芸者は電脳フィギュアの夢を見るかアリスの限界と可能性(1/4 ページ)

» 2008年11月06日 12時30分 公開
[瓜生聖,ITmedia]

 2008年10月19日、AR(拡張現実)技術を使った世界初の電脳フィギュア「ARis」が芸者東京エンターテインメントから発売された。パッケージを見るといかにも“ネタ”っぽい製品なのだが、今回はわりと真面目にレビューしていく。

何はともあれ買ってきてダウンロードして……

 「電脳フィギュア ARis」(以下、ARis)のパッケージには、ソフトウェアは含まれていない。同梱されているのはカードが3種、カードスタンド、指のはたらきをするスティック、それにアリスの「お立ち台」となるキューブ、取扱説明書のみだ。当初、キューブはアリスのお立ち台のほか、「ARisのお道具箱のキューブ」の計2種、スティックは小型のキューブに棒がついた形のものが2種予定されていたが、最終的にはお道具箱のキューブはカードに、スティックはプラ板の両面に「ゆび」「てのひら」のマーカーを張り付けたものに落ち着いた。

 発売当初からARisは大きな注目を集め、初回生産の3000本分を予約と初日販売でほぼ完売したものの、その直後に「ソフトウェアがダウンロードできない」という大失態を演じてしまった。パッケージを買ってきただけでは遊べない、という仕様には同社への非難も多かったが、当初3パート(インストーラ/プログラム/データ)に分かれていたセットアッププログラムを約170メガバイトの1ファイルに統合し、同時に回線増強を図って3日後には事態は収束に向かった。

 同社はこのダウンロードによるソフトウェア提供を「頻繁なアップデータの提供を予定していたため」としているが、実際にARisのアップデートはかなり頻繁に行われている。例えば、CPUの使用率だ。当初のプログラムではデュアルコアで走らせた場合には必ず両コアとも100%に張り付いてしまっていた(クアッドコアでは50%)。2008年10月27日時点ではこれがデュアルコアでも50%をキープするように変更されている。そのほか、ログイン頻度やアップデート頻度の調整など、問題の発覚から対応策の決定、実装、更新までの間隔が非常に短く、フットワークのよさが光っている。おそらくユーザーからのクレームを丁寧に拾っているのだろうと思われる。

 ARisのインストール後、スタートメニューから「電脳フィギュア」を起動すると定期的にアップデートの確認が行われる。プログラムは約6Mバイト、データは約136Mバイトなので場合によってはなかなかアリスに会えないことがあるかもしれない。2008年10月28日時点ですでに6回のアップデートが行われているが、そろそろ一段落するはずだ。

インストールフォルダは、Windows XPの場合“%USERPROFILE%\Local Settings\Apps\2.0”以下、Windows Vistaの場合は“%LOCALAPPDATA%\Apps\2.0”以下になる模様。ちょっとイレギュラーか(画面=左)。データのファイルサイズは約136Mバイト。内訳はモデル情報86.9Mバイト、音声47.8Mバイトなど。モデル情報のうち56.1Mバイトはアニメーションデータ。ちょっと気になるファイル名が見えるような気がするが、きっと偶然の産物だろう(画面=中央)。ARisの起動画面。実体はアップデート処理、環境設定を行うプログラムで、本体は別プログラムだ(画面=右)

ディスプレイの中のアリス

 起動画面でスタートボタンをクリックするとローディング画面が表示された後、Webカメラの画像に切り替わる。キューブがきちんと表示されるよう、ピントと画角を合わせておくと、しばらくしてアリスが表示されるはずだ。

 アリスは、開始アニメーションを有効にしておくと、起動後キューブの上でポーズを取った状態で停止する。キューブを回転させたり、傾けたり、カメラに近づけたりするとそれに合わせてアリスも動くのが分かる。「ゆび」スティックでつつくと自律的(?)に動作し始める。

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開始アニメーションが有効になっている場合は開始アニメーションの後に停止する。「ゆび」スティックでつつくと動き出す。

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キューブを回してみる。キューブの5面にマーカがあるため、どれか一つでも認識されていればOK。

 指スティックの実物の先端は単なるマーカーがあるだけだが、画面上ではその先に指が表示され、認識されているかどうかを判断することができる。スティックで操作が可能なときは水色、なんらかのイベント中などで操作不可能なときはグレーの指になる。

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