術を反映したIDT製品の開発計画や出荷時期の見通しについて、タッガード氏は「買収したばかりなのでまだ何も決まっていない」としているが、その一方で、画質を評価するベンチマークテストとして知られている「HQV Benchmark」については、これまで開発してきたSilicon OptixのスタッフとともにIDTも関わっていくと述べたうえで、次期バージョンが現在開発中で2009年の前半には公開される予定であることを明らかにした。

IDTの予測では、DisplayPortはPC用画面出力環境で主流となり、HDMIは大画面テレビのインタフェースとして主流となる(写真=左)。Silicon Optixの買収はIDTとっては高画質に関する技術を習得できたという意味を持つ
IDTが日本でDisplayPort事業をアピール
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