Core i7-970の測定結果は、総じてCore i7-980Xに対して「動作クロック相応」となる。QPIがCore i7-980X Extreme Editionの6.4GT/sから4.8GT/sへと制限されているものの、今回利用したベンチマークテストにおいて、そのハンデが表面化することはまずないといえるだろう。
また、6コアを搭載したアドバンテージは、PC Mark VantageやCINEBENCH R11.5、TMPEGEnc Expressによるトランスコード処理においてクアッドコアモデルのCore i7-975 Extreme Editionの測定結果を上回ることで示されている。ただし、ゲームタイトル「Last Remnant」を使ったベンチマークテストでは、ゲーム自体が6コアを使い切ることがないため、すべてのCPUでスコアが誤差の範囲内に収まった。
消費電力に関しては、今回、すべてTDP130ワットのCPUであるが、測定結果には10数ワットの差が確認された。その値は、Core i7-980X Extreme Editionが最大、Core i7-975 Extreme Editionが最小、Core i7-970はその中間だった。
現在、Core i7-980X Extreme Editionが9万5千円前後、Core i7-970は8万円強で流通している。この1万5千円程度の価格差は、コスト意識が強いユーザーに歓迎されるだろうか。10万円近いCPUに出資できるユーザーからすれば1万5千円という価格差より、高クロックでオーバークロックも行えるCore i7-980X Extremeを選択するだろう。そもそも、コストパフォーマンスを意識するユーザーの多くにとって8万円という価格は高すぎる。
多くの自作ユーザーが求めているのは、普及価格帯の6コアCPUだ。しかし、6コアモデルは高付加価値製品でエクストリームユーザー向けの製品と、インテルが考えていることを、Core i7-970の価格は示しているといえる。
自作ユーザーの場合、どうしてもパーツ単位での価格を考えてしまう。しかし、ショップブランドPCを購入するユーザーから見れば、「一式」で価格を検討するため、1万5千円という価格差も有効な選択材料となる。3GHzを超える高クロック、6コアというスレッド性能やAES-NIといった新しい機能を求めるが、“PC”の購入価格は抑えたいユーザーには、Core i7-970を採用したPCは有力な選択肢になるだろう。
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