「ThinkPad W700ds」は、破格の存在感を持つノートPCだ。その姿を目にした人はおそらく皆同じ印象を受けるだろう。とにかくデカい。17型ワイド液晶ディスプレイを採用したボディは、2つ折りの新聞と幅がほぼ同じで、縦がそれより2センチほど長い。
巨大な本体にふさわしく、スペックも強力だ。CPUはCore 2 Extreme QX9300(動作クロック2.53GHz)を搭載する。メモリは4Gバイト(2Gバイト×2)、HDDは200Gバイトを2台搭載してRAID 0を構成している、GPUは外付けのQuadro FX 3700M(グラフィックスメモリは1Gバイト)を採用するなど、ハイエンドデスクトップPCに負けない構成となっている。
こちらのレビュー記事(これならプロも使えるワークステーションノート──レノボ「ThinkPad W700」)でも紹介しているように、デジタイザとカラーキャリブレータを内蔵したThinkPad W700がすでに投入されているが、その発展型となるThinkPad W700dsが持つ最大の特徴が、ノートPCながらディスプレイを2枚搭載している点だ。メインの17型ワイドディスプレイの右側面にサブディスプレイが収納されており、いったんグッと押し込んでから引き出すと、10.6型ワイドの液晶ディスプレイがスルスルと出てくる。
メインディスプレイは、1920×1200ドット表示が可能で、フルHDの映像を縮小することなくそのままで再生できる。サブディスプレイは768×1280ドットの縦長表示となっている。並べてみるとサブディスプレイはかなり小さく見えるが、通常のB5サイズノートPCと同じサイズ同じ解像度の液晶ディスプレイなのだから驚かされる。
ただでさえ巨大なThinkPad W700シリーズだが、“ds”のサブディスプレイを引き出すとさらに横幅が広がる。通常時でさえ410(幅)×310(奥行き)×52.2(高さ)ミリだったサイズが、サブディスプレイをフルに引き出すことで横幅が585ミリにもなる。冒頭で「破格の存在感」と書いたが、それも納得できるだろう。
“ds”の存在意義でもあるデュアルディスプレイの使い勝手だが、これはユーザーによって大きく左右されそうだ。サブディスプレイを引き出すと、デスクトップは自動でデュアルディスプレイモードに切り替わる。サブディスプレイの角度は手前側に30度まで調整できるので、ユーザーから見やすい角度にすることが可能だ。
メインディスプレイとサブディスプレイでは、画質がかなり異なる。メインディスプレイは表示が非常に鮮明で発色もはっきりしている。それと比べると、サブディスプレイは発色が暗めでシャープさにも欠ける。単体で見れば気にならないが、メインディスプレイの表示がはっきりくっきりとしているだけにその違いが際立つ。このほか、17型ワイドで1920×1200ドットを表示するメインディスプレイと10.6型ワイドで768×1280ドットを表示するサブディスプレイとでは縮尺が異なるため、同じ画像でもサブディスプレイでは若干小さく表示される。
サブディスプレイは768×1280ドット表示ということで、720×480ドットのDVD映像やYouTubeのHD映像なども再生可能だ。ただ発色がメインディスプレイほどはっきりしていないため、メイン側で作業しながらサブ側で動画再生という使い方には持ってこいだが、画質をチェックしながら動画再生をしたいといった場合は、メインディスプレイを使うのがいいだろう。ThinkPad W700dsは、カスタマイズモデルの発注時にBlu-ray Discドライブの搭載を選択できるなので、高精細なHD映像を鑑賞するのにも適している。
このほかに考えられるサブディスプレイの使い途としては、コンパクトなメディアプレーヤーや、メッセンジャーソフトを表示しておいたり、Windows Vistaのサイドバーガジェットの表示領域にするなどが挙げられる。縦長の画面を生かして、「20字×100行のテキストを書く」といった書類作成用途にも便利だ。
なお、ボディ背面にはDVI-D/D-Sub/DisplayPortが装備されている。「外部ディスプレイをつなげてトリプルディスプレイにできないか」と思ったが、試用したモデルではこれらのポートに外部ディスプレイを接続しても、Windows Vistaから利用できなかった。
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