“リモートアクセスって何?”という人でもカンタンに──“どこでもPC”機能「Lui」の進化ポイントを探る自宅のPCをちょちょいと遠隔操作(1/4 ページ)

» 2010年11月26日 11時00分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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“どこでもPC”を実現する「Lui」とは

photo サーバ側PC(デスクトップPC)を出先のノートPCで操作できるようになる「Lui」機能。デスクトップPCと同じ画面がノートPCにも表示される

 NECの2010年PC秋冬モデルは3D対応モデルの拡充や各シリーズで基本仕様が向上したことに加え、「Luiリモートスクリーン」機能が全シリーズに搭載されたことが強化ポイントに挙げられる。今回はこのLuiにフォーカスを当て、Luiとはそもそも何か、どう便利になるのかをチェックしていこう。

 Luiは、自宅PCのデスクトップ画面を出先のノートPCやシンクライアントなどに表示し、かつ操作(リモートスクリーン)できるようにするホームサーバ/クライアントソリューションだ。DirectXで描画された画面も表示可能で、接続設定が極めて容易、Windowsのリモートデスクトップ機能と異なり、OSのエディションなども問わないメリットがある半面、今までは操作される側、つまり自宅に置くサーバ側となるPCにLui専用ボードを備えた専用モデル(Luiモデル)を導入する必要があり、そのモデルはやや大型のミドルタワータイプに限られるデメリットがあった。


photo 従来のLuiは、サーバとなるPCに専用ハードウェアとなるサーバボード、あるいはそれを搭載したPCを用意する必要があったが、今回のソフトウェア版では専用ハードウェアは不要になった

 そのデメリットは2010年8月に公開された「ソフトウェア版Lui」で、かなり状況が変わった。NECは2010年8月に既存ユーザー向けにソフトウェアの配布を始め、最新の2010年秋冬モデルでは、ディスプレイ一体型を含むすべてのデスクトップPCにサーバ機能を、A4オールインワンモデルにはサーバ/クライアントの両機能を、モバイル利用を想定するノートPCにはクライアント機能のソフトウェアをそれぞれプリインストールし、全シリーズが「Lui」対応製品となった。あわせて、サーバ/クライアントソフトのどちらかをプリインストールするNEC製PCを持っていれば、そのLuiインストーラより、すでに所持する他方のPCにもサーバ/クライアント機能をインストールできる(どちらかより他方のインストーラを生成でき、それを他方のPCにインストールする仕組み)ので、自宅のWindows 7世代のPCをLui対応にできてしまう。

 さて、Luiがソフトウェア化されたことで何が変わったか。専用サーバボードで実現したハードウェア版と比べ、一部機能に削られた部分もあるが、特徴的な機能はほとんど継承されている。用途別の2つの動作モード、3つの画質モードはリアルタイムに変更可能で、クライアント側の表示領域に作業ウインドウをフィットさせる機能などもしっかり継承する。簡単なウィザード形式で接続設定できる点も同様で、VALUESTAR L VL750/CSなどのNVIDIA製外部グラフィックスカード搭載PCをサーバ側として利用する場合は、NVIDIAのCUDA機能を利用した「GPUパワーモード」を提供する。GPUパワーモードにより、フルHD解像度(1920×1080ドット)での快適なリモートスクリーンを可能にした。

 Windows 7にも、ネットワーク接続した別のPCのデスクトップ画面を表示・操作する機能「リモートデスクトップ」が存在するが、これも含めて外部のネットワークから自宅のPCにアクセスするには、(あえてここでは説明しないが)“NAT越え”設定など、やや高度な知識を要する設定が必要だった(Windows Home Serverが稼働していれば別だが、これも多くの一般PCユーザーにはそれほど普及してはいないものだ)。また、リモートアクセスはどちらかといえばビジネスユースを意識した機能のため、マルチメディア系機能の対応度はそれほど高くなく、サーバ側に利用できるWindowsのエディションも、Professional(Vistaの場合Bussiness)以上に限られる。多くのホームPCユーザーはWindows 7 Home Premiumなどのエディションを利用しているだろうから、やろうと思ってもここでつまずいてしまった人もいるかもしれない

 では、Luiは具体的にどこが変わり、そもそもどんな点が便利なのか。まずはNECのLui開発担当チームに話を聞いた。

photo NECパーソナルプロダクツのLui開発チームとCS戦略チーム。左からユビキタス事業開発本部の堤敏子氏、同 嶋田昌生氏、CS戦略グループの太田幸宏氏、同 川島康二氏、同 今田猛氏、ユビキタス事業開発本部の古田勇次氏、同 大貫崇氏

── Luiは2008年ごろよりありましたが、なぜ“ソフトウェア化”することになったのでしょうか。

NECパーソナルプロダクツ ユビキタス事業開発本部の堤敏子氏(以下、堤氏) Luiは、専用のホームサーバPCや対応タワー型PCと、PCリモーターと呼ぶ専用端末の組み合わせて利用する、シンクライアント的に扱うソリューションとして2008年4月に商品化しました。この後、2009年7月に専用端末ではLavie LightをベースにしたLuiモデルを商品化し、専用端末以外からリモート操作を可能にしました。同時に専用サーバボードの単体販売を行ったり、クライアントとなるモバイルノートPCにワイヤレス通信機能を内蔵したWiMAX内蔵モデルなども追加しました。

 そして2010年7月にサーバ機能のソフトウェア化を実現し、ユーザー向けにWeb公開しました。あわせて、サーバー利用可能なVALUSTARやLavieの機種を一気に拡大しました。

 従来はサーバ側となるPCに専用のサーバボードが必要で、ボディもミドルタワー型しか選択肢がありませんでした。「機能は使ってみたいが、専用ハードウェアが必要となるのが難点」「液晶一体型やノートPCもサーバ側PCとして使いたい」というユーザーの声も多数ありまして、それらの制限をなくすためソフトウェア化の開発が決まりました。

── 昨今、モバイルインターネット環境が以前より整ってきたこともありますね。Luiを全シリーズ対応とした経緯もそういった理由なのでしょうか。

NECパーソナルプロダクツ ユビキタス事業開発本部の大貫崇氏(以下、大貫氏) そうですね。もともとLuiはモバイルPCユーザー……というより“モバイラー”向けの機能と思っていました。どちらかといえばPC上級者向けですね。ところが、ソフトウェア版の公開後に行ったアンケートでは、ユーザー層もモバイラーに限定されず、かなり広い範囲のユーザーに使ってもらっていることが分かりました。導入手段が非常に手軽になったので、家庭内でも「ノートPCで別の部屋のデスクトップPCを操作する」使い方でもいいわけです。PC初心者や中級者にも、もっと便利に使ってもらえるように──全シリーズ対応とした理由はここです。

堤氏 まずは知ってもらうことが重要と考えましたので、「Luiとは何か」を紹介する(アプリケーションが起動する)アイコンなどもデスクトップ上に配置しています。また、家庭LAN内での利用なら従来よりさらに簡単に初期設定できるよう、各種設定項目も作り込みました。

 NECはVOC(Voice of Custumer=お客様の声)への取り組みを重視していまして、従来は開発途中ではなかなか取り組めなかった公開前のユーザーテストを実施するといった活動も行います。Luiのソフトウェア化においても、開発途中の製品を実ユーザーにモニターテストをしてもらい、分かりにくかった点などの意見を開発部門にフィードバックしながら取り組みましたね。

NECパーソナルプロダクツ CS戦略グループエキスパートの今田猛氏(以下、今田氏) VOC活動は、部門連携を密にすることで顧客満足度の高い製品、サービスを提供するためのNEC全社的な取り組みです。今までは、ユーザーと直接コンタクトする機会のあるサポート部門や販売部門からのその声が開発部門に届かなかったり、開発部門が行った改善がサポート部門に届かず、ユーザーの問い合わせに対して的確な対応ができないといったこともありました。例えばマニュアルが分かりにくいというご指摘があっても、開発部門では具体的にどこの何が分かりにくいのかが分からないことがあります。その場合は、開発部門なりに努力して、分かりやいと思ってもらえるよう改善するというイメージでした。

NECパーソナルプロダクツ CS戦略グループの川島康二氏(以下、川島氏) そこで、マニュアル内の専門用語に対して5段階で理解度を伺うなどの項目を設け、より分からない/まったく分からないとされた専門用語は目次から排除・置換するよう改善する手法を取り入れました。

 はじめての人でも分かりやすい表記に統一するよう、今まではよく用いていたサポートセンターの“121コンタクトセンター”という表記も「NEC電話サポート窓口(121コンタクトセンター)」とするなど、マニュアルからWebサイトの記述まですべて改めています。Luiの簡単設定項目や簡単スタートマニュアルもその成果の1つです。

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