「Androidやクラウドを意識させず」新たなネット生活シーンを提供──NECビッグローブ+Smartiaの戦略を聞くSmartia開発者インタビュー(2/4 ページ)

» 2010年12月22日 14時00分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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簡単・便利だけじゃない、さまざまな魅力もあわせ持つ

photo 「Smartiaが考える利用シーンにおいては、“7インチサイズにこだわろう”とコンセプトの段階で決めていました。7型サイズの機器を家庭内に置く、つまり、いままでなかったものが存在するようになると、自然に“こうんな使い方ができるとイイね”といった新しい使い方も生まれてくると思っています」(栗冠氏)

── Androidであることをあえて前面には押し出していないということですが、操作する機器としてAndroidをOSに選んだのはなぜでしょう。Android端末としての魅力を教えてください。

栗冠氏 もちろん、分かっている人に対してはAndroidならでは機能を機能制限なく使っていただけます。ノンテレフォニーデバイス──つまり、3G通信機能を内蔵しない機器として、Google認証を取得済みの製品を国内で発売したのはわれわれが初めてです(発表済みの機器にはKDDI発売のSamsung「SMT-i9100」などもある)。したがってAndroidマーケットもGmailもYouTubeも、Google提供アプリケーションはきちんと使えます。“Android”を意識させず、すぐに使えることをテーマにしていますが、通常のAndroidタブレットとしてカスタマイズして使うことももちろん可能です。

加藤氏 7型という画面サイズもSmariaの商品テーマと密接に結びついています。Smartiaの用途を想定すると、フォトフレーム的に使っても、持ち運びにも不便がなく、混雑した電車でも不自由なく使えるサイズながらも、できるだけ大きな画面サイズを──ということで決まったサイズです。こちらは、どのくらいのサイズにするか、かなり深く議論を重ねました。例えば海外では7インチは中途半端という意見が強いようですが、アメリカなどはクルマ移動が多いので日本とは事情が少し違いますよね。

 なお、前面にステレオスピーカーを配置しているので、音楽・動画プレーヤーとしても単体でバッチリ使えます。ハードウェアデコーダも搭載するので、動画再生はスムーズにかなり快適に楽しんいただけることでしょう。また、3.5〜4型サイズのスマートフォンと比べると楽しむ要素としての印象もかなり違うと思います。

栗冠氏 ゲームもこの画面サイズならかなり迫力がありますよ。

 ところで、音の再生、最近は家の中でもどちらかというとイヤフォン/ヘッドフォンで使う若い人が多くなっているようです。家の中に音が存在しなくなってきている。せいぜいテレビを付けっぱなしにする程度でしょうか。

 実はこういうシチュエーションでリビングルームやプライベートルームにSmartiaを持ちこめば、「音」が再び家の中にあふれてくるのではないか、という期待もしています。

── なるほど。PCに保存する音源をキッチンに持ち込んだSmartiaで再生するなど、いままではできなかった使い方もできそうですね。普通の人も、わりと普通に便利に使えるのではと思います。このほかにハードウェア的な特徴として何かポイントはありますか?

photo 「ユーザーさんが一番使うのがタッチパネルです。感圧式でもスムーズな動きで扱えるよう、タッチパネルの部分から見直しを入れてもらい、ソフトウェア部分も徹底してチューニングを施しました」(加藤氏)

加藤氏 Smartiaはタッチパネルが感圧式(抵抗膜方式)です。ペンや爪で操作するのはもちろん、指によるタッチ操作も自然に行えるよう、タッチパネルの選定とチューニングはかなり力を入れて取り組みました。

 感圧式のタッチパネルは、静電容量方式より正確に線をトレースできますし、スタイラスペンを使って手書き認識による文字入力にも使えます。またハードウェアキーとして方向キーも装備するので、電子ブックでページ送りを素早く行ったり、Webサイトのリンクをより確実に選択することも可能です。用途に応じて、無意識に、でも自在に使い分けられる使い勝手を実現します。

── このタッチパネルの操作感にはかなり感心しました。よくある静電容量方式のタッチパネルを採用するスマートフォンのように自然に使えたので、てっきり静電容量方式だと思い込んでいたくらいに指でもスムーズに操作できますね。

加藤氏 操作手段としてもっとも使われるのがタッチパネルです。ここが悪いと、ほかがよくても台無しにしてしまいかねませんよね。感圧式というと「えー?」と首をかしげる方もおりますが、おそらくその経験があったためだと思います。LifeTouchを開発したNECにパネル部分から見直しを入れてもらい、ソフトウェアのチューニング面も徹底して行っています。

photo 「普段は指で、細かい場所のタップや手書き文字・手書きメモ・お絵かきはスタイラスペン、アプリケーションによっては十字キーをといったように、違和感なく操作を切り替えながら使っていただけます」(栗冠氏)

── ええ。ブラウザのスクロールなどもスルスル、サッサッと操作できますね。それでいて爪やスタイラスペンで正確に細かい場所のリンクをタップしたり、ペンで手書き文字入力ももちろんできる。ああ、感圧式でもここまでやれるんだと感心しました。スタイラスペンが収納されているのに気がついてはじめて感圧式だと理解したのです。

加藤氏 実は、開発初期は感圧式のため、グッと押すように操作しないと指ではうまく操作できなかったのですが、苦労のかいあって、指でもペンでもどちらでも自然に操作できるよう煮詰めました。

─── 「感圧式? えー?」という人は、ペン操作が嫌なわけではなくて、指で手軽に操作できないのが嫌なんですよね、おそらく。漢字を含めてペンで直接日本語を手書き入力できたり、実用的な手書きメモが可能、場合によってお絵かき系のアプリケーションも利用しやすいので、7型の画面サイズと合わせてスタイラスペンで操作できるメリットは大きいと思います。

加藤氏 心残りなのはマルチタッチへの対応です。技術的にはいくつか方法があるのですが、感圧式の場合、静電容量方式ほど技術がこなれていないこともあり、今回は実現できていないのがもどかしい部分です。

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