今度のEee PCはHDD搭載でも美しい――「S101H」と「1002HA」を使い比べる(後編)デザインか、それとも安さか(2/3 ページ)

» 2009年02月16日 11時40分 公開

Windows XPの各種動作にはどれくらいの差があるのか?

 ここではWindows XPの各種動作にかかる時間を計測した。計測したのは、Windows XPの起動、休止状態への移行と復帰、スタンバイへの移行と復帰、シャットダウンの動作にかかる時間だ。Windows XPの起動時間は電源ボタンを押してから「ようこそ」画面が出るまでの時間と、タスクトレイにすべてのアイコンが並びポインターの砂時計表示が消えるまでの時間の2段階で計測した。

 基本的にデフォルトの設定でテストしたが、S101Hと1002HAについては60日間無償で利用できるウイルス対策ソフト「Norton Internet Security 2009」が搭載されているため、ほかのモデルと条件をそろえる必要から同ソフトをアンインストールしている。また、各動作にかかる時間はバラツキがあるので、計測は5回行い、異常な数値が出た場合はそれを排除したうえで平均値を採用した。

Windows XPの各種動作に要する時間のテスト結果

 結果は高速化したSSDを備えたS101がすべての動作で1位となり、その後を5400rpmの2.5インチHDDを搭載したS101H、1002HA、1000H-Xの3台が追う形となった。S101はOSを高速に起動する技術「XpressPath」が生かされ、Windows XPの起動時間は約18秒と非常に速い。スタンバイや休止状態への移行と復帰、シャットダウンの速度も高速だ。

 S101H、1002HA、1000H-Xのレスンポンスも良好といえる。S101に比べると、データストレージのリード速度が遅いため、アプリケーションの起動やウィンドウの表示ではS101より少し遅れることもあるが、それでもWindows XPの全体的な動作には軽快感があり、ストレスはない。

 今回のテストは購入直後に近い状態で実施したため、Windows XPのアップデートやソフトのインストールなどによって、使っていくうちに各動作はもっと遅くなる。ちなみに、S101Hと1002HAにおいてNorton Internet Security 2009をアンインストールしない状態では、起動時間が5秒ほど長くなり、シャットダウンは30秒程度かかった。

ボディの表面温度は思わぬ結果に?

 使用時の快適さを左右するボディ表面の発熱も計測した。計測したボディの部位は、キーボードの左半分/右半分、パームレストの左半分/右半分、タッチパッドの表面、ボディ底面の左半分/右半分だ。各部で最も高温になる部分を探して、放射温度計で計測した。テスト時の室温は約22〜23度だ。

 PC本体の動作状況は、Windows XPの起動から30分間アイドル状態で放置した場合と、そこからシステムに高い負荷がかかる3DMarkのデモを30分間実行し続けた場合の2パターンだ。また、アイドル状態から一定時間経過してもディスプレイの表示やストレージの電源がオフにならないように設定した。

発熱のテスト結果。左が起動後30分間アイドル状態にした場合、右が3DMarkのデモを30分間実行してシステムに負荷をかけた場合

 結果はS101Hと1002HAが全体的に優秀だった。SSD搭載モデルのS101は従来機よりパームレストの発熱が抑えられていることを特徴としていたが、この傾向はボディの基本設計が同じS101Hと1002HAにも受け継がれている。システムに高い負荷をかけてもパームレスト、キーボード、タッチパッドといったボディ表面が熱くなりにくいため、手に高熱を感じて不快になることはなかった。

 S101Hと1002HAで注目したいのはボディの底面も発熱しにくいことだ。S101、S101H、1002HAはいずれもCPU、チップセット、SSDといった主要なパーツがすべてマザーボードの片面に実装され、それらがボディの底面に向いている。そのため、構造上はボディの表面に熱が伝わりにくい半面、底面が熱を帯びやすい。実際、S101はボディの表面に比べて底面が発熱しやすい傾向にあるが、S101Hと1002HAはS101よりボディに厚みがあるため、放熱性に余裕が生まれ、底面も底面もクールになっている。ボディの厚さは携帯時のマイナス要因になるが、そのぶん熱くなりにくいのは好印象だ。

より磨きがかかった静音性

 発熱と同様、ユーザーの不快感につながる騒音レベルも計測した。騒音レベルは、本体を樹脂製のデスクに置き、一定の距離から計測した。騒音計のマイクは、ユーザーの耳の位置を想定し、ノートPCのボディ中央から約30センチ離し、設置面から約50センチの高さに固定している。環境騒音は28dB(A)で、耳をすますとわずかに窓外の音が聞こえる程度の静かな部屋でテストした。

 騒音レベルを計測した状態は、Windows XPの起動から30分間アイドル状態で放置した場合、CPU使用率が常時100%になる高い負荷を30分間かけ続けた場合の2パターンだ。後者はファンが最も高速に回転する状態が続くように、3DMarkのデモより高い負荷をかけている。

騒音レベルのテスト結果

 計測結果はS101、S101H、1002HAの3台でほとんど変わらない。いずれも背面の中央にファンの排気口があり、アイドル時は耳を近づけるとファンが低い音で低速回転しているのが分かるが、騒音計を設置した距離、つまり本体を机上に置いて使う距離ではファンノイズが気になることはなかった。

 システムに非常に高い負荷をかけた状態では、いずれも34dB(A)程度まで騒音レベルが上がったが、それでもファンノイズに不快な高音などは混じらず、風切り音が大きくなったと感じる程度だ。なお、3台ともシステムに少しぐらい負荷がかかった状態ではファンが高速回転することはない。システムに高い負荷がかかった場合、S101はファンが高速回転し始めるタイミングが早いが、本体に厚みがあり発熱しにくいS101Hと1002HAではファンが高速回転しにくかった。

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