「IPS236V」実力診断――2万円台前半で買える新IPSパネル搭載の23型フルHD液晶安いときれいは両立するか(3/4 ページ)

» 2010年11月29日 06時00分 公開
[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]
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気になるUH-IPSパネルの画質は?

 次は表示性能の検証だ。ここではエックスライトの測色器「i1 Pro」(製品パッケージとしては「i1Basic」)を用いて、ソフトウェアキャリブレーションの結果からガンマカーブの精度をチェックし、作成したモニタプロファイルから色再現性を確認していくことにする。

 まずはIPS236VをsRGBモードに設定し、i1Proで測定を行った。ここでは目標値を定めず、輝度調整も行わずにそのままの状態を測定している。結果のグラフは入力と出力が1:1のラインを描くのが望ましいのだが、結果はあまり芳しくない。赤と緑はブレも少なくほぼ1:1のラインを描けているが、青だけが外れている(つまり、青のカラーバランスが少しずれている)。色温度もsRGB規格の6500Kよりもやや低くなってしまった。

 色再現性の確認では、目標値を定め、ユーザーモードで調整しながら作成したモニタプロファイルをMac OS XのColorSyncユーティリティで表示した。sRGBの色域が地のグレー部分で、その上に乗っているIPS236Vの色域がカラー部分だが、RGBの高濃度域が足りていない。調整次第で多少は改善できるが、実際に手動で画質を追い込んでみようとすると、青があまり増減しなかったり、コントラストがあるレベルから一気に跳ね上がったりするなど、OSDの設定範囲にクセがあってなかなか難しい。

i1Proを用いたsRGBモードの測定結果。色温度は6200Kで、sRGBの規定する6500Kより低めだ。グラフを見ると赤と緑はブレも少なく直線に近いラインが描けているが、青がズレてゆがんでいることが分かる
作成したプロファイルをColorSyncユーティリティで読み込んだ例。グレーのエリアがsRGBの色域で、カラーのエリアがIPS236Vの色域だ。オレンジからブルーにかけての部分とグリーンからブルーにかけて深い部分が足りない

 目視の印象も述べておこう。輝度ムラに関しては、細かな輝度の差がまだら状に散見された。それでも大きな浮き沈みではないので、単色を全面に表示するのでもなければ、ムラは判別できないだろう。通常の利用では問題ないレベルだ。輝度の調整幅は十分で、まぶしすぎて(もしくは暗すぎて)困るようなことはない。

 視野角は公称値通りの印象を受ける。ここはさすがにIPSの優位性が最大限に発揮できるところで、上下左右のいずれから表示を確認しても、色やコントラストの変化は少ない。誰が見ても、安価なTNパネル搭載ディスプレイとは明確な差が感じられる部分だ。ただし、黒の視野角についてはこの限りではない。宇宙や夜景などの写真を表示して画面に目を近づけると、画面端が黒浮きして少し紫っぽく見えることもあった。最近の低価格IPSパネルは視野角による黒浮きのしやすさが指摘されることもあるが、このUH-IPSパネルでも解決には至っていないようだ。

 また、これまでの同社のノングレアIPSパネルで見られたように、パネル表面に目を近づけると粒状の乱反射が感じられる。使用中にはさほど気にならなかったが、筆者はパネル表面の粒状には鈍いほうなので、気になる人は店頭なりで実機を確認したほうがよいだろう。

 応答速度は中間階調から中間階調で14ms、中間階調から白/黒で6msとなっており、IPSパネルとしては速いほうだ。最近のTNパネルに比べると遅いが、全階調で応答速度のバラツキが少ない(特定の階調で絵が破たんしにくい)という利点はある。ゆっくりスクロールする被写体やFPSのような激しい動きのゲームでは残像が少し見られるが、動画共有サイトの映像やDVD-Videoの映画タイトルなどの視聴でぼやけ感が気になるほどではなかった。

 少々厳しい評価になったが、これは新型IPSパネルに高画質を求めるユーザーが多いことを踏まえてのものだ。昨今は安価なTNパネル搭載のフルHD液晶ディスプレイも数多く見られるが、こうした製品に比べて視野角をはじめとする静止画の表示性能で優位に立っていることは強調しておきたい。

左から、カラーグラデーション、モノクログラデーション、グレー単色の表示例。いずれもsRGBモードで撮影

IPSパネル搭載機だけあって、上下左右の視野角は広い。上から撮影した写真は設置面の白色が画面に反射しているため、白っぽく見えるが、実際にはもう少しはっきり見える

エックスライトのカラーマネジメントツール注目製品

 今回の測定に用いたエックスライトの「i1Basic」は、測色器の「i1Pro」が付属し、ディスプレイのキャリブレーションに機能を特化したパッケージだ。名前の通り、i1シリーズの中ではエントリーモデルにあたるが、i1Proはスペクトル方式を採用した測色器で、フィルター方式のエントリーモデル「i1Display 2」に比べて、検出精度がかなり高い。i1Basicをベースとして、より高度なカラーマネジメント環境を構築したい場合は、必要に応じてソフトウェアの機能を拡張することも可能だ。i1シリーズの製品情報はこちら

 また、エックスライトはオールインワンタイプのカラーコントロールソリューションとして「ColorMunki」シリーズも用意している。こちらはi1Proに近い精度を確保したスペクトル方式の測色器とウィザード形式の専用ソフトを備えており、ディスプレイ/プロジェクター/プリンタのキャリブレーション、スポットカラーの測定、カスタムカラーパレットの作成などが行える。ラインアップはフォトグラファー向けの「ColorMunki Photo」と、デザイナー向けの「ColorMunki Design」があり、いずれもi1Pro付属のパッケージより安価だ。ColorMunkiシリーズの製品情報はこちら

 日本国内ではこれらの製品を加賀電子が取り扱っており、クリエイター向けオンラインショップ「KGDirect」や「CGiN」で購入できる。両サイトでのi1Basicの販売価格は16万7160円、ColorMunki PhotoとColorMunki Designの販売価格はいずれも5万4800円だ。

「i1Basic」
「ColorMunki Photo」



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