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NECアクセステクニカのハイエンド無線LANルータ「AtermWR8700N」(以下、WR8700N)は、もちろんブロードバンドルータとしての機能も豊富だ。主な機能の確認と導入設定までの流れは、前編(「“現在最強”!?、ほぼ全部入り無線LANルータ「Aterm WR8700N」の実力検証(前編)」)を参照願うとして、後編は導入後にどう便利に、快適に使えるかに迫ろう。
WR8700Nのルータ機能においては、DHCPでLAN内の機器へIPアドレスを自動割り当てしつつ、MACアドレスで特定の機器のIPアドレスを固定できる機能も便利だ。こちらは、LAN内にサーバーを設置する場合などに利用するほか、「iPhoneをヘビーに利用するユーザー」にも使ってほしい。
iPhone 3G/3GS/iPod touch(以下、iPhone。今後は、iPadも含むとも想定)には、無線LANを利用してPCとファイルを交換/やりとりできるアプリケーションも多い。ただ、その多くがiPhone側をFTPやDAVサーバーとする仕組みで実現するため、PCからiPhoneのIPアドレスを指定して接続する方法となる。IPアドレスはiPhone側で設定するのが普通だが、本機でiPhoneのMACアドレスと指定したIPアドレスをひも付けることにより、ルータ側の制御で半ば固定化することもできる。(※初出時、「iPhone側にはIPアドレスを固定設定にする機能がない」という記述がありましたが、勘違いによる誤りでした。ご連絡をいただいた読者の方、誠にありがとうございます)
ちなみに、IPアドレスを固定する機器と自動割り当てする機器の管理を一元化できるのもうれしい。PCの設定を逐次変更しなくても、IPアドレスの割り当てを本機のWeb設定ツールだけでコントロールできるのだ。
ここで取り上げた機能は、一般的な家庭でPCやAV機器などから“単にインターネット接続”するだけでよいなら、おそらく使わなくてもよいものかもしれない。
しかし、無線LANはIEEE802.11n対応で、2.4G/5GHz帯の同時利用が可能、有線LANはギガビット対応となれば、本機を導入すれば確実にあと数年は買い換える必要はないだろう。そんな状況において、今後のさまざまなインターネット利用シーンや、今後発生するかもしれない自身のニーズにも対応できる“将来的な多機能さ”を備えていることは、かなり重要なことである。
続いて、テレビやBlu-rayレコーダーなどのネットワーク対応AV機器を所持するユーザー向けとなるイーサネットコンバータ「WL300NE-AG」の使い勝手も検証しよう。
WL300NE-AGも、導入が手軽であることはもちろん、セキュリティ対策にも応用できる豊富な機能を持っている。Web設定ツールで接続するアクセスポイントの選択や、自身のIPアドレスなどが設定できるほか、無線クライアントモードを3種類から選択できる。
無線クライアントモードは「拡張モード」「標準モード」「クローンモード」があり、拡張モードは、WL300NE-AGに接続した端末からIPv6ブリッジやPPPoEブリッジなども利用できる。つまり、無線接続ながらも親機(WR8700N)に直接有線LANで接続した場合とほぼ同じ機能が利用できる。
一方、標準モードはWL300NE-AGのMACアドレスが親機に識別され、認証する仕組み。クローンモードは、WL300NE-AGを介して“最初に親機に接続した機器のMACアドレス”で親機に識別されるものだ。
例えば標準モードを利用すると、親機におけるMACアドレスフィルタリング機能で無線接続を許可するクライアントは厳しく制限しつつ、WL300NE-AGに有線LANで接続した機器であれば無条件に接続を許可する──といった使い方ができる。将来的にAV機器を追加・買い換える場合にも困惑せずに済むだろうし、オフィスであればゲスト用や検証機器の接続専用に有線LAN接続を開放するといった応用も可能だろう。
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