コストもサイズもコンパクト――エプソン「LP-S7100/LP-S510」発表会「カラーは安い」へ

» 2010年05月12日 11時06分 公開
[ITmedia]

“カラーは高い”から“カラーは安い”へ

エプソン販売取締役 販売推進本部長 中野修義氏

 同日行われた製品発表会では、エプソン販売の中野修義本部長が登壇し、2010年度のページプリンタ市場における事業方針を説明した。中野氏は「現在、企業の関心事はコスト削減にあり、その際にMPS(Managed Print Service)が話題に上ることが多い。しかし、トータルコストを削減するMPSがすべてとは思わない」と述べ、個々のプリンタにおけるコスト削減も重要な課題だと指摘する。例えば、印刷量が少ないユーザーから見れば、“コスト”の対象と見なされるのはプリンタ本体の価格を始めとする初期導入費用だが、大量印刷が前提になる場面では、前述のイニシャルコストよりもページ単価(トナーの価格)や保守、消費電力にかかるランニングコストが重要視される。「このように一口に“コスト削減”と言ってもその対象は利用シーンによって異なってくる。それぞれの顧客にあう形でコスト削減を提案していく」(中野氏)。

 具体的な戦略としては、企業向けに展開するカラーページプリンタのラインアップに、A3対応機の「LP-S7100」と、A4対応機「LP-S510」の2機種を拡充する。LP-S7100は9万円台後半、一方のLP-S510も3万円台後半と、価格を大幅に抑えた(いずれも実売想定価格)。また、カラー11.9円/枚の印刷単価(大容量トナー使用時)を実現するとともに、1万円を大幅に切る低価格の小容量トナーカートリッジも用意し、イニシャルコストとランニングコストの両面で、ユーザーの環境に応じたコスト削減を支援する構えだ。

 同社が行ったアンケート調査によると、多くの人がカラーレーザープリンタは“高い”という認識を持っており、特にCPP(ページ単価)では1枚20円、CPC(トナー単価)は1万8000円程度という回答が最も多く、また「1万円を超えるトナーは決裁などで購入しづらい」といった声も多かったという。中野氏は今回投入する2機種によって、カラーレーザープリンタに定着する“高コスト”のイメージを払拭し、「“カラーは安い”をエプソンが実現していく」と語った。目標販売台数はLP-S7100が年間3万台、LP-S510が年間1万台。LP-S7100とLP-S5000(併売モデル)によりA3カラーレーザーで36%のシェアを、LP-S510によりA4カラーレーザーで13%のシェア獲得を目指す。

新機種2モデルでカラーページプリンタのラインアップを拡充(写真=左)。カラーページプリンタの市場規模はリーマンショック以降縮小傾向にあるが、2010年は2009年とほぼ同水準に落ち着くと同社は予測している。普及価格帯のLP-S510を投入することでA4カテゴリの強化を図るとともに、A3カテゴリでは新機種のLP-S7100と併売モデルのLP-S5000でさらなるシェア拡大をめざす(写真=中央)。オフィリオプリンタのイメージキャラクターをこれまでの釈由美子から鈴木京香に変更した。「実際問題。」をキーワードに、プリンタの買い換えがコスト削減につながるというメッセージを打ち出していく(写真=右)

新型タンデムエンジンの採用でA3カラーをコンパクトに――「LP-S7100」

LP-S7100

 A3対応機「LP-S7100」は、カラー/モノクロ30ppmの高速印刷を実現しながら、予想実売価格で10万円を切る、生産性とコストのバランスが取れたモデルだ。同社ページプリンタの現行ハイエンド機である「LP-S9000」(A3カラー対応/35ppm/29万9800円)と比較すればコストパフォーマンスの高さが分かるだろう。新型タンデムエンジンの採用により、本体サイズは体積比で従来機種「LP-S7000」の約40%減となる、499.5(幅)×538(奥行き)×422(高さ)ミリまで小型化されたのも目を引く。同社によれば、このフットプリントは世界最小クラス(5月11日現在/A3カラー/21〜30ppmのモデルにおいて)だという。「内部の感光体ユニットを斜めに配置したことで、水平に並べた場合よりも奥行きを短縮できた」(同社)。

 また、クラムシェル構造の筐体により、トナー交換や紙づまり除去といったメンテナンス作業を本体前面側から行えるようになったのもポイントだ。さらに、低温定着オイルレストナーの採用により、低消費電力(印刷時消費電力419ワット)とウォームアップ時間の短縮(電源オンから15秒で印刷が可能)を実現したほか、トナーカートリッジは、大幅にサイズを小型化した新開発の「スマートスタイルカートリッジ」に変更されている。

新開発のタンデムエンジンを採用し、高速印刷と省スペース性を両立。感光体を階段状に配置することで奥行きを短縮した(写真=左)。紙づまり除去やトナー交換といったメンテナンス作業を手軽に行えるのもポイント(写真=右)。LP-S7100で採用されたスマートスタイルカートリッジ(手前)と従来機トナー(奥)との比較。トナーをストックする際の置き場をとらない(写真=右)

 ソフトウェア面では、業界初のAAM(Advanced Amplitude Modulation)スクリーンが採用された。これは固定ピッチでドットを生成し、ドットサイズで階調を表現する従来のAMスクリーンをベースに、AMスクリーンの欠点である線(文字)の解像性の低さを補ったもの。入力画像の輪郭と濃度を解析し、最適なドットを生成することにより、AMスクリーンの特徴である滑らかな質感と、FM(Frequency Modulation)スクリーンのような高い文字再現性を併せ持つ。このほか、Word/Excel/PowerPointのUIから直接印刷設定ができる「かんたん設定 for Office」と、異なるアプリケーションで作成したドキュメントをまとめて印刷できる「まとめてプリント」がダウンロード提供される。

 また、iPhone/iPod touch/iPadからの印刷もサポートされる予定だ。マイクロテックの「ePrint」をApp Storeからダウンロードし、iPhone/iPod touch/iPadから無線経由でWebページやPDFデータなどを印刷する仕組みで、LP-S7100に対応したePrint Ver3.4は5月下旬以降にリリースされる予定だという。

エプソン初のA4カラーレーザー普及機――「LP-S510」

デスクサイドに適したサイズのLP-S510

 一方の「LP-S510」は、導入コスト重視のA4カラー対応機だ。ネットワーク機能を持たず(USB接続)、両面印刷にも対応しないが、実売予想価格は3万円台後半と、同社としては初めてA4カラーレーザーの普及価格帯に投入される。また、トナーと感光体が装着した状態で出荷されるため、開封後すぐに利用できるのも特徴だ。

 こちらもLP-S7100と同様にクラムシェル型の筐体を採用し、メンテナンス時のフロントアクセスが可能。本体サイズは404(幅)×380(奥行き)×275(高さ)ミリと、机上に置いても圧迫感のないサイズを実現したほか、排気ファンを背面に配置するなど、デスクサイドに設置した際の配慮が見られる。印字速度はカラー5枚/分、モノクロ19枚/分。なお、オプションとして、標準トナーカートリッジ(1万4500円/税別)よりも安価なSサイズトナー(S/M/Yが各8700円、Bが7500円/いずれも税別)が用意されている。

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