「Androidやクラウドを意識させず」新たなネット生活シーンを提供──NECビッグローブ+Smartiaの戦略を聞くSmartia開発者インタビュー(4/4 ページ)

» 2010年12月22日 14時00分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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「パーソナルメディア」をSmartiaで楽しむために

photo ビッグローブオリジナルのWebアニメ『ゆとりちゃん』。andronaviで、Android端末で視聴できる動画アプリを100円から配信している(配信期間は2010年12月31日、アプリ販売は2010年12月17日まで)

── コンテンツに関して、ビッグローブさんはオリジナルの動画配信に強いイメージがあります。いわゆる決済代行だけでなくコンテンツプロバイダでもありますよね。この点、Smartia向けに何か取り組みは考えていますでしょうか。

栗冠氏 今のところSmartia専用となるサービスはありません。ただ配信実験として、2010年12月末までAndroidスマートフォン向けにもビッグローブオリジナルアニメ番組『ゆとりちゃん』の配信サービスを行っています。

 弊社は特にアニメ系に強いので、「パーソナルメディア」としてSmartiaで楽しんでいただく層に対し、社内サービスとのシナジー効果はもちろん、ユーザーメリットはすごくあると思っています。Android向けゆとりちゃん配信について、Smartiaは発売から1カ月ほどしか期間がなかったので今回はこちらを大々的に告知できなかったのですが、ニーズに応じてこういったユーザー向けの施策は今後もやっていく考えです。あわせて、ビッグローブの持つ豊富なコンテンツの横断展開も積極的にやりたいですね。「ユーザーの手元にサービスをしっかりお届けしたい」という、Smartiaのコンセプトに合致しますから。

── タブレット機器の場合、求められるコンテンツは携帯電話よりPCに近い傾向があります。この視点だと提供、実現可能なコンテンツはケータイキャリアよりビッグローブの方が豊富といえますね。コンテンツの土壌がすでにあるので、うまい具合にSmartiaに提供可能となるなら、今後が楽しみです。

加藤氏 アプリケーションに関しては、Smartia専用とだけするのではなく、フラットにマーケットを広げていくことが非常に重要だと思います。すでにさまざまなサイズ、解像度、速度のAndroid機器が登場していますが、画面サイズの大きいタブレット型ですとアプリケーション側でもその点を考慮しないと正しく機能しないことがあります。この点はアプリケーション開発者さんにも積極的に情報提供なども行っていきたいと思います。

── 繰り返しになりますが、その点はアプリケーションがLifeTouchできちんと動作するかを保証する形で紹介してくれるandronaviの存在は重要ですね。例えば、Androidは自由・そのため自己責任でという考え方は、ハイクラスのユーザーは別にそれでもいいのですが、これから始めようという人には壁が高いです。こういったところが手厚く、自身ではっきり利用シーンが見えるなら、例えばAndroid対iPadなどと短絡的に評価されることも少なくなるのではないでしょうか。特に幅広いユーザー層に使ってもらいたいとするSmartiaでは重要かと思います。

photo アプリケーションを厳選して紹介するandronavi以外に、操作に慣れてきたら世界中のアプリケーションより探して自由にインストールできる「Androidマーケット」も利用できる

加藤氏 そうですね。ユーザーがアプリケーションをもっと手軽に簡単に使ってもらいたいという目的がandronaviにはあります。「これなら大丈夫ですよ。これは便利ですよ」と紹介することで、積極的にアプリケーションを、ひいてはSmartiaを使っていただくきっかけになるのではと思います。

 もちろん、ユーザーの自由そのものは奪うつもりはさらさらありませんので、Google標準のAndroidマーケット経由で世界中のAndroidアプリに触れることも当然可能です。まずはアプリケーションをダウンロードして利用するきっかけ、第一歩としてandronaviを活用してもらいたいと思っています。

── このほか、Smartiaについて「ここもアピールしたい」というポイントはありますか?

photo 日本Androidの会主催「Android Bazaar and Conference 2011 Winter」 開催は2011年1月9日(日)10:00〜 会場は東京大学本郷キャンパス

栗冠氏 USB機器への対応に関しては、2011年1月開催の「Android Bazaar and Conference 2011 Winter」で講演を予定しています。Smartia+USB機器をどうやって使うと面白いか、どんな可能性があるのかという話をしたいと思っていますし、この頃には何かしらのこれに関する発表もしたいと思います。さまざまなアプリケーションとも連携できるのがAndroidのメリットですので、USB機器の対応とともに、そういう進展があるとより楽しくなるのではないでしょうか。

── 確かに、パイプラインのようにアプリケーション間でデータの受け渡しができるのはAndroidの大きなメリットですね。

加藤氏 PFU「ScanSnap S1500」のようなオートフィーダー+両面スキャン対応のドキュメントスキャナを接続して、いわゆる“自炊”をSmartiaで実現するサンプルアプリケーションもすでにあったりします。

 感圧式タッチパネルの操作感は自信があります。指でもスタイラスペンでも快適に使えるので、いちど触れていただくと多くの人に驚いていただけることでしょう。SmartiaはWeb販売のみで、実機に触れていただく機会が少なくて申し訳ないのですが、関東地区の人は東京・秋葉原の「カフェソラーレ リナックスカフェ秋葉原店」に実機を展示していますので、機能とともにタッチパネルの使いやすさを体感していただければと思います。

栗冠氏 ともあれ、まず使っていただきたい人にしっかりサービスをお届けすること、そしてSmartiaがこれまでの生活シーンプラスアルファとなる使い方ができるよう、アプリケーション開発者さんにもどんどん情報提供していきたいと思っています。

 Smartiaで新しいライフスタイルを提案、成長させつつ、また異なるライフスタイルの提案もしたい。そのためにはサービスだけでなくデバイスの進化も組み合わせて提供していきます。


photo

 Androidを採用した7型クラスのタブレット型機器は、秋葉原の一部店舗や通販などで輸入製品をいくつか見かけることもある。ただ、これらのほとんどはOS開発元のGoogleの認証を受けていないため、主要アプリケーション・機能の1つである「Androidマーケット」が利用できず、アプリケーションの導入が面倒だったり、有料のソフトウェアが利用できなかったりする。使いこなすまでの難易度も総じて高めだ。もちろんそんな製品も、日本語化などを含めて全てを自分で解決できるほど知識がある人にとっては魅力だが、多くの人にそれができるかというとそれは難しい。

 この点で、Smartiaは携帯電話キャリアが展開するAndroidスマートフォンと同等かそれ以上に、個人向けに最適化した“優しく親切”な取り組みを施しつつ、Androidやクラウドサービスの自由さや可能性、新しさもしっかり感じられる、バランスがとれた製品だ。

 Androidがどう、クラウドがどう、などとつべこべ述べるより「はい。これがインターネットの使える機器です」と渡して使ってもらうほうが分かってもらえそうである。出して終わりでない、今後のさらなる進化も大いに期待したい。


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