繰り返しになるが、ThinkCentre M90zの特徴は大型化して解像度もフルHDに対応した液晶ディスプレイの変更と、最新のインテルプラットフォームの採用だ。最上位モデルの液晶ディスプレイでは、マルチタッチ対応も訴求されている。マウスを接続しないで行った評価作業では、タップに対するポインタの追従精度は高く、狙ったところを“ほぼ”タップできた。
“ほぼ”というのは、23型ワイドで1920×1080ドットの高解像度となると、デスクトップのアイコンやタスクバーのアイコンは問題なくタップできるが、標準設定のタイトルボタンはやや小さく、一度のタップで狙いが定まらないことが少なからずあったためだ。なお、評価で使ったフォトフレームデザインでは、キーボードとディスプレイの距離が短いため、机上に置いた手をディスプレイに移動させるのに、あまり抵抗を感じない。
ThinkCentre M90zには、タッチ操作のシェルとして利用できる「Lenovo Simple Tap」を用意している。これは、デスクトップ画面の上端に配置された赤い半円の「SimpleTap」アイコンをタップすると、画面中央に、機能を割り当てたアイコンがタイル状に配置されるインタフェースだ。タッチ操作に対応したThinkPadシリーズでも導入されているユーティリティで、標準状態では、スピーカー音量の調節、内蔵マイクのオンオフ、内蔵Webカメラのオンオフ、PCのロック、そしてスリープモードへの移行が用意されるほか、新規に追加された機能があればダウンロードして追加できる。
デスクトップPCやノートPCにマルチタッチ機能を導入したことによるメリットは、ユーザーに理解してもらうのが難しく、以前、この機能を採用したThinkPad T400sのレビュー記事でも、「必須ではないが、あるとうれしいタッチパネル」という評価だった。ThinkCentre M90zでも、通常の利用形態では、「必須ではないが」という評価になる。今回の作業でも、いったんマウスを接続するとタッチパネルに触れることはなくなり、ファイルの選択などの作業では、マウスでより快適に操作できたのは否定できない。
ただし、フォトフレームデザインのThinkCentre M90zでは、キーボードとマウスを離した“ディスプレイだけの状態”で設置することも考えられるが、その場合、マルチタッチに対応していることは使い勝手に大きく貢献すると思われる。マルチタッチ対応のメリットは、ユーザーに柔軟な利用場面を提供するという意味で、生きてくるといえるだろう。
ThinkCentre M90zには、液晶ディスプレイスタンドを取り付けたデザインと、スタンドを有しないフォトフレームデザインが用意される。今回評価したのは、フォトフレームデザインだが、本体に用意されるインタフェースは、どちらも違いはない。
ThinkCentre M90zのインタフェースは、右側面と背面に集中していて、左側面はクリアになっている。右側面には光学ドライブ(DVDスーパーマルチドライブ)、メディアカードリーダー(SDメモリーカード、mini SDカード、MMCなどに対応)、2基のUSB 2.0、ヘッドフォン、マイク端子を備え、背面には、PS/2(キーボード用とマウス用の2基)、シリアルポート、4基のUSB 2.0、有線LAN(1000BASE-T対応)のほか、映像関連ではDisplayPort出力と、アナログRGB“入力”も用意している。
DisplayPortは外部ディスプレを接続してマルチディスプレイ環境の構築に利用できるが、アナログRGB入力は、ほかのPCから出力された映像をThinkCentre M90zに表示するために利用する。この状態では、ThinkCentre M90zを“ただの”ディスプレイとして使うことになり、タッチ操作も無効になる。ちょっと「もったいない」ようにも思えるが、レノボ・ジャパンでは「ユーザーからも要望が高いのでこの機能を実装している」と説明している。
通常、液晶一体型PCでメンテナンス性はさほど重視されないが、ThinkCentre M90zは、底面の左右に用意したレバーを外側にスライドさせることで、背面のカバーが外れる。このカバーは一枚で全面を覆っているので、これがなくなると、ドライブベイやメモリスロットなど、ほぼ全域に渡ってアクセスできるようになる。クーラーユニットを外せばチップセットとCPUソケットにも手を出せるようになるはずだ。
ボディ内部には、HDDを収容する3.5インチシャドウベイが1基と、光学ドライブを収容する厚さ9.5ミリドライブ対応のオープンベイが用意されているが、どちらもレバー操作による工具なしの換装が可能になっている。
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