ThinkPadを思わせるユーティリティとパワフルな構成──レノボ・ジャパン「IdeaPad U350」に満足する(1/2 ページ)

» 2009年09月16日 18時00分 公開
[長浜和也(撮影:矢野渉),ITmedia]

Netbookだけじゃない。薄くてパワフルなIdeaPadが日本デビュー

Core 2 Duo SU9400を搭載したIdeaPad U350の最上位モデル「29633HJ」が今回の主役だ

 レノボ・ジャパンは、2008年に出荷したIdeaPad S10eで日本のコンシューマー市場に参入した。それからしばらくの間、日本で流通していたIdeaPadシリーズがNetbookのみだったため、「IdeaPadってレノボが開発したNetbookのブランドなの?」と思っている日本のユーザーも少なからずいると聞く。しかし、IdeaPadは、コストパフォーマンスとデザイン、そしてホームユースを意識したノートPCのためのブランドで、日本以外の国では、Netbook以外にも大画面ディスプレイを搭載したハイパフォーマンスの「Y Series」やUltrathinノートPCの「U Series」など、幅広いラインアップがリリースされている。

 日本でも、2009年8月にIdeaPadのラインアップが拡充され、従来のSシリーズに加えて、UシリーズとYシリーズも扱うようになった。このうち、モバイル利用を重視するユーザーに注目されているのが、「IdeaPad U350」シリーズだ。2009年8月に発表されたのは「29633GJ」「29633HJ」「29633EJ」「29633FJ」「29633DJ」で、いずれもCULVタイプのCPUとSFF(Small Form Factor)チップセット(上位3モデルはIntel GS45 Express、下位2モデルはIntel GS40 Express。統合されるグラフィックスコアはすべてIntel GMA 4500MHD)を採用する(各モデルの詳細は、レノボ・ジャパン、日本市場向けIdeaPadラインアップを拡充を参照のこと)。

 このレビューでは、このIdeaPad U350シリーズから最上位構成の「29633HJ」を取り上げ、その使い勝手とパフォーマンスを検証していく。

デュアルコアに4Gバイトメモリに500GバイトのHDDと強力なシステム構成

 IdeaPad U350 29633HJ(以下 IdeaPad U350)の構成は、CPUにCore 2 Duo SU9400(動作クロック、1.4GHz)、メモリはPC3-8500を4Gバイト(2Gバイト×2)を搭載する。HDDは500Gバイトと、このクラスでは最大級のストレージを標準で採用する。2.5インチ5400rpm、Serial ATA接続なので、パフォーマンスも期待できる。

 本体のフットプリントは328(幅)×228(奥行き)と、同じ13型ワイドディスプレイを採用するMSIのX340シリーズの330(幅)×224(奥行き)とほぼ同じサイズだ。厚さは17〜24.9ミリとこちらはX340シリーズよりやや厚いが、その分、ボディの耐性は確保されていて、カバンに入れても不安はない。ただ、重さ1.6キロの本体なのに光学ドライブを内蔵しないワンスピンドルノートPCであることに、違和感を覚えるユーザーは少なくないかもしれない。

 13.3型ワイド液晶ディスプレイの解像度は1366×768ドットと高解像度の表示が可能だ。今までも、1440×900ドットという解像度を表示するモデルもあったのに、ほとんどが高額なハイエンドクラスに限られていたため、実売価格8〜9万円前後のCULV搭載ノート(インテル的にはモバイル・サブノート PC)で表示できるのは驚きだ。液晶ディスプレイの表面は光沢処理が施されており、周りの風景がけっこう映り込む。輝度調整は11レベル用意されているが、輝度レベルを4以下に落とすと、自分の顔を眺めながらPCを操作することになるだろう。

 キーボードは右端に「Home」「End」「Pgup」「PgDn」を配置したレイアウトを採用する。レノボ・ジャパンがThinkPad T400sのキーボード開発で「EscキーとDeleteキーは使用頻度が高いのでサイズを大きくした」と述べているが(このあたりの詳細は軽く薄く、そして、歴代最高のキーボードを──ThinkPad T400sで実現した究極のトレードオフを参照のこと)、IdeaPad U350でもキーボード最上段の右端と左端に置かれたEscキーとDeleteキーの横幅はほかのキーに比べて長い(ただし、縦方向の長さは、実測で通常キーが約18ミリのところ、最上段のキーは約11ミリしかない)。通常キーのキーピッチは実測で約19ミリだが、EscキーとDeleteキーの横幅は約22ミリ確保されている。

 右下隅に配置されたカーソルキーは、キーそのものはほかのキーと同列の場所にあるが、キートップの形状を変えることで、ほかのキーから間隔をおいたのと同じ効果が出るように工夫された。

 EscキーとDeleteキーのサイズにThinkPad T400sで導入された“技”工夫が施されたように、IdeaPad U350のタッチパッドもThinkPad T400sと同じようにパームレストと段差のないフラットな形状になっている。さらに、表面の質感でタッチパッドの位置が分かるように、日本古来の「印伝」を模したドットプリントが施されているのもThinkPad T400sと同じだ。

液晶ディスプレイのサイズは13.3型ワイドで解像度は1366×768ドットと、最近登場するUltrathinノートPCでは標準的なスペックだ。輝度は11段階で設定可能で、最低輝度でも画面は見えなくもないが、光沢パネルに周りが映りこむため実用的とはいえない。下から4段階あたりが最低ラインだろうか(写真=左)。キートップのピッチは実測で約19ミリ確保されている。通常キーの横幅は約18ミリだが、右寄りにある幅9ミリのキーはさすがに打ちにくい(写真=右)

IdeaPadには珍しい落ち着いたデザイン

IdeaPad U350の天板カラーはダークブラウンの1色のみ。表面には、凹凸で構成されたパターンが施されている

 これまで日本で流通してきたIdeaPadシリーズでは、S10eやS10-2、S12のようにカラフルなカラーバリエーションや“ガラ”バリエーションが用意されていたが、IdeaPad U350は、それらのシリーズとは異なる落ち着いた雰囲気にデザインされている。日本市場に投入される天板カラーもダークブラウンのみだ。

 また、これまでのIdeaPadでは光沢のある天板パネルを使っていたが、IdeaPad U350は凹凸のあるパターンが施された“テクスチャーデザイン”を採用する。手のひらの脂や細かいすりきずなどが目立ちにくいので、携帯利用ではかえって便利だ。また、キーボードベゼルとパームレストはつなぎ目のないシャンパンゴールドのパネルで構成され、表面にはヘアラインが施されるなど、ディスプレイベゼルの光沢のあるブラックパネルとともに高級感を演出する。

 本体のインタフェースは左右側面にのみ配置される。HDMIやカードリーダー、ギガビット有線LANなど、その種類は競合するモバイル・サブノート PCに近いが、カードリーダーはメモリースティックに対応し、USB 2.0が右側面に2基、左側面に1基と両側面に用意されるなど、その使い勝手は良好だ。無線接続もIEEE 802.11b/g/n(nはドラフト2.0に準拠)のほか、標準構成でBletooth V2.1+EDRを備える。ユニークなのがカードリーダーのダミーカバーで、引き出しやすいようにふくらみを持たせた形状になっている。

IdeaPad U350の前面(写真=左)と背面(写真=右)にはインタフェースが搭載されない

2.0が並ぶ(写真=右)。左右両面にUSB 2.0があるのは便利だが、有線LANのコネクタが手前寄りにあるのが難点だ

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