「まだ折れてない」――ツクモの再起動に街は“スパイス入り”の歓迎ムード古田雄介のアキバPickUp!(1/4 ページ)

» 2008年12月01日 12時10分 公開
[古田雄介&ITmedia アキバ取材班,ITmedia]

「年内には元に戻ればうれしいです」――九十九電機が在庫ゼロからの再出発

特設店舗オープンのお知らせ

 商品在庫を差し押さえられ一時営業中断を余儀なくされていた九十九電機が、秋葉原の元・ツクモ9号店に特設店舗を作り、11月27日から営業を再開した。TSUKUMO eX.などのほかの店舗はシャッターを下ろしたままだが、店前の張り紙は「営業中断のお詫び」から、特設店舗オープンのお知らせに差し替えられている。

 特設店舗には、8畳程度の小さなスペースにCPUやマザーボード、PCケースなどの自作パーツが並び、平日も客足が途絶えなかった。呼び込みを行っていた店員さんは「差し押さえ以降、新たに入荷した製品のみで営業しております。小さな店舗で大きなキャンペーンも打てなかったのに、これだけたくさんのお客さんに来店いただいて本当に感謝しております」と、反響の大きさと復活の実現に喜んでいた。

九十九電機の特設店舗。住所は東京都千代田区外神田3-1-8。「あきばお〜参號店」や「FIRST MEDIA SHOP 2号店」などが並ぶ通りに位置する

 店員さんのコメントどおりに、11月21日に差し押さえられた商品は、現在も裁判所が管理している状態とのこと。商品の差し押さえ(担保権の実行)を行った債権者のNECリースは「我々が担保としている商品在庫は目減りせずに残せる状況になりました。新たに仕入れた商品で営業されるのは、当方としてもまったく問題ありません。九十九電機さんも徐々に各店舗の営業を再開していきたいとおっしゃっていましたし、がんばってほしいですね」と語っており、今回の復活に対する支障はない様子だ。

 電気街のPCパーツショップも、九十九電機の復活を歓迎するムードだ。フェイス本店は「復活してくるとは驚きました。いろいろなショップがしのぎを削ってこその電気街ですから、今後の通常営業まで応援したいですね」と語り、T-ZONE.PC DIY SHOPも「電気街のアキバとしての価値に、たくさんのPCパーツショップを1日に巡るというのがあります。そこで九十九電機みたいな大型店舗が消えるのは、よくないこと。まだ予断は許さないでしょうが、完全復活を期待します」と話していた。

特設店舗の店内。面積は狭いが、PCパーツをぎっしり詰め込んでおり、常に混雑していた

 ただし、多少の不満を含めた応援コメントもいくつかあった。某ショップは「今回の経緯を、お客さんにしっかり説明したうえで営業再開するのが筋でしょう。しれっと営業再開するだけで済ますのは、トップダウンの指示に従っただけという印象を受けます。周辺ショップも素直に応援できるような姿勢を、もっと見せてほしかった。まあ、がんばってほしいですけど」と辛めにエールを送る。また、別のショップも「営業再開に際して、何のキャンペーンもしないのはちょっと悲しいです。もっと大声で“復活したぞー!”とやってほしいですよね」と語っていた。

 九十九電機系列のある店員さんは「まだ手探りの状態が続いていますが、可能だったら年内にも特設店舗を閉店して、従来の店舗で通常営業したい。とにかくがんばります」と意気込む。完全復活の際には、大々的なキャンペーンを行うかもしれない。今後に期待しよう。

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